N
出世ナビ
事業支援特集

2020/6/9

事業支援特集

そこに新型コロナが直撃した。500人を超すスタッフの半数は自宅待機、取引関係にある多くの伝統工芸メーカーにも影響が及ぶ。しかし、千石さんは落ち込んでなどいない。むしろ新たな光明も見えてきたという。

中川政七商店の通販サイトが活況を呈しているのだ。「売り上げは以前の2倍以上。これまで通販サイトは直営店舗の補完的な機能だった。しかし、顧客と双方向でやりとする場として有効だと改めて分かった。インスタグラムでのイベントも仕掛け、デジタル領域での手応えを感じている」と話す。リアルとデジタルの融合を進めた、新たな事業モデルを模索する。

一方で自宅待機の社員の中には、ビジネス関連の本を読んだり、接客のためのトークスクリプト(台本)を改善したり、自らのスキルを磨くスタッフも少なくない。同社もこの時期に社内研修も進め、次に備える考えだ。

千石あや社長

取引先の伝統工芸メーカーの経営者たちも「たくましい、強い方が多い」と語る。中川政七商店と同様、長い歴史を刻み、資金繰りや後継者難などの時代の荒波にもまれてきた会社がほとんどだ。「厳しい状況ではあるが、だからこそどう乗り越えるか前向きに考えている」と語る経営者が少なくない。同社の社外取締役で作家の山口周さんから「変化を先取りし、難しい方向にあえてチャレンジすればいい」とアドバイスされた。

千石さんは「麻織物など守るべきものは守る。しかし、過去には『とらわれない』という気持ちでやっていく」と語る。江戸から令和まで、時代を超えて数々の危機を乗り越えてきた中川政七商店。「やはり織物関係の会社ですから、柔軟にしなやかに、軽やかに変える」と話す。ベンチャーさながらの気風あふれる創業300年を超す老舗を舞台に女性経営者の新たな挑戦が始まりそうだ。

(代慶達也)

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら