江頭2:50 たどり着いた先のYouTubeで大暴れ

日経エンタテインメント!

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YouTubeのチャンネル開設から100万人突破まで国内2位のペースで増加した登録者数(1位は嵐)は、4月15日に200万人を突破。ダブルミリオンも達成した『エガちゃんねる EGA-CHANNEL』の快進撃が止まらない。江頭と言えば、日経エンタテインメント!の「嫌いな芸人ランキング」で9年連続1位(2002~10年)になるなど、嫌われ芸人の代表格だったが、今や国内屈指の人気YouTuberへとその肩書きを大きく変えた。

1965年7月1日生まれ、佐賀県出身。B型。登場曲は布袋寅泰の『スリル』。『エガちゃんねる』のほか、インターネットテレビ『江頭2:50のピーピーピーするぞ!』もニコニコ動画『大川興業大チャンネル』などで視聴可。大川興業所属

YouTube進出や人気の背景を聞くべく取材を申し込むと、冒頭こんなありがたい(?)ご挨拶から始まった。

「話をする前に、アンタ! 『嫌いな芸人ランキング』の担当らしいじゃねーか!! アンタなあ……ありがとう! アンタのおかげで今の俺があるんだよ! だから今回もいい記事書いてくれよな?」

そもそも芸歴32年の大ベテランが、なぜYouTubeに挑戦しようと思ったのか。

表現の場を失って

「俺が出てた『「ぷっ」すま』『めちゃイケ』が全部終わっちゃったんだよ。だけど人間、すべてを失ってからが面白い。だから、俺はYouTubeに懸けることにしたんだ。好きなことがやれるって聞いたし、世界中の人にも見てもらえるって聞いたからさ。最初はYouTubeって何なのか、何にも分かってなかったけどな。

しかし頭おかしい奴らが200万人もいるんだな。俺、嫌いな芸人ナンバー1だぜ? YouTubeってすごいなって思ったよ」

『「ぷっ」すま』『めちゃ×2イケてるッ!』という、平成の笑いを作ってきた番組が20年を超える歴史に幕を下ろしたのは2018年3月。その両番組にことあるごとに出演し、「1クールのレギュラーより、1回の伝説を」という自身のスローガンを実践してきた江頭が表現の場を失い、たどり着いた先がYouTubeだったというわけだ。

初回は、お尻に突き刺した筆で番組名『エガちゃんねる』を書き切る「お尻書道」を配信。鮮烈デビューには違いなかったものの、広告審査には落選した。その後、審査を通る企画もそろえるが、初回から“不適切”と判断されるあたりはさすが江頭である。

視聴者は大半が男性

「そもそもYouTubeが乳首NGだとは思ってもみなかった。初回収録前日にそれを知って、急遽ガムテープで隠すことにしたんだが、あれ、毎回はがすの、すげー痛いんだよぉ…。

お尻から粉を吹く「バンクシー」ならぬ「バンク尻ー」というのもやってみたんだが、また広告審査に落ちた。俺がやりたいことをやると審査に落ちるんだよ!

2回目に配信した「ペットボトルロケットを股間でキャッチする」って企画も、手応えはあったのに審査は通らなかった。そしてこういうネタは女子には全然人気がない! このチャンネルの視聴者、ほとんど男らしいぜ。

テレビより自由じゃない部分はたまにあるんだけど、「お尻3部作」みたいなネタはテレビじゃそもそもやらせてもらえないじゃん。それがやれるってことはすごいぜ。 1円も入ってこないけどな!」

お笑い界ではこのところ、人気YouTuberとなったカジサック(キングコング・梶原)に続けとばかりに、若手からベテランまで多くの芸人がYouTubeに参戦。東京03は今や中高生の間でアイドル的存在になっており、闇営業問題で活動を自粛していたロンドンブーツ1号2号の田村亮は相方・田村淳と『ロンブーチャンネル』を開設、芸能活動を復帰させたのは記憶に新しい。そんななかにあっても『エガちゃんねる』の話題度、人気度は群を抜いている。

「この前、ユースケ(・サンタマリア)から電話がきて、全部見てるって言ってた。うれしいねー。あと、いろんな人から『おめでとう』って言われるね。おじさんばっかりだけどな。お店の女の子からは相変わらずモテない…どうなってんだよ!?

ダルビッシュがツイッターでコメントしてくれたり、この前は『T.エガ.Revolution』ってネタやったんだけど、そしたら本家(西川貴教)が反応してくれたり、そういうのもうれしいぜ。ダルビッシュ、コラボしようぜ! 俺のキンタマを握って、変化球の投げ方、教えてくれよ!

