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東京大学大学院教授 松尾豊氏

東京大学大学院教授 松尾豊氏

顔認証などで普及が進む人工知能(AI)。日本でAI技術研究の第一人者と言われるのが東京大学大学院の松尾豊教授だ。松尾教授が率いる松尾研究室(通称、松尾研)はディープラーニング(深層学習)技術をリードすると同時に、様々な企業と連携して事業化に取り組み、起業家の育成にも力を注ぐ。松尾教授はベンチャーの立ち上げの失敗も経験。「起業の成功・失敗例を集めて分析して、次の挑戦者に伝えてゆく」ことで、AI界の次世代リーダーを育てようとしている。

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――松尾研は起業家を輩出する異色な研究室です。

「松尾研で育てたい人材は研究者とアントレプレナー(起業家)の2タイプです。正式に所属している学生が約30人、スタッフが25人でそのうち4人ぐらいが秘書です。ほかにも松尾研の教育プログラムを終えて、企業との共同研究に参加している学生もいます。その学生には松尾研が人件費を払っていますよ。そのような学生やスタッフを合わせると、総勢で80~90人ぐらいです」

「通常の研究室に比べて4~5倍の規模になったので、どうマネジメントするかが大きな課題でした。大学の研究室の適正規模は最大で20人程度。さらに規模を大きくするには、研究室の数自体を増やすのが世界的には標準でしょう。しかし、松尾研では様々な活動の規模を拡大させたいので、マネジメントをやらなくてはいけない。最初は研究室に人事制度って合わない、と思いましたが、まず松尾研のビジョンとミッションを策定して、組織内の担当グループを分けました。各グループのミッションもつくり、個人の半期目標を決めて評価することにしました。2019年後半は組織づくりばかりに時間を費やした印象です」

――強烈な個性を持つ起業家志望者が多く集まっているのでは。

「最近はうまく団結していると思いますよ。少し前までは個性の強い人がぶつかりあう状況でした。しかし、ビジョン、ミッションを定めて組織を整備したことで、一人一人が相手や自分の役割をしっかり意識し、だいぶ良くなってきたと感じています」

「学生の中で起業家と研究者を目指す割合は半々ぐらいです。起業家を目指す学生が増えると、研究者志向の学生の研究も活性化するのです。研究もやりたいけど、お金も稼ぎたいという中間派の学生は起業家側にリクルーティングされてゆくので、中間派の学生はどんどんいなくなります。研究者志向の学生は企業からの誘いを何度も断って、研究にまい進するので、とんがった研究をやりますね」

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