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ASUSの軽量ノート ビジネスバッグに余裕で入る14型

戸田覚の最新デジタル機器レビュー

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NIKKEI STYLE

エイスーステック・コンピューター(ASUS)が5月に国内出荷を始めた新しいノートパソコン「ASUS ExpertBook B9 B9450FA」は、14型ディスプレーを搭載するモデルとしては、世界最軽量クラスの製品である。その重さはなんと870グラム。実物を手にしてみると、驚くほど軽い。国内メーカーの富士通NECなども、1キロを切る超軽量モデルをリリースしているが、ディスプレーはほとんどが13.3型だ。14型でここまで軽いモデルはあまりなかったので新鮮だ。

最近はディスプレーの縁が狭い「狭額縁」の製品が増えており、14インチのノートでも余裕で持ち運べるようになっている。13.3インチよりも画面が広くて使いやすいのがよいところだ。

870グラムの軽量モデル(B9450FA-BM0504T)にフォーカスを当ててレビューしていこう。

コンパクトさも極めている

本体サイズは、幅320×奥行203ミリだ。A4判用紙の大きさが、297×210ミリなので、面積は、ほぼ同じだ。しかも、14.9ミリと薄いので、一般的なビジネスバッグに余裕で収まるはずだ。

手元にあったコンパクトなバッグに入れてみたが、問題なく収納できた。狭額縁モデルとして知られるレノボのThinkPad X1 Carbonと比べても、さらに小さい。こんな小さなサイズながら、ディスプレーは14インチなので画面が広くて使いやすい。これがExpertBook B9の最大の特徴だ。

13.3インチのノートパソコンも狭額縁が進んでいるが、そうなると今度はサイズが小さくなりすぎて、キーボードのサイズにしわ寄せが及びかねない。

マグネシウムリチウム合金で超軽量を実現

軽量モデルで870グラムという軽さを実現するために、本体の外装(天板と底面)には、軽量かつ高強度なマグネシウムリチウム合金を採用している。やはり、ここまでの軽さになると、アルミでは限界がある。

ボディーの質感は非常に高く、天板の中心部分を軽く押してみてもペコペコとした印象はない。微妙にたわむが、十分以上の剛性感を確保している。

設計の妙を感じるのが、天板(液晶ディスプレー)を開く時だ。これだけ軽いモデルなのにもかかわらず、天板に指をかけて開けることができる。多くの超軽量ノートが、キーボード部分(つまり本体)を押さえないとうまく開けないのに比べると、とても使いやすい。重量を軽減すると、当然ながら本体部分も軽くなる。その結果、多くの超軽量ノートは天板を開く際のちょうつがいのかたさに負けて、持ち上がってしまうのだ。

拡張性は必要にして十分

拡張性は軽量モデルとしては妥当だ。USB端子が1つに、USB-C端子を2つ搭載する。うち、1つは、充電にも使うことになる。また、HDMI端子を備えているので、プロジェクターとの接続も困ることがない。

付属のACアダプターはコンパクトだが、市販されている共通充電規格「USB PD(USB PowerDelivery)」対応の充電器でも充電できる。付属のACアダプターの出力(ワット数)は65Wだが、手元にあった61WのUSB PD対応充電器でも充電は可能だった(ただし充電時間はいくぶん長くなる可能性がある)。

弱点はキーボード

ExpertBook B9は、素晴らしい製品だが、キー配列がちょっといただけない。キーそのものはなかなか打ちやすいのだが、配列がイマイチなのだ。特にEnterキーが小さくなっており、窮屈さを感じるが、使い慣れてくれば妥協できるだろう。タッチパッドをテンキーにできる独自機能は、表計算ソフトを使うときには便利だ。

ExpertBook B9のモデル構成はバラエティーに富んでいる。上位モデルはCPU(中央演算処理装置)にインテルの「Core i7-10510U」を採用する。また、重量が995グラムに増える代わりに、カタログ値で30時間前後駆動するモデルも用意する。

870グラムの軽量モデル(B9450FA-BM0504T)はCPUに「Core i5-10210U」を採用し、メモリーが8ギガバイト(GB)、SSDが512GBで12万7091円(希望小売価格、税別)とコストパフォーマンスも文句なし。バッテリー駆動時間はカタログ値で16時間だ。

この価格と完成度は、国内メーカーにとって脅威の存在となりそうだ。

戸田覚
 1963年生まれのビジネス書作家。著書は150点以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。

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