反響と言えば、コメント欄で意外と多くて困るのは、ちょっと過激なことをすると、みんな俺の体を心配すること。『エガちゃん、心配だから危険なことはしないで~』って、それは営業妨害だぜ(笑)。こっちは笑ってほしくてやってんのに、心配しないでくれよな。ケガしてたら配信してないから、配信してるってことは大丈夫なんだよ。実際、過激すぎてお蔵入りしたやつもあるんだから」

『エガちゃんねる』では、私物を公開したり、芸人観を語ったり、素の江頭をのぞけるのも見どころ。

ちょっと意外だが、カメラの前で歌も初めて披露。その『人にやさしく』(THE BLUE HEARTS)は600万回再生も目前だ。ここでしか味わえない姿は新たなファンを開拓していると言えそうだが、これまでの芸風を考えると、素をさらすことに躊躇はなかったのだろうか。

「俺はYouTubeを始めるときに、これにすべてを懸けるって決めた。だからこの番組に関してはNGなし! 中途半端な気持ちでやってたらそれは見てる人たちにも伝わるだろ? だから何でもやる覚悟でやってるよ。

俺の恋愛を語る回というのも配信した! 初恋から失恋、全部語ったよ。『そんなの誰が聞きたいんだ?』って思うけど、“ブリーフ団”たちが聞きたいっていうから、NGなしで話した。頼むから見ないでくれ、絶対見るなよ! 見るなら『バンク尻ー』を見ろ!」

“ブリーフ団”とは全身黒タイツにブリーフという出で立ちで番組に登場する出演者兼スタッフ。09年に動画配信サイト「BeeTV」(現dtv)で配信した『がんばれ!エガちゃんピン』以降、様々な企画で江頭を支える戦友であり、よき理解者だ。番組では彼らとのやりとりも見せ場の1つとなっており、大きな信頼を寄せている。番組人気は彼らの存在が大きいと話す。

「俺たちはYouTubeのことをなんにも知らないで始めたけど、変に勉強して頭でっかちになってたら、広告審査や年齢制限を意識して、もっと守りに入ってたかもしれない。知らずにドカーンってやっちゃえたことが、逆に良かったんじゃねぇか? でもさ、ブリーフ団XLが飼ってる『えだまめ』って名前の猫の爪を切るだけの企画をやった時は、俺はまったく手応えを感じなかったのに、逆に女子に人気みたいで、150万回以上の再生になったんだよ。何がウケるかよく分かんねーけど、やりたいことがやれてるってのは間違いないな」

YouTubeっぽくない編集

「一般的にYouTubeでは編集をテレビっぽくやるとウケないって言われてるらしいんだけど、スタッフは『そんなのどうでもいい、自分たちが面白いと思う編集をする』って言って、今までのYouTubeっぽくない、YouTubeに寄せない編集をしてるんだよ。てゆうか、そういう分析は『日経エンタテインメント!』のお仕事だろ? 逆に教えてくれよ!」

その影響力とインパクトの強さから、4月8日からは東京・渋谷の街頭ビジョンで、新型コロナの注意喚起を促すメッセージ動画として流された。本来は数百万円の広告枠を、運営企業は江頭に無償で提供。東京オリンピックが1年延期したことも受け、この機会に「世界のEGA」になると豪語する。

「こんなときだから1人でも笑ってもらえるネタを配信していこうと思ってるよ。外に遊びに行けないちびっこのために、ちびっこにもウケるネタもな!

俺が踊った『45秒でBAN(一時凍結)できる?』って動画があるんだけど、それ、視聴者がいろんな海外の言葉に訳してくれてるんだよ。スペイン語、ポルトガル語、タイ語、韓国語、中国語とかに。翻訳してくれた人がこの記事見てるかもしれないから言わせてくれ! 本当にありがとうな! お前ら本当に頭おかしいぜ!

今、テレビで『江頭2:50の番組やりたい!』って言ってもコンプライアンスやらで絶対やらせてもらえないだろ? けど、YouTubeは誰のハンコもいらない。『エガちゃんねる』っていう番組を始められたことに一番の自由を感じている。

過激なことをやり続けてBANされたとしても、また新たに始めればいい。広告収入が入ってきたら、あの刑務所みたいな収録場所だけじゃなくて、外で少しだけお金かけたネタもやりたいね。北朝鮮にも行きたいって思ってるし、お尻で女性を笑わせたい。とにかく、世界で伝説作るぜ!」

エガちゃんねる
2020年2月に開設。4月21日時点の登録者数は202万人。アカウントが凍結された場合を想定したサブチャンネル『替えのパンツ』は64.1万人。体を張った企画を軸に、パロディーや、素の部分を掘り下げるなど、多彩な内容。

(ライター 我妻弘崇)

[日経エンタテインメント! 2020年6月号の記事を再構成]

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