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タイタニックの悲劇象徴する電信機 今夏に引き揚げか

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

1912年4月14日から15日にかけての深夜の3時間、タイタニック号に搭乗した電信技師が送信したメッセージは多岐にわたる。ある乗客の代わりにニューヨークの友人に送った「こんにちは。今夜の夕食、心はあなたと共に」という軽薄なものから、タイタニック号からカルパチア号に向けての「氷山に衝突した」という取り乱したものや、「大至急救援を。機関室は、ほぼ冠水」という最後の一報まで──。

このほど、米連邦判事は、タイタニック号のサルベージ権を有する民間企業が、船内から電信機器を回収することは可能だと判断した。判事は「タイタニック号の忘れ難い損失、生還した人々、そしてこの沈没事故で命をかけた人々が残した遺産に資するものである」と述べた。

米バージニア州東部地区連邦地方裁判所のレベッカ・ビーチ・スミス判事が2020年5月18日に言い渡した同判決は、サルベージ会社「RMSタイタニック」(RMST社)がタイタニックの船体や備品を切断または取り外すことを禁じた、前判事による2000年の判決を修正し、条件付きで認めるものとなった。士官区域にある電信機を引き揚げるためには、船体に穴を開けたり船体の穴を広げたりして、内壁から機器を取り外す必要がある。

多くの考古学者や文化遺産団体が、1500人を超える人々が眠るタイタニックから遺物を引き揚げることに反対してきた。

米国立公園局水中資源センター長デビッド・コンリン氏は裁判所に提出した文書に、こう書いている。

「ライオンは、博物館に展示されるよりも、アフリカのサバンナで野生のままにいる方が、はるかにいいのです。同じように、タイタニックの電信機もあるがままの所で、その物語を語り、その価値を伝えることが、一番いいと考えます」

タイタニック号の声を再現する

タイタニックに搭載された電信機は、当時としては最先端の装置で、この分野のパイオニア、グリエルモ・マルコーニが開発した無線通信機だった。通信機器は、士官区域左舷にある通称「マルコーニスイート」に置かれていた。寝室、電信技師の部屋、そして電信送信関連設備が設置された「サイレントルーム」の3部屋からなる続き部屋だ。

大西洋の凍てつく海水が足元に達する中、近くの船に救難信号を送信したジャック・フィリップスの英雄的な行為をはじめ、マルコーニスイートで起きた出来事の話は、フィリップスの助手ハロルド・ブライドにより有名になった。フィリップスは船と共に沈んで亡くなったが、ブライドは救出され、その夜の悲惨な事故について米ニューヨーク・タイムズ紙で語った。

RMST社が裁判所に提出した文書によると、電信機用の設備である発電機やディスク放電器をサイレントルームから回収できれば、「動作可能な状態に復元できると考えられ」、新たな部品を用いることで、「タイタニックの無線――すなわちタイタニックの声を、再びそして永遠に聞くことができる」としている。

法廷闘争

今回の判決は、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(協会が支援する研究者)であるロバート・バラード氏が1985年に発見した伝説的な沈没船の運命をめぐって、数十年にわたって繰り広げられている法廷闘争の1つでもある。1994年、後にRMST社となる団体にサルベージ権が与えられた。だが2011年、この権利は、特定の条件の下でのみ認められるようになった。

1993年~2004年、RMST社は、タイタニックの主要な残骸の周辺にある破片密集地から5000以上の遺物を回収した。その多くは、世界中の博物館や展示場に展示されている。

タイタニックは、北大西洋の水深約4000メートルの海底に横たわっている。このため、遺物の回収には、調査船に接続した遠隔操作探査機(ROV)が必要だ。

2020年1月に裁判所に提出された文書によると、RMST社は、マルコーニスイートの天窓かタイタニック号の船体に穴を開け、そこからROVを投入してサイレントルームに進入する計画だ。あとは、海上のオペレーターがROVのロボットアームを操作し、電信機をタイタニックから取り外すという。

RMST社の代理人は、タイタニック号の船体や遺物崩壊が加速しているとした「新たな証拠」こそが、2000年の禁止令の修正を請求するのに十分な理由となると法廷で主張した。

2020年1月に提出した文書には、回収の第1目標となるマルコーニの電信機の関連設備は、台座に取り付けられたり鋼甲板にボルトで固定されたりした発電機や放電器、サイレントルーム内の壁に取り付けられた配電盤と調節器だと明記されている。

同文書ではしかし、第1目標の「回収には深刻な課題がある」と触れられ、さらにサイレントルームからの回収の「第2目標」として、マルコーニの電信機に関連するより軽くて小さな部品3つが指定されていることもわかっている。

2020年5月初めに同社が裁判所に提出した文書でも、「これまで集めた情報を総合すると、リスクが高いため、発電機はサイレントルームから回収しないだろう」としている。

スミス判事は2020年5月18日の判決で、2000年の船体にかかる禁止命令を破棄したものではなく、タイタニックからマルコーニの電信機に関連する遺物を引き揚げる「唯一無二の機会」のために、一時的に修正するものだと述べている。また、タイタニック号から電信機を引き揚げるのにあたっては、遺物を引き揚げる資金だけでなく、その保存と記録のための資金の確保を保証する計画も裁判所に提出した上で承認を得ることが回収許可の条件となっている。

現在RMST社は、マルコーニの電信機を回収すべく、2020年夏のタイタニック号への遠征計画を立てているところである。

(文 KRISTIN ROMEY、訳=牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年5月25日付]

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