面白くない本も読み通すべき?女優、美村里江さん

女優、エッセイスト。埼玉県出身。2003年、テレビドラマ「ビギナー」で主演デビュー。最近では初の歌集「たん・たんか・たん」(青土社)が好評発売中。

どうしても面白くない本、物語に入り込めない本に出合ったとき、さっさと読むのをやめて別の本に目を向けるべきでしょうか。それとも我慢して読破すべきでしょうか。私は40代になって、やっと小説が面白いと感じるようになりましたが、読み通すスピードはまだ遅いです。(広島県・40代・男性)

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おめでとうございます! 小説を面白く感じるようになったということは、人生に心強い親友が増えたようなものですね。引き続きご堪能ください。

読書好きとしては「面白くなくても読み通してみる」「やめて別の本へ」、どちらもおすすめ。それぞれにメリットがあります。

「別の本へ」という場合、相談者さんの読書経験値を上げていくためのステップです。せっかく小説の面白さを感じ始めた折、テンポの合わない本で疲労するのはもったいない。

今は「簡単に読める」「気分良く読める」本がベスト。作者やジャンルを選ばず、どんどん読みやすいものを読んでいって、読み進める力=読書力を付けましょう。

この読書力こそ、「面白くなくても読み通してみる」場合に必須となります。面白くないと感じているものを最後まで読むのは、根気と時間が必要です。それでも挑戦する最大のメリットは、世界のなかで面白いと感じるものが増える可能性があるからです。

読書において、微妙だった本が10年後に面白く感じられることは結構あります。「快・不快」を基にした「好き・嫌い」「面白い・面白くない」は、赤ん坊のときから持っているものなので、動機としては強い。しかし人間は年月とともに変わっていく。一方、本は変わりません。

なので、少し屁理屈(へりくつ)的な表現になりますが、世の中に「面白くない本」は存在せず、「この本を面白く感じない今のあなた」がいるだけと考えればいいのです。面白く感じられるチャンスは大いにある。世界の本の1%を面白いと感じる人生より、10%面白いと感じられる人生の方がワクワクしませんか。

人からお薦めされた本も同様。自分の好みや視点ではなく「あの人はどこが好きなのかな?」と分析しながら読むと、想像の幅が広がり、様々な人物を演じる役者業にとっては、いいトレーニングにもなるんです。

とはいえ、逆立ちしても面白く感じられない絶望的な本もあります。まずは気軽に楽しく、慣れたら腕まくりで挑むような読書も交え、本とともに有意義な時間をお過ごし下さい。


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