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画像はイメージ=PIXTA

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 社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには何が必要か。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室代表の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。

新型コロナウイルス感染症対策で、場所や時間にとらわれないテレワークやリモートワーク(遠隔勤務)の普及が急速に進んでいます。通勤や客先を訪問する必要がないなど、効率的な新しい働き方として注目を集めています。ただ、出社して対面で仕事をする従来の働き方からの変化は、運用次第では社員のストレスを増し、メンタルヘルス不調を招きかねません。

産業医として面談した、IT企業へ入社したばかりの20歳代女性の事例です。

今年4月1日に入社、オンラインで1カ月間の在宅研修の後、配属先も決まり、現在は在宅勤務で職場内訓練(OJT)を受けています。新型コロナ対策として入社以来、出社することなくテレワークを続けています。

4月中旬から、頭痛や胸の痛みを覚え、不眠に悩まされるようになりました。

就職で上京してひとり暮らし。会社の先輩たちは「みんな、すごく優しい」とはいうものの「仕事上の会話しかしていない」といい、「人とまともに話をしていない」と訴えていました。

「早く一人前にならなくては」

現在は先輩の指導を受けながら、仕事を学んでいく段階ですが、「早く一人前にならなくてはいけない」というプレッシャーを感じているといいます。新人を集めた技能テストで残念な成績に終わったこともあり、「こんな成績で、この会社で働いていけるのだろうか」と思い悩み、「どうしても自分を責めてしまう」というのです。

業務についての基礎知識がないこともあり、不明な点をメールやチャットで先輩に質問しても、回答の意味がわからず、質問と回答の繰り返しで1日が終わってしまったことも。自分自身にうんざりして、質問を躊躇(ちゅうちょ)するようになってしまいました。

「自分で頑張らなくてはいけないことはわかっていても、意欲がわかない」「先輩が教えてくれることが頭に入ってこない」「パソコンを開けない」といい、自分でも理由も分からぬまま、仕事中に涙が止まらなくなってしまうこともしばしばあるそうです。「何もできず悲しい。自分が全てダメだと思えてしまう」と訴えていました。

このまま仕事をしていても、うまくいかないことは目に見えています。そこで、実家に戻って静養し、近所の心療内科に通うなどして、体調が回復したら東京に戻ってくるように助言しました。ただ、それでも本人は「それは甘えではないか。周りの人の目も気になる」と納得できない様子でした。

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