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どうなる女性活躍 コロナ不況でも「歩み止めない」

30%Club Japan会長 資生堂社長兼CEO 魚谷雅彦氏に聞く

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NIKKEI STYLE

新型コロナウイルスの感染拡大で経済は大きな痛手を負った。企業は経営の立て直しが喫緊の課題となり、女性活躍を進める余力を失おうとしている。女性活躍推進の潮目は変わるのか。女性役員の登用に取り組む大手企業トップが集う「30%Club Japan」会長、魚谷雅彦・資生堂最高経営責任者(CEO)にニューノーマル(新常態)での女性活躍を聞いた。

――未曽有の経済危機に女性活躍は当面、棚上げせざるを得ないのではないか?

「私の見方は正反対だ。リーマン・ショックを上回る不況がやってくるという予測もある。企業は新型コロナウイルスの感染拡大で事業が滞り、窮地に陥っている。ここからレジリエンス(回復力)が試される。そのカギは経営の柔軟性を高めることだ」

「コロナとの闘いは長期化する。企業経営は元にはもどれない。従来の発想では危機を乗り越えられない。多角的な視点で複数のアイデアを持ち寄り、回復の道筋を探らなくてはいけない。その実現にはダイバーシティ(人材の多様性)が不可欠。ニューノーマルの企業経営には女性の力・見方が今まで以上に必要だ」

――新型コロナウイルス対策では、海外ではドイツやニュージーランド、台湾など女性リーダーの活躍が目立った。

「性別に関係なく、女性もリーダーシップを発揮できると改めて示した。彼女らの共通点は状況変化にしなやかに対応できる能力だ。男性は仕事と生活を区別してとらえがち。でも新型コロナはオンオフに線引きできない。仕事の中に生活があり、生活の中に仕事がある。そんな状況で有効策を考えるとき、男性よりも生活感度が高い女性が能力を発揮できたのだと思う」

「危機的状況での情報発信力も女性リーダーは長(た)けていた。顕著な例はドイツのメルケル首相だ。東ドイツに身を置いた自分の経験を基に、不自由な暮らしを強いられるドイツ国民の苦しみに共感を示した。権威に頼らず、同じ目線で寄り添う姿勢が支持された。女性ならではの新しいリーダー像が垣間見られた」

――30%Club Japanは、5月25日にTOPIX社長会を開いたと聞いた。

「30%Clubは英国で誕生した組織。役員に占める女性比率を30%に高めることが目的だ。日本では昨年5月に活動を本格化した。社長会開催は昨年12月に次ぎ2回目だ。コロナ禍で経営が岐路に立つ今だからこそ、経営戦略上の女性活躍の意義を再確認しようと開催を呼び掛けた」

「オンライン会議に、大手企業17社の会長・社長が参加した。参加企業は大なり小なりコロナ禍で業績が打撃を受けている。だが、こんな状況だからこそ経営を立て直すために女性活躍は進めなくてはいけないと意見は一致した。具体策として、女性幹部候補者と他社の経営トップの交流会実施などが提案された」

――新型コロナの感染拡大は女性の働き方にどのような影響を及ぼすのか?

「テレワークが広がったのは女性活躍の追い風になる。出勤しなくても家庭で仕事ができると多くの人が実感した。今後はいつどこで働いていようと、仕事のアウトプットで社員を評価する企業文化に変わっていくだろう。女性は家事・育児など家庭責任を現状負っている。残業ができる男性と比べ不利に扱われてきた。その状況に風穴があく」

「日本では男性がつくった組織形態に女性を無理やりはめ込もうとしていた。具体的には組織への忠誠を問うメンバーシップ型組織だ。今後は社員一人ひとりの役割を明確にしたジョブ型に変わっていかなくてはいけない。ジョブ型組織なら性別にかかわらず、年齢や国籍を問わずに多様な人材が活躍できる。資生堂は今回のコロナ禍をきっかけにジョブ型組織に刷新する考えだ」

3回目の失敗をしないよう

企業の女性活躍は景気変動に振り回されてきた。

1985年に男女雇用機会均等法が成立し、企業は男女の待遇格差が封じられた。法制度による"お仕着せ"ではあったが、女性の戦力化に企業は知恵を絞った。ただ、それもバブル崩壊まで。バブル景気に沸き、人手不足が顕著な時期に女性活躍に熱心だった企業も、不況に陥ると相次ぎ手を引いた。仕事と家庭の両立支援まで思いは至らず、女性社員は定着しなかった。

2000年代半ばには、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)ブームが席巻した。優秀な女性人材の採用・定着を狙い、同業他社と子育て支援策を競い合った。だが08年にリーマン・ショックが起きると、ブームの熱気は瞬時に霧散した。

女性活躍に限らず、人事施策は投資効果が短期的に表れない。業績が悪化したとき、人事施策は真っ先に切られがちだ。そして足元のコロナ不況。過去2回の思い出がよみがえる。従業員の雇用維持さえ危ぶまれる未曽有の事態。女性活躍の優先順位が下がるのも仕方ないという見方もある。

働く女性は増えた。ただ、増加分の多くはパートや派遣で働く非正規社員。経営の中枢を担う正社員は30年以上、ほぼ横ばいだ。経済協力開発機構の調査(16年)では日本の大卒女性の就業率は74%で対象の35カ国中29位と、高い教育を受けた人材が活躍できていない。女性活躍は採用から育成、活躍まで一貫した人事施策を持続して初めて効果が生まれる。景気変動に左右され中途半端に投げだし、一過性ブームで終わらせた過去2回のツケが精算できていない。

人権尊重の立場から男女差別は許されない。だが、女性活躍が重要な理由は女性の力が経営を強くするからだ。「コロナ禍から回復するために女性活躍を進めなくてはいけない」。3回目の失敗をしないよう、魚谷雅彦・CEOの言葉を肝に銘じたい。

(編集委員 石塚由紀夫)

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