内定してもモヤモヤ 「ウェブ就活」元年、薄い手応え就活探偵団

内定辞退しやすく

メールで済ますか、電話で言うべきか、はたまた会社に足を運ぶべきか――。複数内定を持つ学生が抱えるのが、いかに穏便に内定辞退を会社に伝えるかという悩みだ。

「メールなので断りやすかった」。中央大4年の女子学生は4月に不動産ベンチャーの内定を正式に辞退した。

3月ごろまでに3回の対面面接を通過して内定を獲得。内定承諾書を手渡しされた3月の面談を最後にオンラインのやり取りにシフトした。

4月上旬には人事担当者から「内定承諾書を郵送するか、辞退する場合はメールで連絡してほしい」とメールがあった。3週間ほど猶予をくれた。もう一つの内定先である日系コンサルと期限ギリギリまで悩んだ末、恐る恐るメールで内定辞退の旨を伝えた。これに対し企業側から来た返信メールには、文頭「残念です」とあったものの、それ以下は当たり障りのない内容で、拍子抜けしてしまったという。

メールで内定辞退が完結した。「電話だと怖くて感情に流されうまく断れなかったかもしれない。文面にすることで冷静に断れた」と心の余裕が持てたようだ。

ウェブ中心の就活は学生の内定獲得や辞退の様子も変えている(画面に映る学生を面接する大手企業の採用担当者)

マイナビの調査では、入社意思の最も高い企業から、内々定通知後いつまでに承諾の意思を伝えるよう求められたか聞いたところ「1カ月以上先」が24%もいた。コロナ禍のもとでの就活で、企業側は学生に対し比較的寛容な姿勢を見せたといえる。

就活も「自粛」

一方でまだ内定のない苦しい学生もいる。

「自粛期間中は何もする気が起きませんでした」。関西地方の大学院2年の男子学生はこう語る。実は1月に運良く第1志望の製薬会社のインターンを受ける機会を得て、2月には早期選考を受けた。しかし練習不足でうまく受け答えができず、落とされてしまった。

仕切り直しに動こうと思った矢先、合同企業説明会が相次ぎ中止が決まった。「俺って何でついていないんだろう」

大学も閉鎖になり、友人とも会えなくなった。実家にこもる日々。第1志望に落ちたショックから立ち直ることができずモチベーションが上がらなかった。テレビやスマートフォンアプリでドラマや映画を見たりして気を紛らわせた。外出自粛期間中、就活も「自粛」してしまった。

ある都内私大のキャリアセンター幹部は「今年は例年以上に『不稼働層』がいる」と指摘する。「ウェブ就活」元年となった今年の就活。大学が休校になるなど身近な情報源が失われた。そんな中、ウェブ上でいかに自ら情報収集し、行動できたかどうかで就活の結果に差が生まれたという。

一方で企業側も例年以上に二極化が進んだ。大手企業は知名度の高さからウェブ上でも学生を集めることができた一方、合同企業説明会がなくなり学生との接点を失った中堅・中小企業は、例年以上に採用活動に苦戦を強いられている。

「全体で見ると企業の採用活動は長期化するだろう」(採用コンサルタントの谷出正直氏)。停止していた採用活動を再開させたり、選考期間を延長したりする企業もある。「ナイ(無い)内定」学生が挽回できるチャンスはまだこれからだ。

(企業報道部 鈴木洋介、永森拓馬、茂野新太)

[日経産業新聞 2020年6月17日付]

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