Men's Fashion

名脇役・光石研 私服センス、圧巻の「主役」

@ニュースなルック

コラムニスト いであつし

2020.6.10

記者会見でのスーツ姿、人気ドラマの主人公のファッションなど、メディアで話題にのぼる人の着こなしは気になるもの。そんな「ニュースな人」のファッションの背景にあるものとは。男性ファッションに詳しいコラムニスト、いであつし氏が解説します。




「服好きオヤジ」に大人気

コロナ禍の影響でテレビ番組もやたらとドラマの再放送が多い。まぁでも、ファッションと同じくらいテレビドラマ好きな筆者としましてはそれほど退屈していませんけどもね。

さて、今回の主役はテレビドラマによく出ている役者の光石研である。名前を聞いても「誰?」と思う人もいるだろうが、顔を見れば「あー、あの人か」とすぐにわかる、数多くのドラマや映画に様々な役で出演している名脇役だ。NHKの朝ドラ「エール」で、すぐに亡くなってしまった二階堂ふみ演じる音ちゃんのお父さんだ。大杉漣の遺作になってしまった名脇役を主役にした深夜ドラマ「バイプレイヤーズ」にも実名の役柄で主演していた。

服好きの間では、光石研の名前は、脇役どころか主役級で知られている。それも、かなりの服好きな30代~40代のお洒落(しゃれ)オヤジたちから圧倒的な人気を得ているのだ。かくいう筆者も、いま芸能人で一番私服のセンスがいい俳優として、光石研が出ているドラマは欠かさずチェックして見るほどファンである。

ファンが高じて、コラムを連載しているメンズファッション誌『MEN'S EX』の担当編集者から「光石研さんをモデルに起用してスーツスタイルのページを作りたい」という相談を受けたこともあり、ホイホイと喜んで引き受けた。

ファッション誌からもひっぱりだこ(写真:TAKA MAYUMI MEN'S EX 2018年12月号)

筆者が担当編集者に提案したのは、ドラマみたいにシチュエーションを作り込んでスタイリングしてはどうか。様々な役を演じてきた光石研ならではのスーツスタイルを楽しく演じてくれるはずだ。例えば、英国や米国のアイビーリーグの大学教授とか。ツイードのスーツに白いボタンダウンシャツにボウタイを締めてウェリントン眼鏡を掛けて、手にはブックバンドで巻いた辞書や研究書……みたいな。