ちなみにページは、ブルックスブラザーズのスーツを着こなして演説をするアメリカ大統領を演じる光石研になりました。いやもうバッチリ決まっていて、さすが数々の役を演じている日本を代表する名脇役であります。

その時のコメントがまた格好いい。「昔から服はトラッドなものしか着なくて、あんまり目立った格好はしないんですけど、例えば電車で前に座っている人がスエードのいい靴とかを履いていたら、むむっ、おぬしやるな、オールデンかな、なんて見るのが好きですね」。この控えめながらも服好きなら思わずうなずいてしまうコメントに、コンサバオヤジ(筆者)はグッときちゃうのだ。

ブルックスブラザーズのスーツで演説する米大統領を演じた(写真:TAKA MAYUMI MEN'S EX 2018年12月号)

ファッション誌でもレギュラー

最近はその私服のセンスのよさが知られてきて、いまや本業の役者とは別にメンズファッション誌でもひっぱりだこである。雑誌『Pen』では、古着好きな光石研が毎回好きなビンテージの古着を買いに行く様子をドラマ仕立てにしたショートムービー『光石研の東京古着日和』をユーチューブで公開している。ドラマで見る役者の光石研とは全然違うお洒落オジサンっぷりが見られて、これまた服好きにはたまりまセブン。

ちなみに、光石研はファッションだけではなくインテリアやクルマにもこだわっていて、アンティークのミッドセンチュリー家具でそろえている自宅はインテリア雑誌にも載るほど。愛車もクラシックな1963年式のベンツW111に乗っている。

光石さんはファッションだけでなくインテリアやクルマにもこだわっているという(NEPENTHES OFFICIAL WEBSITE "REMIX")

筆者が光石研を「むむっ、ただものではない」と見破ったのは、あれは小田急線だったか、私鉄が発行しているフリーペーパーに載っていたインタビューページの私服のスナップ写真をたまたま見た時だ。ODのファティーグパンツ(米軍で使われていたカーキのサープラスパンツ)に洗いざらしのオックスフォードのボタンダウンシャツを襟元から白Tをチラリとのぞかせて裾出しで着て、使い込んだエルエルビーンのトートバッグ。しかも、ビームスプラスの別注ときたもんだ。オイオイ、光石研ってこんなに服好きだったんだと驚いた。それまでまったくのノーマークであった。

光石研のファッションセンスの実力がよくわかるのが、カジュアルスタイルの時だ。

スーツをお洒落に着こなすオジサンは多々いるが、光石研のようにカジュアルをお洒落に着こなせるオジサンはそうそういない。

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