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勝恵子 39歳の出産、育児のさなかに訪れた更年期不調

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日経ARIA

フリーアナウンサーの勝恵子さん(53歳)は、39歳での出産後、自らの心身の変動に直面。仕事への価値観も大きく変わったという。女性支援プロジェクトなどを通じて、女性の体と健康に関する情報を必要とする人に向けて発信していきたいという。

東京・南青山の住宅街の一角に、この1月にオープンしたカフェ。吹き抜けの天井にガラス張りの開放感のある空間。フリーアナウンサーの勝恵子さんが現れると、そこだけスポットライトが当たったように、華やかな空気が加わった。

勝さんは大学4年生の秋、テレビ朝日「ニュースステーション」のリポーターに起用され、報道の世界へ。以来、数多くの番組に出演し、司会やインタビュアーとしても幅広く活動してきた。

現在、勝さんは、女性に関する国内外の多様な問題について啓発・教育や支援活動を行うNGO、日本女子力推進事業団(通称:ガール・パワー)の専務理事として、代表理事の池内ひろ美さんらと共に活動している。

並行して、メディア業界での長い経験に基づくコミュニケーションの指導なども実施。この日の取材場所だったカフェの一角でも定期的にアナウンサーの個人指導を行っているという。

そんな勝さんの人生の激変期は、39歳での出産から始まった。この10年余りで経験した心身の変動は価値観まで変えてしまった。今、勝さんが始めているのが、自身の経験を踏まえた女性と女性を取り巻く社会への情報発信だ。

産後うつになりかけ、クリニックに駆け込む

朝、夜の情報番組、昼のワイドショー……。「いろいろな人たちとチーム一体となって番組をつくるのが面白くて、それ以外の仕事は考えられなかった」と振り返る。局アナではなくフリーアナウンサーとしてさまざまな仕事に出合い、20代と30代はずっと走り続けていた。

37歳で結婚。39歳で妊娠したとき、出産後のことは楽観的に考えていた。「妊娠する少し前まで早朝の番組にレギュラー出演していて、午後9時に寝て午前1時に起き、2時に局入り。朝6時に番組を終えて仮眠して、また午後から仕事……という生活を送っていたので、『産後は3時間おきに授乳で大変』と聞いても、細切れの睡眠には慣れているからできるだろうと思っていました」

ところが出産後の現実は違った。「自分の中にあった母親という本能に圧倒され、母親という目線で世の中を見るようになって」。必死に子どもを守ろうとする、経験したこともない感情にも戸惑った。

産後、絶え間ない授乳や世話が続いて眠れなくなってしまった。産後うつになる手前でかかりつけの婦人科クリニックに駆け込み、漢方薬と睡眠導入剤で何とか回復できた。

「世の働く母たちはこんなにぎりぎりの生活を送っているのか」

出産後半年ごろから、シンポジウムの司会やインタビューなど単発の仕事を始めた。子どもが3歳のときに、夜9時からの情報番組にレギュラーで復帰すると、心身への負担の大きさに驚いた。

朝は普通に起き、お弁当を作って子どもを幼稚園まで送り迎えをし、PTA活動も。夜、早く寝かせるために、公園で昼間に一生懸命遊ばせることもある。夕食の用意をして子どもをベビーシッターや夫に委ね、夜6時にテレビ局入り。生放送の準備をしてオンエア、反省会、家路に就くという日々を3年半続けた。

「夫はよく協力してくれましたが、私自身は体力と気力がぎりぎり、へとへとでした。そして周囲を見れば、私のようなフリーだけではなく、組織に所属して働いている女性たちも、みんな休む間もない。世の中の働く母たちは、こんな綱渡りみたいな、ぎりぎりの生活を送っているのかと、衝撃を受けました」

当初は自分のことでいっぱいいっぱいだったが、徐々に「女性にもう少し余裕があって、子どもに向き合えて仕事もできる。そういう生活ができている国もあるのに、こんな状態を強いている日本っておかしいんじゃないか。そんな疑問を抱くようになりました」。

育児疲れではなく更年期の不調だった

仕事の価値観も変わった。「20代、30代でニュース番組をやってきて、主婦の方たちへの取材もしていたけれど、その背景にどれだけ大変な日常があるのか分かっていませんでした」

報道の場で仕事を始めた当初、先輩たちに教えられたのが「自分の中で消化して、自分の言葉で伝える」ということ。どんなことであっても自分事として問題意識を持ち、自分の感性を基にした言葉で伝えれば伝わり方は全く違う、と常に意識をしてきた。だが「心を寄せているつもりでも、実は消化できていなかったことに気づきました」

