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未来を予測するための最善の方法とは?

私はよく雑誌社から取材を受けます。先日もある媒体から、「組織の力を引き出すリーダーシップ」というテーマでインタビューを申し込まれました。

この手の取材で最後に必ず聞かれる質問があります。「コロナ禍のあと、組織やリーダーシップはどのように変わっていくと思われますか?」というやつです。未来を大胆に予測して提言を述べてほしいというのです。

不確実な未来に不安を抱えながら私たちは生きており、そう尋ねたくなる気持ちは分かります。未来が見通せれば、先取りしてうまく立ち回ることもできます。理路整然とした分析と予測を述べるのが、専門家の役目なのかもしれません。

ところが、その予測を聞いて誰もが得心できるとしたら、情報として価値が乏しいのではないでしょうか。単に、大衆の心理を専門家が代弁しているものにすぎないのかもしれません。

第一、予測って当たるのでしょうか。科学技術や3カ月後の話ならまだしも、人や社会に対する長期の予測を信用しても本当に大丈夫でしょうか。

実際、現在のようなネット社会を早い段階で予測できた人はいませんでした。過去の未来予測を調べて、「専門家の予測よりも単純な延長線のほうがマシ」と結論づけた研究報告もあります。

パソコンの父と呼ばれるアラン・ケイは有名な言葉を残しています。「未来を予測する最善の方法は自らつくりだすことだ」と。人々のたゆまぬ「創造」こそが世界を動かしており、その複雑な相互作用が予測不能の未来をつくりあげているのだと思います。

論理思考と創造思考を両輪で回す

第4回「サボリ頭に強制的にスイッチ入れる 2つの魔法の質問」で紹介した論理思考の話を覚えているでしょうか。物事を筋道、すなわちワケ(理由、根拠、原因など)ありで考えるのがロジカルシンキングだと。誰でも納得できるような客観的なワケを用意することで、妥当性の高い答えがえられます。人に説明しやすいのも大きな利点です。

ところが、論理的に考えれば考えるほど、最も一般的な結論に落ち着いてしまいます。悪く言うえば"ありきたり"であり、面白みがありません。定石や王道では、ほかとの差異化も難しくなります。理屈ばかり振りかざすと、面倒な奴だと思われかねません。

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