同社はフォーチュンを開発する際、Z世代の特徴を把握するためにWebアンケートを実施。15~28歳までの女性を対象に、各年齢別に「価値観」「スマホ利用実態」「理美容/化粧品に対する意識/実態」「化粧品利用実態」「化粧品購買行動」を調査した。

この調査で分かったZ世代の特徴として、「Z世代は情緒的価値よりも機能的価値を重視する」ということがある。

「例えば、この世代はパーソナルカラーを表す『イエベ(イエローベース)』『ブルベ(ブルーベース)』といった言葉を多用する。一般的に、肌の色が黄みよりの人はイエベ、青み寄りの人はブルベに分類され、それぞれに映えるコスメの色があるといわれている。Z世代がこうしたワードを重視する背景には、『自分自身の肌に合う・合あわないを大切にする』という価値観があるのだろう」(コーセーコスメポートの商品開発部)

ただし、機能性を重視する一方で、ポイントメーク(リップやチークなど)では「ブランドの世界感も重視する」ということも分かった。

そこでフォーチュンは、「クリスタルトリッピング」という色素を全品に配合し、肌色になじみ、血色がよく見えることに徹底的にこだわった(機能的価値)。同時に、商品のパッケージでは「姫系」のかわいらしい世界観を表現し、世界観重視の層にも応えられるようにした(情緒的価値)。

情報はネットで、購入は店頭で

この調査ではもう一つ、Z世代のコスメの買い方の特徴も浮かび上がった。例えば、「Z世代は商品を購入する際、慎重かつ合理的に意思決定をする」という点だ。欲しい商品があれば、その商品に関する情報をネットや数件のお店で調べ、よく考え、本当に良いと思わなければ購入しない。堅実な買い物をする一方で、消費意欲自体は高く、好きなモノ・コトにはお金をかけてもいいと考える傾向が強いというのだ。

デジタルへの接触率も高かった。SNS(交流サイト)を利用しているZ世代は8割以上、高校生は9割以上だった。情報収集に使用するのは、インターネットの美容口コミサイトが中心でInstagramなどのSNSやドラッグストアの店頭が主流だ。

一方で、ECサイトの利用率はそれほど高くない。口コミは参考にするが、実際に自分で試してから購入したいという考え方が強いからだ。コスメを購入する際は、オンラインで情報を集め、オフラインでテスターを試し、ドラッグストアで購入するという流れが一般的だった。

フォーチュンでは、Z世代のこうした特徴を踏まえ、オンラインとオフラインの情報が融合したようなキャンペーンを展開した。

例えばマス宣伝では、Z世代から圧倒的な支持を得ている男性アイドルグループ、Hey!Say! JUMPを大々的に起用。同時に、YouTubeやInstagramを中心にデジタル上での商品情報の接触回数を高め、同世代の関心を得ることに努めた。

SNSにはフォーチュンの写真も多く投稿されている。Hey!Say! JUMPの写真やグッズと一緒に撮った写真を投稿する人も多かった

こうしたオンライン上でのキャンペーンと同時に、オフラインでのトライアルイベントも実施した。SHIBUYA TSUTAYAでは、実際に商品を試すことができる「『マシュマロティントルージュ』発売記念トライアルイベント@SHIBUYA TSUTAYA」を実施。オンラインで情報を集め、オフラインでテストして購入できる、という流れを大切にした。

HIBUYA TSUTAYAで実施したマシュマロティントルージュのトライアルイベントの様子(写真提供/ SHIBUYA TSUTAYA)

(ライター 近藤彩音、写真提供 コーセーコスメポート)

[日経クロストレンド 2020年6月3日の記事を再構成]

「ヒットを狙え」の記事一覧はこちら

「マーケ・デジタル戦略」が分かるデジタルメディア、日経クロストレンド

「日経クロストレンド」では「P&Gマフィア」「AIを使ったリアル店舗の逆襲」「クルマ・鉄道を変えるモビリティ革命『MaaS』」「中国ネット企業の実情」など、次の時代を予見するマーケティング・デジタル戦略の特集記事を毎月たっぷりお届け。マーケ担当者に加えて、経営者・役員やIT担当者など、幅広い層に読んでいただいています。