あいみょん 初のバラード『裸の心』、絶妙な編曲術

日経エンタテインメント!

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近年の活躍で、若手女性シンガーソングライターの筆頭的存在となった、あいみょん。彼女のニューシングル『裸の心』は、赤裸々なラブソングで、シングルでは初のバラードとなっている。

『裸の心』 曲の原型は2017年にできていたそうだが、楽曲制作のやり取りを経てトオミから届いたアレンジを聴いたときには、涙が出たとあいみょん本人が語っている。5月1日から先行配信中(ワーナー/1000円/6月17日発売)

作詞・作曲は従来通りあいみょんが務めた本作で、編曲を担当したのがトオミヨウ。中島美嘉や平井堅、菅田将暉など幅広いアーティストの楽曲に携わってきたプロデューサーだ。これまでもあいみょんとタッグを組んできたトオミは、彼女との楽曲制作について、「iPhoneで録音した弾き語りのデモ音源をもらうんですが、その時点でメロディーや歌詞に加え、歌いまわしも完全に出来上がっていて。既に完成図が見えている状態なので、それに肉付けするだけでいいんです」と明かす。

本作もほぼ完成した状態で届いたそうだが、あいみょん側からは「壮大なバラードではなく、あくまでも私的な雰囲気にしたい」とのリクエストがあったという。

そこでトオミは、アコースティックギターとピアノを基調にしながらも、そこに鍵盤ハーモニカを加えた。「バラードで切なさを表現する際、僕もそうなんですが、ストリングスに頼りがちになってしまう。ただこの曲は、すごくうまいミュージシャンが集まって弾いているというより、アマチュア感を出したほうがマッチするなと。そこでチープ感のある音色が特徴の鍵盤ハーモニカを1番から鳴らすことで、“素朴さ”が心地いい違和感を醸し出すように仕上げました。2番からはストリングスも入ってきて、そのミックス具合も、面白い感じになっています」

また、冒頭から雨粒が1滴1滴落ちていくかのような音も入れている。「アレンジする際、98%は必要な音でいいと思うんですが、少しだけそこからずれた音を入れると、リスナーの耳にいい意味で引っかかるんです。前半にはドラムが入っていないので、この音がリズムの役割も果たしています」

トオミヨウ
1980年11月14日生まれ。大学時代にソロ活動と並行して、プロデュース業を始める。これまでポルノグラフィティ、玉置浩二、V6などの楽曲に参加。アコースティックからロック、エレクトロまで幅広いサウンドに精通する
あいみょん
2016年にメジャーデビューした女性シンガーソングライター。18年にリリースした『マリーゴールド』が、ストリーミングを中心に大ヒットし、同年末には『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たした。『裸の心』はシングルとしては初のバラードで、4月期ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)の主題歌に起用されている

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2020年6月号の記事を再構成]

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