HYT 「H0 ブラックフルーイド」
液体表示の機械式時計という驚天動地の発想を見事カタチにし、2012年デビューの新鋭でありながらたちまち世界中のディープな時計ファンをとりこにしてしまったHYT(エイチ・ワイ・ティー)。「H0(エイチゼロ)」はブランドの最も新しいコレクションで、これまで露出していたムーブメントを隠すことで画期的な表示システムを際立たせているのが特徴だ。
簡単にその構造を説明すると、ふたつの金属製フイゴがダイヤル外周にある直径1mmのガラスチュープに充填された成分の異なる2種類の液体(色付きと透明)を圧縮・減圧することで、レトログラード式に「時」を表示するというもの(「分」は12時位置で、「秒」は9時位置でそれぞれ針により表示)。ご覧のモデルはそこに加わった新たなカラーバリエーションで、液体や針、目盛りにオレンジカラーを採用した。ブラックの外装とより強いコントラストをなし、持ち前の近未来的なテイストともぴったりマッチしている。とびきり個性的なオールブラックがお好みなら、こんなモデルはいかがだろう。
ロジェ・デュブィ 「エクスカリバー ウラカン」
ランボルギーニのレーシング部門、ランボルギーニ・スクアドラ・コルセと2017年からパートナーシップを組んでいるロジェ・デュブィ。「エクスカリバー ウラカン」はその関係性から生まれたシリーズで、超高性能スポーツカー、ランボルギーニ ウラカンのエンジンルームをほうふつさせるアグレッシブなスケルトンデザインが魅力だ。
ご覧のモデルは2020年バージョンで、チタンケースから針、目盛りに至るまですべてブラックで統一。前方に12度傾けて置いたバランスホイールをはじめとする個性的なムーブメントの造形を、より妖しくセクシーに見せている。クルマ好き、機械好きにはたまらないモデルだ。
シャネル 「J12 パラドックス」
厳密にはオールブラックではないが、このブームに先べんをつけたシリーズということで、最後に「J12」のスペシャルな新作を紹介したい。2020年はシャネル初の機械式腕時計としてフルブラックセラミックのJ12が登場してから20年の節目。
こちらはそれを記念したモデルのうちの1本で、外装をブラックセラミック×バケットダイヤモンド(ベース部分は18Kホワイトゴールド)というなんともぜいたくな2トーンで仕立ててきたのだ。加工の難しいセラミックと地球上で最も硬い物質であるダイヤモンドをこのようにきっぱり直線で切り替えることは、相当高度な技術力がなければ困難なはず。ブラックのミステリアスさとダイヤモンドのゴージャスな輝きがスリリングな拮抗を見せる、いかにもシャネルらしいハイセンスなジュエリーウオッチだ。
(ライター 吉田巌:十万馬力)

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