アイナ・ジ・エンド、あっこゴリラ コラボ楽曲で脚光
女性ソロアーティストから次にブレイクするのは誰か。「ストリーミング」や「ミュージックビデオ」のランキングから"ネクストあいみょん"候補探った「ちゃんみな・milet ストリーミングで躍進の女性ソロ」に引き続き、「コラボレーション」「SNS」「タイアップ」のランキングからチェックしてみよう。
フィーチャリングやコラボレーションといった、他のアーティストと一緒に楽曲を生み出すことで、注目を集める若手も出てきている。
これまでも、ラップシンガーのDAOKO(2015年デビュー)が、17年公開のアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の主題歌『打上花火』で、米津玄師とコラボして大ヒット。18年に『NHK紅白歌合戦』に出場し、ミュージックビデオの再生数は現在3億4000万回を突破している。
参加楽曲数が19曲で、1位となったのがアイナ・ジ・エンド。女性6人組グループBiSHでメインボーカルを務め、18年にはソロデビューも果たしている。ハスキーボイスと評される彼女の歌声は、かすれ方が独特のため一聴するだけで耳に残り、しかも胸を締めつけるようなエモーショナルな歌唱法も備える。
それが、幅広いジャンルのアーティストの心をつかみ、MONDO GROSSOやTeddy Loidといった音楽クリエイターから、LUNA SEAのSUGIZOやMY FIRST STORYといったバンド勢に至るまで、様々な楽曲にボーカルとして呼ばれている。
2位となったのは、18年にデビューした、あっこゴリラの18本。彼女はラッパーのため、ヒップホップやR&Bといった、近年日本でも盛り上がりつつあるアーバンミュージックとの相性がいい。特にストリーミングでは、コラボ相手のページから自分のページにワンタップで簡単に飛べるため、様々なアーティストとコラボすることが、ヒットへの伏線になると言われている。
彼女も向井太一といった人気R&Bシンガーや、同世代の様々なDJらとコラボすることで、お互いのファンを共有しつつ、知名度を高め合っている。
AAA宇野実彩子や上白石萌音がSNSで強さ発揮
SNSが広く浸透した現在では、こうしたツールを使いこなすことで、新しいファンを獲得したり、既存のファンとコミュニケーションを図ったりと、アーティスト自身の発信力が求められている。
そこでツイッターとインスタグラムのフォロワー数を見ると、トップ3には、山本彩、あいみょんに加え、18年にソロデビューしたAAAの宇野実彩子が入った。宇野は両SNSで共に約100万人のフォロワーを獲得。ライブの舞台裏やモデル活動のオフショットだけでなく、動画も積極的に上げる。最近では西島隆弘とコラボした動画もアップして話題となった。
インスタ4位は、女優で音楽活動にも本腰を入れる上白石萌音。16年のデビュー以降、RADWIMPSの野田洋次郎が作詞作曲した『一縷』など、人気クリエイターを迎えた楽曲をリリースする。
そしてSNSで支持を得て、デビューを果たすアーティストも目立つ。ツイッター4位のキズナアイは、VTuberの先駆け的存在で、フォロワー数は53万人。18年に歌手デビューし、昨年1stアルバムを発売した。YouTubeのチャンネル登録者数は270万人と、発信力の高さは随一だ。
190万人のフォロワー数を持つTikTokから人気に火が点き、今年3月に歌手デビューを果たしたのが、ツイッター5位のねお。男性ファンだけでなく、10代20代の女性ファンも多く抱えているのが強みだ。
CMやドラマでの楽曲使用、miletやUruに注目
CMやドラマ主題歌などのタイアップに使われた曲数では、17年にデビューした、フィリピン出身の実力派シンガーのBeverlyが1位。2位は「LINEオーディション」で12万組の中から選ばれ、17年にデビューしたシンガーソングライターの足立佳奈だ。2人ともCMやアニメなど30曲近いタイアップを獲得しているが、前述のセールランキングなどでは上位に入っていない。
一方、「ダウンロード」や「ストリーミング」で上位のmilet、Uruが4位、5位にランクイン。いずれもドラマ主題歌がヒットしており、miletに関しては今年に入ってから、人気アニメシリーズ『Fate』のエンディング曲にも抜てきされている。
タイアップは数も重要だが、それ以上に使われ方、そして曲とマッチした世界観の楽曲を生み出すことができるかが、問われていると言えるだろう。
(ライター 中桐基善)
[日経エンタテインメント! 2020年6月号の記事を再構成]
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