今夏の新潮流として注目の黒スーツだが、モードやフォーマルに見えないかと懸念する方も多いだろう。しかし、コツさえ知れば決して難しいことはない。最も重要なポイントは、“夏ならではの素材”を選ぶことだ。
コンサバスタイルを長年愛好してきた方にとっては、黒スーツと聞くと少々とっつきにくさを感じるかもしれない。実際、何の考えもなしに黒スーツを着ると、まるで場違いな礼服のように見える危険もある。しかし、これを回避するのは簡単。ツルッとしたウール素材を避け、ざっくりと織り感のある生地を選ぶだけでよい。これらは適度にカジュアルな風合いをもち、発色も“ベタ黒”ではないため、礼服感を払拭してくれるというわけだ。
中でも夏の黒スーツなら、リネン混やシアサッカーがおすすめ。豊かな表情だけでなく涼しげな印象も演出でき、夏の日差しに美しく映えるのだ。よりスポーティなシアサッカーならノータイ、ドレッシーなリネンならタイドアップが好相性ということも覚えておきたい。最旬の新機軸を取り入れて、夏のクラシックをさらに愉しもう。
■TAKASHIMAYA STYLE ORDER SALON(タカシマヤ スタイル オーダーサロン)
ウール主体の日本製シアサッカー生地は、軽く滑らかな肌触りに上質感が宿る。生地自体に表情があるので、ノータイでも寂しく見えないところもいい。モデルはAMFフルステッチなど本格仕様を採用した「0型」。納期約5週間。 8万9000円~〈オーダー価格〉(日本橋高島屋S.C.本館 タカシマヤ スタイル オーダー サロン)
■AZABU TAILOR(麻布テーラー)
美しい光沢を放つリネン100%生地と、ラペルが広くゴージ低めなクラシック仕立てという組み合わせが新鮮な一着。タイドアップがよく映えるが、無地タイだとフォーマルすぎるので、色柄ものを活用するとよい。 7万3500円〈オーダー価格〉(Y&Mプレスルーム)
白黒オンリーだとかえって野暮に
ミニマルな印象が強くなる黒無地スーツでは、いつもよりVゾーンに色柄を効かせることを意識したい。上のように白無地シャツを合わせただけだと、シンプルすぎて逆に野暮ったく見えてしまうので注意。
■THE GIGI(ザ・ジジ)
無地が主流の黒スーツだが、よりカジュアルに着るなら柄ものも新鮮。こちらは細身すぎずバランスのよいシルエットも特徴。素材はウールベースのシアサッカー。 ジャケット10万5000円、パンツ3万3000円(以上アマン)