危機で見える、店のデジタル力 平常時の蓄積が生む差「コロナが変える小売業」(上) ECエバンジェリスト 川添隆氏

非常時や危機には基礎筋力が試される

3~4月の小売業各社の動きや数字を見ていると、苦境の中でもなんとかビジネス運営できていた企業は非常時に発揮する強みを平常時からもっていたことがわかります。

1つは「店舗の開店・休業の意思決定を自社でできる経営体制をもっていた」ことです。アパレル企業のほとんどは百貨店・駅ビル・ファッションビル・ショッピングセンターにテナント出店しているため、開店・休業は商業施設に合わせなければなりません。一方で、路面店のように自社で意思決定できる企業では、不必要に赤字を増やすことを最小限に抑えられていました。

もう1つが「顧客情報を管理できていた、オンラインで顧客とつながっていた」ことです。これは平常時から、次のようなチャレンジをして体勢を継続してきたからです。

・ECやオンラインでの接点に投資し、継続的な運営強化を行う
・ブランドの「らしさ」を軸として、顧客ニーズに合わせた商品・サービスを追求・チャレンジし続ける
・日ごろからプロフィットを生み出している店頭スタッフがオンラインで活躍できる環境に投資・運用する
川添氏は非常事態にこそ平常時の取り組みの真価が問われるという

さらに、これらの体勢によって、緊急事態に対応できていた企業では、スタッフスキル向上のために平常時からコツコツと育成を行ってきたことが感じられます。例えば、「ブランドや商品を語りつくせる」「オンラインの画面を通じて視聴者を巻き込む」といった、店舗スタッフとしても当たり前に持っているべき必須スキルであっても、実際には身につけることが難しいスタッフとしての基礎筋力が高かったことが、成果を上げることができた要因だと思います。

これらの基礎筋力に、機転の効いた創造力が合わさったことで、店舗営業ができない苦境下でもユニークな取り組みを生むことができたのではないかと考えています。

オフライン・オンライン問わずに顧客に価値を伝え、商売をしていく。そのために、組織全体でコツコツ努力して、少しでもチャレンジしていく。これらの重要性を再認識できたように感じます。

川添隆
1982年生まれ、佐賀県唐津市出身。2005年千葉大デザイン工学科卒後、総合アパレルのサンエー・インターナショナルに入社。その後、ネットビジネスを志し、サイバーエージェントグループのクラウンジュエル(現ZOZOUSED)などを経て、13年にメガネスーパーに入社。EC事業、オムニチャネル推進、デジタルに関わる全てを統括。18年からビジョナリーホールディングス執行役員。また17年にエバンを設立し複数企業のアドバイザーに従事。

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