生涯年収を決める20代の仕事 資格より役立つものは『20代で人生の年収は9割決まる。』

 できるだけ早く花を咲かせ、できるだけ多くを刈り取る。このような効率を優先した働き方は、もはや過去のものとなりました。これからは、しっかりと耕して強い土壌をつくり、そこに種をまくような、本質を追究する働き方が残っていきます。
 就職してから三〇歳くらいまでは、所属する会社を使って、自分のやりたいことと、自分に合ったワークスタイルを見極め、自分を磨き抜く期間。いわばビジネスパーソンとしての「仕込みの八年間」です。ここさえきちんと押さえておけば、生涯にわたって運用できる「自分というビジネス資産」ができます。
 二〇代から地味な仕込みをし、年齢ごとにやるべきことを着実にやった人が、それぞれの形の自分らしい成功に向かって歩いていく。仕込みというのは自分の核をつくることでもあり、その意味で、「20代で人生の年収は9割決まる」のです。
(はじめに 不確実時代のシビアでリアルな方法論 11~12ページ)

20代に友だちはいらない

序章では、今の時代を勝ち抜くキャリア戦略について論理的に説明します。ここを読めば、自分のキャリアを真剣に考えるためのマインドセットができるはずです。そして第1章からは、シンプルな方法論が展開されていきます。社会人になってからの時系列をたどりながら、それぞれのステージでどう動いていけばよいかを解説する構成になっています。

・第1章 二〇代で始める「仕込みの八年」のルートマップ
・第2章 二〇代:「仕込み」に最適な会社の選び方
・第3章 二〇代前半~:仕込みをしながら会社に尽くす
・第4章 二〇代後半~三〇代:自分のナンバーワンをつくる
・第5章 三〇代~:会社を超えて「自分」を売り出す

土井氏の文章の特徴は、たとえ話や比喩がとてもわかりやすいことです。語り口はとても歯切れがよいので、すいすいと頭に入ってくることでしょう。できれば、一つの項目を読むごとに本を閉じて、少し自分の状況や仕事の内容について振り返ってみてください。

例えば「二〇代に友だちはいらない」というアドバイスについて、皆さんはどんな印象を持ちますか。著者は「仕込みの時期の二〇代、勉強会やサロンを開くのはネットワークづくりや自分の経験としては意味がありますが、これを友だちづくりと混同してはなりません」とアドバイスします。その上で「僕自身、二〇代を振り返って一番よかったのは『友だちと遊ばなかったこと』です」と言い切ります。

「友だち」とは、自分にとってどんな存在なのでしょうか。「友だちがいらない」ことの真意は、次のように解説されています。

 その意味で、二〇代が付き合うべきは「仲間」です。
 仲間とは、タッグを組んだら面白い仕事ができる人。強みやスキルを持っていて、それは自分とは異なるものであることが大切です。つまり、気の合う仲間とは違います
(中略)
 単なる同じ会社の人、同じ大学でよく遊んでいた同級生、ゼミやサークルが一緒だった人、SNSでいいねをくれる人――これらは、あなたの人生に必要がない人たち。なんとなく遊ぶ友だちには、こうした人が多く混じっているものです。
 友だちとは今の自分の実力や価値観に合った人の集まりなので、成長するにつれて、合わなくなった人とは縁が切れていくのが自然です。
(第3章 二〇代前半~:仕込みをしながら会社に尽くす 135~136ページ)

「新卒の場合、入社三年目までは自我を捨てて働くといい」といった表現も出てきます。ただし、これは根性論ではありません。「会社の奴隷になって働く」という意味とは違います。「自我を捨てること」とは、言い換えれば「成功者のマインドにチューニングすること」なのです。言われがままに働いて「うまくいくパターン」をマスターしてから、自分のやり方を模索しても遅くはないという発想です。成功のための高度なビジネス戦略なのです。

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