日本時間で20年5月31日の早朝、民間企業であるスペースXが開発した有人宇宙船の打ち上げが成功。その後、無事、国際宇宙ステーション(ISS)に乗員の宇宙飛行士2人が到着した。宇宙開発の新時代を象徴するような出来事だった。
「地球は青かった」の言葉で知られるガガーリンが世界で初めて宇宙に飛び出したのは1961年のこと。以来、約60年が経ち、今後は宇宙旅行も夢ではない話となりそうだ。
宇宙飛行の歴史を振り返って見ると、輝かしい月面着陸もあれば、スペースシャトル「チャレンジャー号」の打ち上げ失敗など苦難もあった。ここで、改めて人類の宇宙への挑戦を振り返ってみよう。
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歯をむき出しにするNASA(米航空宇宙局)のチンパンジーの宇宙飛行士ハム(左)。1961年1月31日、ハムは宇宙船マーキュリーに乗り、高度250キロを飛行した。ハムなどの高高度飛行した動物たちが、米国の宇宙飛行士の道を切り開いた。そして1年後、ジョン・グレン(右)の乗った宇宙船が打ち上げられ、5時間もかからずに地球を3周した。フィルムカメラが、宇宙飛行中のハムとグレンの一挙一動を記録していた。ハムの飛行以来、宇宙に行った人類は566人を数える。2020年5月には、スペースXの宇宙船「クルードラゴン」がファルコン9ロケットで打ち上げられ、宇宙飛行の経験があるNASAの宇宙飛行士ダグラス・ハーリーとロバート・ベンケンが搭乗した(PHOTOGRAPH BY NASA)1961
1961年4月12日、宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンは世界で初めて宇宙に行った人間となり、その後世界中で称えられた。写真は1961年7月に、英ロンドンのケンジントン宮殿庭園にあるソビエト大使館に到着したガガーリンを歓迎する群衆。ウィンストン・チャーチル元英首相の娘サラ(左端)は、白いスカーフを頭に巻き、群衆と共に歓声を上げた(PHOTOGRAPH BY PA IMAGES VIA GETTY IMAGES)1961
夜明けに米フロリダ州ケープカナベラルの5番発射台に集まる人々とロケット。照明が、初めて宇宙に行った米国人アラン・シェパードを照らす。アルミニウムで覆われた宇宙服を冷やす携帯エアコンを持っている。プラスチック製の靴カバーは、フライトブーツに付いた砂が宇宙船内に持ち込まれるのを防ぐためのものだ。準備が整ったレッドストーンロケットからは、蒸発した液体酸素が立ち上る(PHOTOGRAPH BY WILLIAM TAUB, NASA)1961
宇宙飛行士のアラン・シェパードが、技術者が宇宙船フリーダム7のハッチを閉めるのを見つめる。「本当に覚悟はできてる?」と管制センターの友人が聞くと、シェパードは笑いながら答えた。「ゴー!」(PHOTOGRAPH BY ROBERT SPECIAL, NASA)1961
1961年5月5日、宇宙船マーキュリーの回収後、大西洋上の米空母シャンプレーンに乗艦し、宇宙飛行からの帰還を無事に果たして喜ぶアラン・シェパード。わずか15分の弾道飛行を行い、高度187.5キロに達した(PHOTOGRAPH BY NASA, DEAN CONGER)1963
世界初の女性宇宙飛行士であるロシアのワレンチナ・テレシコワ。モスクワ宇宙センターで訓練する様子。1963年6月16日、宇宙船ボストーク6号に乗り、70時間で地球軌道を48周した。その功績で、ソビエト連邦英雄という称号が授与された(PHOTOGRAPH BY ALEXANDER MOKLETZOV, FROM ROSCOSMOS STATE CORPORATION ARCHIVES)1965
1965年3月18日、アレクセイ・レオーノフ(左)は、宇宙船ボスホート2号のミッション中に船外に出て、12分9秒の人類初の宇宙遊泳を行った。高度160キロに浮かぶエドワード・ホワイト(右)は1965年6月3日、米国人初の宇宙遊泳を行った。手に持った「宇宙銃」を操り、ハワイ上空からバミューダ上空まで、9700キロをわずか21分で移動した(PHOTOGRAPH FROM ROSCOSMOS STATE CORPORATION ARCHIVES (LEFT), NASA (RIGHT))