ウィズコロナの時代 「乗り越える人」に必要な条件『タルピオット』の石倉洋子氏×『シン・ニホン』の安宅和人氏

「まずは『気をつけ』『休め』『前ならえ』をやめるべき」とも書かれていて、確かにそうだなと思いました。でも、私も実は本を読むまでは、高校で講演をする際、「起立」「礼」で始まり、終わるのを何度か経験して、あれ?まだこれ?とは思っていたのですが、『シン・ニホン』を読むまで、こんなものかな、と思っていたのです。『シン・ニホン』にはっきり書かれていて、やっぱりおかしいな、と気付きました。

安宅 「気をつけ」「休め」や過度の校則が象徴しているのは、「違いを全部塗りつぶす」社会です。でも、日本以外の世界は、「違いを武器にして戦う」というゲームになっている。『タルピオット』を読むと、イスラエルはそこで生き残ろうとしているのがわかります。

あとはただ行動に移せばいい

安宅 全く違う技術革新が起きているんですから、昔からのモノづくりなどの技術“だけ”で乗り切れるわけがないんです。モーターを相手に「いえ、私たちは馬で勝負します」と言い続けているようなもの。何が何でも新しい武器を手にいれないとダメなんです。

石倉 新しい武器を手に入れる能力の問題というよりも、その前段の、意志の問題ですよね。「変えよう」と決めること。「やる」と決めること。

安宅 そうなんです。日本人の学習能力の高さはいろいろなところで証明されていますから、あとはただやればいいだけなんですよ。

石倉 私もいろいろなところでセミナーをやったりしていますが、「行動に移しましょう」と言うと、その場ではみなさん、その気になったようなことを言われるんだけど、後で聞くと「まだ何もやってません」ということが多い。なぜ行動しないんでしょうね。

安宅 それで思い出しましたけが、僕は実はマッキンゼーにいたとき、会社を辞めてアカデミアに戻ろうかと思って石倉さんに電話で相談したことがあるんですよ。そうしたら、「バカじゃないの?!」と、すごい勢いでめちゃくちゃ怒られた(笑)。「大学なんて、19世紀のままなのよ。まだ若いんだし、もうちょっと仕事をしなさい。あなたみたいな人は、どうせ50歳過ぎたら大学から呼ばれるんだから」と。

それから、「ブログを書きなさい」と言われたんです。それで、その日からブログを書き始めたところ、2~3カ月後には読者が結構ついて、「パワーブロガー」みたいになったんです。

石倉 当時はまだ、あまりブログを書いている人がいなかったのよね。

安宅 2008年でしたから。それからブログの中で反響の大きかったものをもとにして、2010年に『イシューからはじめよ』という本を出しました。これが結構多くの人に愛されてきました(笑)。だから石倉さんは僕の恩人なんです。ありがとうございました。

つまり、すぐに行動に移せば必ずいいことが起きるんです。「なるほど、そうか!」と思ったら、「それを今やれ」ってことです。

(構成・大井明子)

タルピオット イスラエル式エリート養成プログラム

著者 : 石倉 洋子
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,760円 (税込み)

シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成

著者 : 安宅和人
出版 : NewsPicksパブリッシング
価格 : ¥2,640 (税込み)

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