占いバラエティー『突然ですが~』 驚く表情にドラマ
占師が街に出向き、出会った人に声をかけてその場で占いをする。フジテレビの『突然ですが占ってもいいですか?』は、占いをフックにしたドキュメントバラエティー。1月3日の特番で好評を得て、4月からレギュラーとなった。
企画した編成部の春名剛生氏は、年末年始の特番のアイデア会議が、番組誕生のきっかけになったと明かす。「占いはテレビでも以前からあるジャンルで、常に需要はある。でも、占われる人以外にとっては他人事でしかないから、番組にしようとするとかなり難しい。科学的ではないことでパーソナルな"未来"のことを言われても共感は生まれない。そこで、もし初めて会った占師が"過去"のことをビシバシと当てたら、大きな驚きになるんじゃないかと。マジックを見ているときの反応のようなことをイメージしました」(春名氏、以下同)。
実際にロケに出て感じたのは、想像以上に人間ドラマが見えてくるということ。過去にあったことが的中すると、本人はもちろん、隣にいる友達の表情もガラッと変わる。驚きが増幅するとともに、占われている人は当時の気持ちや、抱えている悩みなどを打ち明け始める。
「エピソードや話すときの目線などから、生き様がどんどん見えてくるんです。嘘のないリアクションを目の当たりにするうちに、初めて会ったのに、その人の人生に僕らも共感するようになって。結果的にすごくドキュメンタリーに近い感じになりました。占いに応じてくれるのは女性が多いこともあって、『セックス・アンド・ザ・シティ』のリアル版のようにも感じています」
1組の放送時間は7分程度だが、約1時間かけて撮影しており、特に表情が変わっていく様を逃さないようにしているという。BGMにヒップホップを採用するなど、今の時代にフィットするように、音楽にもこだわっているとのこと。
占師については「総合演出を務める渡辺剛が、福岡・博多で当たると評判だった木下レオンさんとたまたまプライベートで出会い、そんなご縁もあって企画が進みました。そして番組にするにあたり、女性の方もということで、ゲッターズ飯田さんの一番弟子のぷりあでぃす玲奈さんにオファーしました。これからは他の個性的な占師さんにもご登場いただきます」
スタジオでは、俳優の沢村一樹と女優の水野美紀、モデルの池田美優(みちょぱ)がVTRを見守る。「言っても占いだから」というスタンスを保ちながら、「率直な感想やコメントで、見る人のガイド役を果たしてくれています」。
その後何かが変わったか、1カ月後も追っており、「占いだから気にしていません」という反応があるのも面白い。「僕もディレクター陣も、占いに陶酔しているわけではないんですよ(笑)。フラットに見ていただけたら。ドキュメントではありますが、シリアスだけではなく、思わず笑っちゃうケースもたくさんあって、しっかりバラエティーになっています」
(日経エンタテインメント!6月号の記事を再構成 文/内藤悦子)
[日経MJ2020年6月5日付]
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