どんなダイエットにも落とし穴 栄養疫学のアドバイスケンブリッジ大学 医学部上級研究員 今村文昭(8)

ナショナルジオグラフィック日本版

主に糖尿病や肥満の栄養疫学を専門とする今村文昭さん。
文筆家・川端裕人氏がナショナル ジオグラフィック日本版サイトで連載中の「『研究室』に行ってみた。」は、知の最先端をゆく人物の知見にふれる人気コラムです。今回転載するシリーズのテーマは、食べ物の効果や影響を考え、その要因や対策を追究する「栄養疫学」。同じ「よくわからない」という結論でも、その根拠の深さに大きな差があること、そして情報をうのみにする怖さを教えてくれます。未知のウイルスに向き合うときのヒントにもなるかもしれません。研究者の濁りのない目がみつめる先にも注目です。

◇  ◇  ◇

引き続き、今村さんの目から見た「食事パターン」をめぐる健康情報について。

まずは「低炭水化物ダイエット」

「たとえば糖尿病は社会的にも問題とされる疾患ですが、それだけに着目した欧米中心のエビデンスに頼り、白米は駄目で、低炭水化物食とか低糖食がいいんだと推奨しがちの人が多いという印象です。そして、主張する人ごとに内容はまちまちです。ソフトドリンクや砂糖、シロップなどのことを問題にしていたり、白米のような食品をダメと言う人がいたり、本当に炭水化物の摂取源全部が駄目と言う人もいます。そのうえで、代わりに何を食べるかというと、『栄養価の高いもの』を推奨する人がいたり、なんでも食べていいよと言う人もいたり、加工食品は避けたほうがいいよと言う人もいて、バラバラなんですよね。こういったばらつきは、低脂肪ダイエット、低カロリーダイエット、菜食主義などについても同じで、そもそも一貫していません」

地中海ダイエットと同様で、低炭水化物ダイエットについても(およびその他の様々な○○食についても)、それがいったい具体的に何を指すのかということには注意が必要だ。同じ、「○○食」でも、そこそこ健康そうだと期待できるものと、そうでもないものが混在しうるということは忘れずにおこう。

そのうえで、今村さん自身によるメタアナリシスの結論のように(※1)、炭水化物よりも良質な脂質の方がよいというのは、多くの研究で支持されている。こういったエビデンスは、ぼくたちの日々の食生活の指針にはできないのだろうか。前にも聞いたことだが、腑に落ちない人もいるかもしれないので、もう一度、繰り返し尋ねておこう。

(※1)Imamura F, Micha R, Wu JHY, et al. Effects of Saturated Fat, Polyunsaturated Fat, Monounsaturated Fat, and Carbohydrate on Glucose-Insulin Homeostasis: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomised Controlled Feeding Trials. PLoS Med. 2016;13(7):e1002087.
https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1002087
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