同じ仕事、あと30年できる? 5年悩んでベンチャーへ40代からのキャリアチェンジ(上) レタスクラブ元編集長 松田紀子氏

私がこの「モヤモヤ期」の5年間にやっていたことは、次の3つです。

(1)社外の方が主催している社会人ゼミ、コミュニティーに参加した

(2)仕事以外の「ゆるいつながり」を持てるよう意識した

(3)手元の仕事を部下に手渡すと決め、どんどん権限委譲した

転職までの「モヤモヤ期」で大切なのは、モヤっている自分を認め、新しい刺激を積極的に取り入れることではないかと思います。私の場合は当時、「ファンベース」を学ぶ社会人ゼミ・コミュニティーに参加していました。ここでのつながりが今の会社への転職に結びつきました。

社会人コミュニティーには、日常の暮らしや仕事の中にとどまらず、「新しい何か」を得るために、アグレッシブな人たちがたくさん参加しています。私自身もかなり生命力の強いタイプの人間だと自覚していますが、それを軽く上回る人々にたくさん出会えました。そのような新しい仲間との出会いから多くの刺激を受けることで、自分にも勢いがついていつの間にか新しい一歩を踏み出すことができるようになるものです。

そのなかで、社会人駆け出しの頃の20~30代に学んできたスタイルだけでは乗り越えられない壁がたくさんあることを身に染みて感じましたし、部下に仕事を渡すことで私自身の手元が空き、「ゆるいつながり」で得た情報や出会いに、身を投じる時間も捻出できました。その結果、私もほとんど勢いで「モヤモヤ期」を突破することができました。

迷いながらもゆるく方針を決め、それに行動を乗せていくことで、いつの間にか「出所不明な焦燥感」に胸をかきむしられる日々は消え、次にチャレンジしたいこと、すべきことへの道が明確に見えていきました。悩む時間は大切ですが、悩んでばかりで動かなければ足に根が生えてしまいます。足に根が付かないよう、まず動く。行動することで脳と心が活性化することを、身をもって体験しました。

今の自分が未来をつくる

自分のキャリアに悩み、真っ暗闇の中にいる人も多いと思います。そんな時は、自分にできそうなことからゆるく方針を決めて動き出すことがおすすめです。

今はコロナ禍の最中ですから、今すぐできなくてもいいですし、気分が落ち着いてからでも大丈夫。大切なのは、自分には「方針を決めて動き出すことで、動かせる未来がある」ということを、忘れないこと。

特に子育て中の女性は呪縛として染みついている「母としての理想形」との板挟みになり、追い詰められて先を見据える余裕がなくなってしまいがちです。しかし、そんなときにこそ、5年後のわが子の成長を想像したり、伸びやかに笑っている自分や子どもの姿を思い描いたりして、「未来の可能性」を信じることが大切です。「今ほどしんどいことはない。今だけ、今だけ」と自分をいたわり、勇気づけてほしいです。

そして、「こうでなければいけない」という思い込みから自分を縛らないことです。「女だから」「母親だから」と、自分を型にはめているせいで苦しくなっているなら、逆に型から外れるようにあえて意識してみてはどうでしょうか。思い込みを外すには、わざとすっとんきょうな行動に出ることが肝心です。そうすると、「型にはめられている自分」と、「すっとんきょうな自分」の中庸バランスを保つ自分に出会えます。そうなると、また新たな可能性が広がっていくものです。

世間では、「過去の自分が今の自分をつくっている」と言いますが、過去に焦点を当てても過ぎた時間を取り戻すことはできません。私は「今の自分が未来をつくる」と考えるようにしています。そちらのほうが楽しいから。「今この時が残された人生で一番若い時」という思いが私の原動力です。

人生100年時代と言われ、私たちはうまくいけば70歳くらいまでは元気に働くことができそうです。そう考えると、40代ならあと30年は働くことになります。残りが3年くらいなら、なんとか逃げきれるかもしれません。でも、今のキャリアのまま生きるには30年は長すぎる。40代でのキャリアチェンジは、「今できることに、新しい何かを付け加えることで、可能性を広げられる行動」だと思います。

松田紀子
1973年生まれ。大学卒業後、リクルートで「じゃらん九州」の編集に携わる。2000年、メディアファクトリーに入社、コミックエッセーのジャンルを確立する。11年からコミックエッセイ編集グループ編集長。16年よりKADOKAWAの「レタスクラブ」編集長を兼務。2019年10月からファンベースカンパニー所属。現在同社ディレクター兼編集者として活動中。

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