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なぜ一流ホテルは最高の「おもてなし」ができるのか

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NIKKEI STYLE

東京五輪招致のプレゼンテーション以来、日本的気遣いや心配りの象徴のひとつにもなった「おもてなし」。見事な接遇が居心地のよさを生むホテルのサービスが身にしみることもしばしばだ。「一流」と称されるホテルのおもてなしがいかに生み出されているか、その裏側をのぞいてみた。

全世界のザ・リッツ・カールトン・ホテルカンパニー(以下リッツ・カールトン)の従業員は、お客様へのおもてなしの基礎となる理念「ゴールド・スタンダード」が記載されている4つ折の小さなカード「クレド(信条)・カード」を常に携帯している。1997年開業の「ザ・リッツ・カールトン大阪」は日本での1号店で、そのサービスには定評がある。

仕事を始める前には、いつもゴールド・スタンダードの復習を行う。これは全世界のリッツ・カールトン共通で、部署ごとに記念日や特別なサービスが必要なお客様などの情報も共有する。リッツ・カールトンと言えば、チェックインしたその時から"お客様"ではなく"名前"で呼びかけられることで有名だ。それは"お客様の近くに寄り添う"気持ちを表すために他ならない。「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女」というモットーは「自分がこうありたいと思う紳士淑女の方なら、どのようなおもてなしをされるかを常に考えなさい。それができるようになるためには自分自身も紳士淑女でないといけない」ということだという。

スタッフはみな主体的に考え、行動する。「ある時、宿泊客のお子様が大切にしていたクマのぬいぐるみをロビーに置き忘れたまま、チェックアウトされたのです。お子様がショックを受けているに違いないと思ったベルキャプテンは、ホテルのマスコットとそのクマのぬいぐるみが仲良さそうにホテル内を巡る写真を添えて、そのクマをお手元にお送りしたのです。お子様は、クマが楽しんでいたことを知り、喜ばれたと聞きスタッフ全員うれしい気持ちになりました」というエピソードを耳にした。

格式高いラグジュアリーホテルと聞くと、ゲストとスタッフとの間に距離があるように思われがちだが、それは違う。いかに顧客に寄り添い、サポートできるかがラグジュアリーの価値ではなかろうか。

「シャングリ・ラ ホテル&リゾーツ(以下シャングリ・ラ)」の日本1号店は、東京駅から徒歩1分の「シャングリ・ラ ホテル 東京」だ。東京駅のホームで赤い制服姿のベルスタッフを見かけた人もいるかもしれない。新幹線や成田エクスプレス利用のゲストを対象に、事前に受けた車両情報の連絡をもとに当該列車・車両のドア前でお待ちする」ミート&グリートというサービスである。

シャングリ・ラのホスピタリティは「家族を思いやる心から」がフィロソフィー。スイートの客室ともなると一泊100万円を超す。そんな部屋に泊まる顧客にどのように接するか? シャングリ・ラでは「もし目の前のお母さんや兄弟、ご家族が困っていたり、元気がなかったりしたら、どのように接するかを考えて」と新入社員に教育する。

入社の際のオリエンテーションは、社員やパートタイマーのみならず館内で働くすべての職種スタッフが対象。お客様対応などのロールプレーイングに始まり、シャングリ・ラのサービスの根源にある精神の習得に努める。

その際のメニューの一つ"ウェルカム・ランチ"もユニークだ。研修を受ける人(トレーニー)だけでなく総支配人や部門長も同席し、顧客と同じ食事やサービスの提供を受ける。ホテルの厨房と宴会スタッフは、毎回新しい仲間のためにメニューやサービスに工夫を凝らす。まさに家族をもてなすのと同じようにである。

クレジットカードを盗まれ困っている顧客と一緒に警察に行き、手続きをサポートしたり、客室内に薬を忘れてチャックアウトしたゲストのために空港まで届けに行ったり。そこまで顧客のために尽くすのは「もし、家族が同じ状況だったら…」。そんな行動指針を全員で共有しているからに違いない。

ゲストのあらゆる要望に応えるコンシェルジュの存在は、心強い。スタッフ全般の丁寧なサービス、そしてコンシェルジュの質の高さでよく知られるのが「マンダリン オリエンタル」。「マンダリン オリエンタル 東京」の開業でチーフコンシェルジュだったのは、最も権威の高いコンシェルジュ国際団体「レ・クレドール」日本支部の会長だった。こうした優れたコンシェルジュを育成するためには、充実したトレーニング、報酬、キャリアアップの機会などが欠かせない。

伝統を受け継ぐ老舗ブランド「マンダリン オリエンタル」の根底にあるのは"伝説的なサービスと品質"。それはソフト・ハードの両面に及ぶ。世界どこでも同じというのではなく、それぞれの土地柄や文化を取り入れながら設計されているという。

これぞ、マンダリン オリエンタルならではのサービスというものにかつて出会ったことがある。シンガポールのマンダリンに宿泊した際、館内のどこかにピアスの片方を落としてしまった。チェックアウトの際、コンシェルジュにその旨告げたら「ピアスの写真を撮らせてください。探します」と。小さなもので、おそらく見つからないだろうと半ばあきらめていたのだが、その2日後に「発見しました!」と連絡があった。

ホテルの全スタッフが情報を共有し、探し出してくれたのに頭が下がると同時に、大切にしていたピアスだったので、喜びはひとしお。急ぎ御礼のメールを送ったのを覚えている。

顧客とのそんなドラマの一つ一つが、また次のおもてなしへとつながる。勤務歴が長いスタッフが多いマンダリン オリエンタルのレガシーは、こうして築き上げられたものなのだ。

小野アムスデン道子
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。

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