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居酒屋で酒のテークアウトOKに 家飲みにレアな一品

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新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が全国で解除されたものの、社会が安定するまでの道のりはまだ長い。飲食店の営業自粛も緩和されたが、席数を大幅に減らしたり、エアロゾル飛沫防止のパーティションを設置したり、苦境は続いている。そんな中で飲食店は、テークアウトや宅配といった新たな取り組みでしのいでいる。ただ、居酒屋などでは料理はテークアウトできても、酒類はテークアウトできず、居酒屋の通常メニューを楽しむことができない。ほとんどの飲食店は酒類販売の免許を持たないからだ。

しかし、新型コロナウイルスによる影響で大きな打撃を受ける飲食店を支援する対策として、国税庁が4月9日、料理店などに「期限付酒類小売業免許」を付与することを発表。在庫商品などをテークアウト販売できるようにした。「料理店等期限付酒類小売業免許」は、免許を付与されてから6カ月間有効で、6月30日まで申請を受け付ける。

東京・千代田の「北出食堂」は、店主の北出茂雄さんがニューヨークで出合ったメキシカンタコスを看板料理としながら、米国料理や和食の要素なども幅広く取り入れたメニューを展開する人気店だ。緊急事態宣言が出るより前の4月初旬から店内営業をやめテークアウトのみとしたが、酒類がテークアウトできないこともあり、売り上げは3分の1ぐらいになってしまったという。「飲食店はお酒が出ないと厳しい。取引先のワインのインポーターから制度の話を聞いてすぐに申し込みました」と説明する(6月1日からは、店内営業も再開した)。

北出さんが驚いたのは、そのスピードだ。免許付与にかかわる審査は付与後となるため、「記載に不備があるとの指摘で、最初の申請から取得までに2週間ほどかかってしまったが、そうでなければ1週間ほどで取れたのでは」と話す。5月29日時点で申請件数が全国で2万2449件。付与件数は2万1943件だから、申請が速やかに処理されている様子がうかがえる。雇用調整助成金の申請方法が複雑で、申請自体のハードルが高いことなどに比べると、「失礼ながら役所仕事とは思えない」と取得者にはすこぶる評判が良いようだ。

「お酒、お店で買えるんですか?」

早速SNS(交流サイト)で発信するとそれを見た客から、酒販についての問い合わせが相次いだ。「うちはお客様が近隣の酒屋で入手できないような自然派ワインをそろえているので、料理と一緒にワインを買い求めていかれる方が多い。先日は、赤白ロゼにスパークリングワインと、4本用意しておいてくださいというオーダーが電話で入りました」(北出さん)と、客のニーズは高いようだ。

この免許は量り売りも可能で、同店ではテキーラやメスカル(いずれもメキシコの蒸留酒)などをショット売りしている。メスカルをテークアウトしたいと水筒を持参し、5ショット分の酒を買い求めていった客もいたという。「日本では、テキーラの方がよく知られていますが、ニューヨークではみなメスカルばかり飲んでいた。独特のスモーキーな香りのものが多くそれが魅力で、うちの店でも人気のお酒です」(北出さん)。

飲み慣れないメスカルをいきなり瓶で買うのはハードルが高いが、水筒持参でショット売りしてくれるのならば、試してみたいと気持ちが動く。複数の種類の酒を飲み比べるという、ショット売りならではの楽しみ方もできそうだ。

在庫品を売るというだけでなく、北出食堂は「料理店等期限付酒類小売業免許」に関連したプロジェクトにも参加した。親しい付き合いのある近隣の居酒屋「和酒彩菜 遊月亭」の店主で酒屋でもある高橋建さんが立ち上げたプロジェクト「酒造りからの手紙」だ。

テークアウト販売が許可されたものの、通常飲食店が店で販売する酒は、自身の利益を載せるため当然酒屋より高い。そのため、店内販売の際と同じ価格で販売すると客は「酒屋で買った方が安い」となってしまう。そこで、高橋さんをはじめプロジェクトに賛同する酒販店や酒造会社が自身の粗利を抑え、酒販店並みの価格で売っても飲食店の利益を捻出できるような企画商品の提供を始めたのだ。

飲食店のみに利があるのではなく、酒造会社や酒販店は、プロジェクト限定の新商品を開発することなどで販路の新たな開拓になると高橋さんは考えた。プロジェクトの酒には、手持ちプリンターなどで印刷できる酒瓶用のラベルやチラシが提供される。

客にとってこの取り組みの魅力は、通常買えない酒をテークアウトできることだ。高橋さんたちは日本酒や焼酎の酒蔵に働きかけ、普通は一升瓶や720ミリリットル瓶でしか売っていない商品を300ミリリットル瓶で売るなど、特殊な状況を逆手に取った楽しみを提供している。

「300ミリリットルというのは、各地のそば店で見かける地酒の瓶のサイズなんです。2人で2、3杯ずつ飲めるサイズで、一食分としてちょうどいい」(高橋さん)。6月10日現在、岐阜県の岩村醸造、新潟県の宝山酒造、長野県の角口酒造店とは日本酒、福岡県の天盃(てんぱい)とは麦焼酎の300ミリリットル瓶商品を開発した。これからも、新しい企画を考えているという。

実は、北出さんは大の日本酒党。だから、タコスを看板とした店でありながら、もともと北出食堂のドリンクメニューには日本酒が並んでいた。特別企画の酒がラインアップに加わることで、「普段とは異なるお酒が買えて、お客様もうれしいですよね」と話す。

同店は、素材の味を生かしたやさしい味わいの料理が特徴である上、タコスも具材にシメサバを使ったメニューがあるなど、各国の料理の要素が盛り込まれており「どのメニューも日本酒に合います」と北出さん。ある日本酒のイベントでシメサバのタコスを出したところ、大変評判になったそうだ。

ちなみに、高橋さんはプロジェクトのために375ミリリットルのハーフボトルサイズのテキーラも輸入会社に掛け合い用意した。その輸入会社とは初取引であったため値段を交渉。卸値を通常より抑えてもらったという。これも、北出食堂で扱っている。1年以上たる熟成したテキーラを「アネホ」と呼ぶが、同プロジェクトでは3年以上寝かせた「エキストラアネホ」と呼ばれる高級テキーラも販売。一般的な750ミリリットル瓶では値段が高くちょっと手が出ないという人でも、買いやすい価格となる。

北出食堂のテークアウトメニューには、「家飲みセット」(要予約/平日のみ)がある。内容は日によって変わるがボリューム満点で、2000円(税込み)と手ごろな価格ながら2、3人でつまめる内容だ。取材時には自家製のトルティーヤチップに加え、ファラフェル(ヒヨコ豆のコロッケ)や鶏の唐揚げ、野菜のマリネ、3種類のチーズとナッツやドライフルーツを合わせたおつまみなどが入っていた。アボカドを使ったメキシコのディップ「ワカモレ」は、半割のアボカドをつぶし、トッピングされたトマトやタマネギを混ぜながら自分で作る方式。「つぶすだけなんですけど、その方が面白い」(北出さん)と考えてのことだ。

緊急事態宣言が解除されたと言っても、テークアウトニーズは依然として高く、店内営業を開始した店でも多くがテークアウトを続ける。おいしいテークアウト料理があるなら、自然に酒も欲しくなるというもの。料理に合う酒を一緒に買えるという、この非常時ならではのグルメ体験をぜひお試しあれ。

(フリーライター メレンダ千春)

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