プログラミング講座 「手に職」求め、申し込み倍増

仕事で使えるプログラミングを学ぶ講座が人気です。IT人材の慢性的な不足が背景にありますが、コロナウイルスによる外出自粛や飲食・サービス店舗の休業期間を過ごすなかで、スキルアップの意欲が高まっています。

講座の料金にばらつき

就職・転職に向けた大人向けのプログラミング講座の値段には大きなばらつきがあります。講座の期間によっても異なりますが、無料のものから50万円を超えるものまであります。インフラトップ(東京・渋谷)が提供する「DMM WEB CAMP」では3カ月間の受講で62万8000円(税別)となっています。1カ月目に個人で基礎のプログラミングを勉強します。2カ月目にはグループに分かれ、実践的なチームでの開発を経験します。最後の3カ月目には、また個人でオリジナルなサービスの制作をします。

昨年10月に「4カ月目にAI・クラウドを学習できる講座」(82万8000円)と「学習期間を8週間~16週間から選択でき、働きながら学習できるオンライン講座」(41万8000円から)も始めました。最近は「4カ月目にAI・クラウドを学習できる講座」が一番人気です。経産省認定の講座で国から最大56万円の給付金が出るのが人気の理由です。

受講生に話を聞くと、こんな答えが返ってきました。「62万8000円、高いと思います」。そうですよね。でもこの受講生の方は「いろんなプログラミングスクールを選ぶ際に就職実績が高いというので選んだんですけど、就職した後の離職率が低いというのも大きかったです」と続けました。金額に関しては高いとしながらも、受講生は就職実績と就職した後の離職率の低さを選んだ理由として挙げていました。

「リモートワークがしたい」が志望動機

DMM WEB CAMPの今年6月の申込者は1年前と比べると2.7倍と大幅に増えました。じつは今年の3月末から4月にかけて受講希望者は減少していたそうです。担当者は「景気悪化を懸念し、このタイミングでの転職を躊躇する方が増加しのでは」と話します。ところが、5月中旬から申込者数が一気に増加し始めました。外出自粛や休業期間を過ごされる中で、「スキルアップしたい」「手に職をつけ安定した職につきたい」という意識が高まってきています。なかでも、飲食やサービス業の人が多いそうで「リモートワークがしたい」という理由も目立っています。

コロナ感染対策のため、5月から教室を閉鎖しオンラインで講座を開いています。教室と変わらないサービスを提供するため、バーチャル教室など工夫しています。仕事をしている、地方に住んでいるといった「教室に通えない方」から申し込みがあります。

■不足続くIT人材

IT人材は現状、26万人が不足しており、今後もさらに足りなくなるとみられています。2030年には59万人不足するという試算もあります。採用市場も過熱気味で、エンジニアの求人倍率は平均で7~8倍、東京都内の場合は20倍~30倍とも。

IT人材の賃金もほかの職種より高くなっています。賃金構造基本統計調査によるとIT人材の中でもシステムエンジニアの年収は2019年に568万9000円。全職種の平均年収(440万7000円)で約130万円の差があります。今後も人手不足が続くこと、そして足元の雇用関係が急速に悪化していることもあり、人気が高いようです。

この講座の就職成功率は98.4%となっています。2カ月目から専属のキャリアアドバイザーが付き、面談を重ねていきます。受講生に合った企業を提案することなど就職・転職への支援が手厚い。講座自体は3カ月で終了しますが、その後3カ月は就職・転職を引き続きサポートします。それでも、就職・転職できなかった場合には、受講料を全額返金する「転職保証付き」の講座となっています。やはり高いものにはそれなりの理由がありますね。

値段の方程式はこうなります。プログラミング講座の値段=講座の充実度+就職・転職に対しての手厚さによって決まる。

取材をしていて残念だったのが、「転職保証が付くのは30歳まで」だそう。私はとっくに保証期間を過ぎていました……。厳しいですね。

(BSテレ東日経モーニングプラスFTコメンテーター 村野孝直)

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜から金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。
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