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プロが教えるアイデア練習帳

2020/6/17

プロが教えるアイデア練習帳

先ほど紹介したオンラインメロン狩りの3つの特徴は、今回のアイデアにおける切り口です。では、これらの切り口を束ねる着眼点は何だったのでしょうか。私は、このアイデアの着眼点は「親子で楽しく学べる時間の提供」とではないかと考えています。

長い自粛期間の中で、子どもたちの学びの機会が限られていることを、私を含めて多くの親が心配しています。特に小学校の間は、学校の勉強はもちろん、山や川、動物園や博物館など、色々な経験をさせてあげたいはずです。しかし、自粛生活や県外の移動規制など、思うように学びの時間を取れずにいます。

そんな時、このオンラインメロン狩りは、子どもに様々な学びを提供できる良い機会です。

そもそもメロンはどんな場所で、どんな様子でできているのか。そして、どんな人が、どんな想いで作っているのか。さらには、気になることを気軽に質問できる機会まであります。

おいしいメロンが食べたいだけであれば、産直アプリで購入すれば良いのかもしれません。

しかし、オンラインメロン狩りの価値の本質は、親子で一緒に楽しい学びの時間を持てることにあります。

もちろん、本物の土に触れたり、匂いを嗅いだり、現地に行かないとできないことはたくさんあります。一方で、移動時間もなく、遠方からでも参加できて、現地に行くよりは時間もお金もかからないというオンラインならでもメリットもあります。

私は、県外移動の自粛が解禁されたあとも、オンラインを活用したこのようなアイデアは残っていくと感じました。

同じ着眼点を、異なるビジネスに応用する

また、このオンラインメロン狩りのアイデアは、農家だけでなく、多くの場面で活用できる発想のヒントを与えてくれます。「親子で楽しく学べる時間の提供」という着眼点を、自分自身のビジネスに当てはめてみると、どんなアイデアが考えられそうでしょうか。

例えば、筆記具メーカーであれば、文房具が工場で生まれる様子を学んだ後で、開発者に質問したり、自分のオリジナルカラーを注文したりするような販売方法のアイデアが考えられるかもしれません。

例えば、シューズメーカーであれば、走りやすい運動靴の作り方を学んだ後で、開発者に質問したり、自分のオリジナルカラーを注文したりすることも考えられます。

このように、多くの企業が、親子で学べるコンテンツの提供や、開発者との直接の対話、オリジナルグッズなどを用意することで、オンラインメロン狩りのような良質な「学びの時間」が提供できるのではないでしょうか。

もちろん、対応できる人数には制限があります。また、このアイデアだけで売り上げを大きく伸ばすのは難しいかもしれません。しかし、このような取り組みを通じて、企業や商品、さらにはそれを作っている人を好きになってもらうことができたら、そのメリットは非常に大きいものになるでしょう。

プロにとっての当たり前が、新鮮なネタになる

オンラインメロン狩りは、いつものメロン狩りをただデジタル化しただけ、ではありません。誰もが自宅にいながら、短い時間と比較的安価な費用で、いつもは行けない場所に行き、いつもは聞けない話を聞くことができる、新しい体験でした。

もしかしたら、農家の方にとっては当たり前の場所で、当たり前のことを話しただけだと思うかもしれません。しかし、プロの当たり前は、子どもだけでなく、親たちにとっても新鮮な驚きになります。その日の夕食の会話のネタになるかもしれません。友達に自慢したくなるかもしれません。もちろん、次に街中でその企業や商品を見かけたとき、いつもと違う目で見るでしょう。

このように、新しいアイデアを着眼点と切り口の視点を使いながら分析していくことで、新しいアイデアのヒントを発見することができます。ぜひみなさんもこの時期だからこそ生まれた新しいアイデアに、積極的に飛び込んで体験してみてください。きっと新鮮な驚きが得られると思います。

岡田庄生
博報堂ブランドイノベーションデザインディレクター。1981年東京都生まれ。国際基督教大学卒、2004年博報堂入社。PR局などを経て、現職。14年に日本PR協会「PRアワード2014」優秀賞受賞。共著に『博報堂のすごい打ち合わせ』など。

プロが教えるアイデア練習帳 (日経文庫)

著者 : 岡田 庄生
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 935円 (税込み)

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