その頃、三菱商事の環境・CSRアドバイザリーコミッティーから参加の依頼があった。環境問題や社会貢献に関する会合に出席したり、企業の視察をしたりしてメディアの立場から意見を求められた。当時担当した情報番組でエネルギーや環境問題を取り上げることも多く、「20代、30代のころには身に染みて感じていなかった社会的課題にどんどん意識がシフトしていきました」。

その後のガール・パワーとの出合いも必然の流れだった、という。2013年に設立されたガール・パワーは、シングルマザーの経済的自立への支援、インドの少女への衛生教育と生理パッドの普及活動、災害被災地の女性向け支援など、さまざまなプロジェクトがその上で動くプラットフォーム的な場だ。勝さんはチャリティーイベントの司会やセミナーのモデレーターなどを務める。

子育てもあり忙しく過ごす一方で、勝さんは40代半ばから身体的、精神的な不調を感じるようになった。

最初はあちこちの関節が痛くなったり、気分が重くなったり。地下鉄に乗っていて呼吸が苦しくなり、やっとの思いで家までたどり着いたこともあった。「子育てで疲れているのかなと思ったのですが、今思えば更年期の始まりだったのですね」。50歳からはホットフラッシュも始まった。

産後の不調を経験して以来、かかりつけの婦人科クリニックには通っていて、漢方薬も飲んでいた。「40代後半で月経周期の乱れから血液検査をしたときに、女性ホルモンの数値が閉経後の状態に近いということが分かりました」。そのときに主治医からホルモン補充療法の説明を受けたが、「なぜか自然に任せるのがよいと思い込んでいて、始めませんでした」。

その後も不調は続き、52歳のときに血液検査や子宮頸(けい)部などの検査をした上で、主治医から再度ホルモン補充療法を勧められた。「その時点ではすがるような気持ちで、皮膚に貼るパッチのホルモン補充療法を始めました。すると、3週間でホットフラッシュが治まり、関節の痛みも消え、体が軽くなって、5~6年前はそういえばこのくらい元気だった、という感覚を取り戻したのです」

ホルモン補充療法は、パッチの他、飲み薬、ジェルなどさまざまな種類があり、効果は個人差があるというが「私の場合は、パッチが劇的な効果があったというわけです。もっと早くから治療を始めていれば、もっと早く楽になっていたのにと思います」。

痛感したのは、自分自身の体についてよく知らなかったということ。「女性の人生はこれほどホルモンの変動に影響されるのに、日々忙しいと無視したり、つい我慢して頑張ったりしてしまう。『あまり他人に言うことじゃない』と思って口に出さない人、親世代もそうだったからと思っている人が多いんです」

女性の体のことは男性にも、経営者にも知ってほしい

タイミングを同じくして、ガール・パワーで産婦人科医の対馬ルリ子氏による女性ホルモンセミナーを開催したり、対馬医師へのインタビューをガール・パワーのウェブメディアに掲載したりする機会を得た。「女性がいかに女性ホルモンの変動に影響を受けるか、それに対する正しい知識と自分に合った対処を専門医と共に行うことが、いかに必要で大切なことなのか。そうした学びの機会を得て、これを発信していかなくてはならない、と強く思いました」

40代から50代の女性は、仕事では責任あるポジションにあり、家庭でも子どもの教育や親の介護などフル稼働の状態。女性自身が健やかさをきちんとマネジメントしていかないと、家庭や社会は機能していかなくなる、と勝さんは強調する。さらには当事者の女性だけではなく、男性にも、企業にも理解が必要だという。

「これから女性も男性も長く働いていく時代に入ります。女性が定年まで、もしかしたら定年後も働くなど、かつてない状況になっていくでしょう。今の社会や企業は男性がつくったプラットフォームで、女性がそれに合わせて働いているためにつらいこともあります。男女の性差や女性特有の体の変化について、男性、経営者にも理解があればお互いに仕事もしやすくなり、一層の女性活躍にもつながるでしょう」

これから産む人、更年期を迎える人、更年期に気づかない人にも、自分自身の言葉で伝えていきたいという。

勝恵子
1966年生まれ。フリーアナウンサー、女子教育NGOのガール・パワー専務理事。「ニュースステーション」(テレビ朝日)、「ザ・ワイド」(日本テレビ)、「ザ・ゴールデンアワー」(TOKYO MX)など多数の番組レギュラーを歴任。「無手勝流対談」(サンデー毎日)などインタビューも多数

(取材・文 大崎百紀、写真 鈴木愛子、構成 秋山知子=日経ARIA編集部)

[日経ARIA 2020年2月27日付の掲載記事を基に再構成]

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