どうなる統計調査 新型コロナで難しい対面、質に課題

調査員不足は長年の課題(2015年、東京都内)
調査員不足は長年の課題(2015年、東京都内)

新型コロナウイルスの感染拡大で官民の調査活動に変化が起きています。調査対象となる世帯や企業に調査員が足を運んで趣旨を説明したり、対面で話を聞いたりするのが難しいためです。インターネットや郵送による回答を推奨する動きが広がっていますが、調査の質の低下を懸念する声もあります。

総務省が5年に1回実施している国勢調査もその一つです。今年は日本で国勢調査を始めてから100年の節目の年にあたり、秋に調査を実施する予定です。従来、調査員が各世帯に調査票を持参し、調査の趣旨を説明してから手渡していました。調査員は時間をおいて再び世帯を訪問し、内容をチェックしたうえで回収します。回答は郵送やネットでも受け付けてきましたが、調査員による訪問を中核に据えた調査だといえます。

コロナ禍のなか、今年は調査票の手渡しをやめる予定です。「インターホンで話をしてから郵便受けに入れるといった工夫をしながら調査を進めたい」と総務省の担当者は説明します。回答は郵送やオンラインが中心になるため、記入漏れへの対策を検討中です。結果の公表は当初予定の2021年2月より遅れる見通しです。

各種の調査を担当する経済産業省などもネットや郵送への切り替えを表明しています。各省庁が精度が高いデータを集められるかどうかは、国の統計の信用を左右します。

コロナ禍は民間の調査活動にも影響を及ぼしています。民間調査会社、日本リサーチセンター(東京・墨田)は3~5月、全国を対象とする訪問調査を中止しました。調査員が感染予防を十分にしても、調査対象から協力を得るのは難しいと判断したためです。同社は「多様な人からの意見を集めるには、調査対象と対面で接触する機会が大切」(中村美生・執行役員管理本部長)とみており、コロナ禍の情勢を見極めながら訪問調査の再開を計画しています。

官民の間でネット調査が一段と活発になりそうですが、調査費用を節約しやすい半面、回答者の属性に偏りが生じやすいといった問題があります。

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中村美生・日本リサーチセンター執行役員管理本部長「