どうなる女性活躍 コロナ不況でも「歩み止めない」30%Club Japan会長 資生堂社長兼CEO 魚谷雅彦氏に聞く

30% Club Japanが5月25日に開いたオンライン社長会
30% Club Japanが5月25日に開いたオンライン社長会

新型コロナウイルスの感染拡大で経済は大きな痛手を負った。企業は経営の立て直しが喫緊の課題となり、女性活躍を進める余力を失おうとしている。女性活躍推進の潮目は変わるのか。女性役員の登用に取り組む大手企業トップが集う「30%Club Japan」会長、魚谷雅彦・資生堂最高経営責任者(CEO)にニューノーマル(新常態)での女性活躍を聞いた。

――未曽有の経済危機に女性活躍は当面、棚上げせざるを得ないのではないか?

「私の見方は正反対だ。リーマン・ショックを上回る不況がやってくるという予測もある。企業は新型コロナウイルスの感染拡大で事業が滞り、窮地に陥っている。ここからレジリエンス(回復力)が試される。そのカギは経営の柔軟性を高めることだ」

「コロナとの闘いは長期化する。企業経営は元にはもどれない。従来の発想では危機を乗り越えられない。多角的な視点で複数のアイデアを持ち寄り、回復の道筋を探らなくてはいけない。その実現にはダイバーシティ(人材の多様性)が不可欠。ニューノーマルの企業経営には女性の力・見方が今まで以上に必要だ」

――新型コロナウイルス対策では、海外ではドイツやニュージーランド、台湾など女性リーダーの活躍が目立った。

30%Club Japan会長 資生堂社長兼CEO 魚谷雅彦氏 

「性別に関係なく、女性もリーダーシップを発揮できると改めて示した。彼女らの共通点は状況変化にしなやかに対応できる能力だ。男性は仕事と生活を区別してとらえがち。でも新型コロナはオンオフに線引きできない。仕事の中に生活があり、生活の中に仕事がある。そんな状況で有効策を考えるとき、男性よりも生活感度が高い女性が能力を発揮できたのだと思う」

「危機的状況での情報発信力も女性リーダーは長(た)けていた。顕著な例はドイツのメルケル首相だ。東ドイツに身を置いた自分の経験を基に、不自由な暮らしを強いられるドイツ国民の苦しみに共感を示した。権威に頼らず、同じ目線で寄り添う姿勢が支持された。女性ならではの新しいリーダー像が垣間見られた」

――30%Club Japanは、5月25日にTOPIX社長会を開いたと聞いた。

「30%Clubは英国で誕生した組織。役員に占める女性比率を30%に高めることが目的だ。日本では昨年5月に活動を本格化した。社長会開催は昨年12月に次ぎ2回目だ。コロナ禍で経営が岐路に立つ今だからこそ、経営戦略上の女性活躍の意義を再確認しようと開催を呼び掛けた」

「オンライン会議に、大手企業17社の会長・社長が参加した。参加企業は大なり小なりコロナ禍で業績が打撃を受けている。だが、こんな状況だからこそ経営を立て直すために女性活躍は進めなくてはいけないと意見は一致した。具体策として、女性幹部候補者と他社の経営トップの交流会実施などが提案された」

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