コロナ後を勝ち抜く接客 先駆け小売業のアプローチ術「コロナが変える小売業」(下) ECエバンジェリスト 川添隆氏

「ウィゴー」のリモートワーク×アバターによる接客販売

ファッション業界で先駆的な取り組みをやるのは、ラグジュアリーブランドとウィゴー(東京・渋谷)と言っても過言ではないと思っています。ウィゴーの取り組みはファッション性がありユニークで、かつチャレンジングなものが多いと以前から感じていました。

ウィゴーは店舗でのライブコマースに力を入れる(ウィゴー公式サイトから)

ブランドスタッフ個人のSNS・ライブ配信、いち早い「TikTok」や「SHOWROOM」での配信、デジタル・ゲーム・ライブなどあらゆるエンターテインメントを詰め込んだ創立25周年を記念したイベント「THE PASSION FES~情熱祭~」、社内インフルエンサーの登用や発掘・育成、連続的に登場する人やコンテンツとのコラボレーション。挙げればキリがありません。2018年11月からは、スタッフによるコーディネートコンテンツ「STAFFSTYLE」がスタートし、継続的な運用が行われていました。

そんなウィゴーがコロナ禍以降力を入れていたのが、店舗でのライブコマースです。

「古着オークション」など、各店舗の特性(商品ラインアップなど)と各スタッフのアイデアをいかしたコンテンツを、自発的に配信しています。インスタグラムのライブ配信も積極的に行い、各店舗それぞれの特徴も効果的に打ち出しています。これにより、オンラインとオフラインの両方で活躍できる人材が、さらに育っていきそうです。

4~5月に開催された、世界最大級のバーチャルイベント「バーチャルマーケット4」では、ウィゴー初となる「バーチャル1号店」を出店しています。バーチャルマーケット内で使えるアバターのファッションをコーディネートで販売し、そのバーチャル店舗スタッフは現役ウィゴースタッフがリモートワークで接客していました。

ウィゴーはコロナにかかわらず、バーチャルマーケットへの出店の準備をしていたことが推測できます。しかしこのタイミングで、ライブ配信のように実体を使わずに、リモートワーク×アバターによって接客販売が実現したのは、かなり先駆的な取り組みであることは間違いありません。

アパレル企業は定性データと売り場をもっていながら、テクノロジーに対して寛容ではない側面があるように思います。一方で、スタートアップ企業はテクノロジーをもっているのに、「顧客のリアリティー」を把握できる定性データや売り場をもっていない。コロナ時代やコロナ後の時代では、こういった企業間の協力も重要になっていくでしょう。その前段階として、「現有戦力をいかす工夫ができるブランド・企業」が増えていけば、私たちが想像する未来がくるのはより早まるはずです。一歩を踏み出すことは、今から可能ということです。待っている顧客に、自分たちからオンライン経由でコミュニケーションを取りにいってみてはいかがでしょうか。

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川添隆
1982年生まれ、佐賀県唐津市出身。2005年千葉大デザイン工学科卒後、総合アパレルのサンエー・インターナショナルに入社。その後、ネットビジネスを志し、サイバーエージェントグループのクラウンジュエル(現ZOZOUSED)などを経て、13年にメガネスーパーに入社。EC事業、オムニチャネル推進、デジタルに関わる全てを統括。18年からビジョナリーホールディングス執行役員。また17年にエバンを設立し複数企業のアドバイザーに従事。

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