家飲みでもバー気分 専門家に聞いたランクアップの技
新型コロナウイルス対策の外出自粛で、オンライン飲み会をはじめ「家飲み」の機会は増えるばかり。けれど自分の部屋でただ飲んでいるだけでは、バーでお酒を飲むときの特別感や高揚感が味わえない。マンネリになりがちな家飲みをいつもと違う雰囲気で楽しむ方法はないか、専門家2人に聞いて家飲みのランクアップを狙った。
「バーは日常と違う雰囲気で酒を楽しむ空間。そのための工夫がいろいろあるので、応用すれば家飲みを変化させることができる」。東京・新宿のショットバー「CANTINA(カンティーナ)」オーナーの岩下明さんはそう話し始めた。
バーと家庭のダイニングでまず違うのが照明の明るさ。「家庭の白っぽい光では日常感が出る。部屋の照明を落とし、キャンドルや間接照明で生活感をなくす工夫を」と岩下さん。
その上で音を消したテレビで映画を再生しながら別の音楽を流す演出をする。「あえて映像と音楽を違うものにして、バーのような非日常の空間を作り出す」のだという。
バーの楽しみであるカクテルも家で再現可能だ。グラスに直接つくれるビルドスタイルが挑戦しやすいらしい。ベースはジンやウオツカ、カンパリなど甘みのないものが汎用性が高いそうだ。「飲みやすさを求め甘いリキュールなどに手を出しがちだが、家では持て余すことが多い」(岩下さん)。
割り材は、炭酸水やジンジャーエール、果汁100%のオレンジジュース・リンゴジュースなど。割り材4、ベース1が基本配合で、「生の果物を使うとさらに美味になる。思いつきでオリジナルを作るのも楽しい」
氷は業務用のかち割り氷を使いたい。スーパーやコンビニでも手に入るが、こだわるなら酒販店の業務用氷を。岩下さんは「氷にこだわるだけで味も見た目も格段に上がる」と強調する。溶けにくく、飲み物が水っぽくならないのに加え、透明度が高いので見た目も美しい。
家ではだらだらと飲みがちだが、時間に気を配ることも大切だ。「映画が1本終わるまで、CDを聞き終わるまでなど、あらかじめ"閉店時間"を決める。片付けができる余力を残すのが飲み過ぎないコツ」で、コースターをきちんと使ったり、飲み物ごとにグラスを替えたりする一手間で気分は変わるそうだ。
一方、ボトル1本あるだけでぜいたく感が出るワインも家飲みの強い味方だ。メルシャン(東京・中野)料飲ブランディング支社の斎田美紀さんは「ワインは華やかさの出る飲み物だが、汎用性も高いのでアレンジに挑戦してほしい」と話す。斎田さんが、暑い季節にすすめるのがロックワイン。たっぷりの氷にワインを注ぐだけの手軽さだ。
見た目のおしゃれさを狙うなら、普通の氷の代わりに自家製アイスキューブを使ってもいい。製氷皿にハーブやカットフルーツを入れ、水を入れて凍らせ、グラスに入れてワインを注ぐ。
氷の代わりにスーパーなどで手に入る冷凍のマンゴーやベリーミックスを使うやり方もある。
さらに手軽さを狙うなら、フルーツ味のアイスキャンディーをグラスに入れ、ワインを注ぐだけでもいい。
「バーやカフェのワインベースカクテルも、家庭にあるもので簡単に作れる」と斎田さん。基本の配合は1対1で、ワインを好みのジュースなどで割るだけ。赤ワインとジンジャーで「キティ」、赤ワインとコーラで「カリモーチョ」、白ワインとジンジャー、レモン果汁で「オペレーター」など多彩だ。炭酸水で割れば、ワイン版ハイボール「スプリッツァ」になる。
飲み残してしまったワインは、自家製サングリアにするといい。ワインと同量のオレンジジュースを混ぜ合わせ、リンゴやバナナ、オレンジなどフルーツを加えて一晩寝かせるだけだ。「ガラス製の容器に入れるとそれだけで華やかなコーディネートになるので、インスタやオンライン飲み会でとても映える」
斎田さんは「ロックワインもカクテルも、アルコール度数や割り材の種類にルールはない。試していくうちに自分好みの味を見つける楽しさもある」と話す。日常的になりがちな家飲みに、華やかさや楽しさが加わりそうだ。
(ライター 李 香)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。