名作映画のスーツ・ジャケット姿 今の解釈で「旬」に

MEN’S EX

2020/6/23

Study3. 『グレート・ビューティー/追憶のローマ』から学ぶ イタリアの“色彩”

その国柄、男性の装いにおいても鮮やかな色彩を学べるイタリア映画。なかでも近年のお手本は、ペコラ銀座のテーラー佐藤氏をはじめ、多くの服飾関係者が推奨する『グレート・ビューティー/追憶のローマ』だ。劇中主人公のジェップは、2日と同じ服を身につけない洒落者ぶりを披露してくれるのだが、とりわけ目を引くのが、黄色や赤といった発色豊かなジャケット。

そんなカラージャケットに白いパンツを合わせたコントラスト鮮明な着こなしを見ると、ミドル~シルバーエイジの男が纏う鮮やかな色って、なんて格好いいんだろうと思わずにはいられない。ただし、これはクラシコな装いが染み付いたイタリア男ゆえ。日本人が今、街で装うにはよりソフトなニュアンスが欲しい。ということで、下ではイタリア的色彩の最旬かつ最適な取り入れ方を考えてみたい。

《“映画”から学ぶ永遠》

写真:Collection Christophel/アフロ
『グレート・ビューティー/追憶のローマ』
伊・仏合作による2013年の作品。トニ・セルヴィッロ演じる主人公ジェップは65歳のジャーナリスト兼作家であり、連日の狂騒にふけるセレブリティの有名人だ。そんな彼のもとに初恋相手の訃報が届く。そして彼は虚無感とともにローマの街を彷徨い歩く……。美しくもどこか寂しげなローマの街並みに映えるジェップの鮮やかな装い。そのコントラストが、映画全体を覆う静けさをさらに際立たせていく。

《“スタイリスト”から学ぶ最旬》

ジャケット10万4000円/ラルディーニ(ストラスブルゴ) ニット9万6000円/フェデッリ(トレメッツォ) パンツ1万2000円/リーバイス(R)(リーバイ・ストラウス ジャパン) 時計75万円/ゼニス(LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス)、靴5万1000円/ポール・スチュアート(ポール・スチュアート(GINZA TIMELESS 8店)

もとよりレベルの高いイエローのジャケットを主役に据えた装いは、いかにサラッと着こなせるかが勝敗の鍵。四方さんは「デニム合わせがポイント」と語る。「白パン合わせは確かにイタリアっぽいんですが、ちょっとクラシコなテイストが強すぎる。その点デニムなら、こなれた感じになる分、誰でも挑戦しやすくなるはずです。ジャケット自体も軽い仕立てがマスト。だからそれに合わせて、デニムもほどよく色落ちした一本を選びました。インナーもシャツより柔らかな印象のクルーニットを合わせるほうが、今の時代感に合っていますね」(四方さん)。

Best Arranged [ STYLING ] from THE GREAT BEAUTY

Styling Point(1) 色落ちデニム

色鮮やかなジャケットもデニムを合わせることでこなれた雰囲気に。デニムは季節やジャケットの軽さに合わせ、ちょっと色落ちしたものを。

Styling Point(2) ビットローファー

劇中の着こなしのような茶靴合わせはクラシコなイメージが強すぎるので、足元には黒靴を。ビットローファーならよりモダンな雰囲気に。

Styling Point(3) クルーニット

装いにヌケ感を与えるニットのインナー。今なら夏らしいボーダー柄がオススメ。ベージュトーンにすればジャケットの色にも自然に馴染む。

Study4. 『勝手にしやがれ』から学ぶ フランスの“愛嬌(エスプリ)”

モノクロながらジャケットの着こなしが強烈に印象に残る映画だ。『勝手にしやがれ』の主人公役のジャン=ポール・ベルモンドが纏うジャケットは中で身体が少し泳ぐようなサイジングだが、それをラフに羽織る様がとても粋に見える。腰ポケットに新聞紙を突っ込んだ姿なども女たらしのチンピラ役にぴったりの愛嬌があり、ジャケットというものは本来肩肘張らずに着用するものだと改めて教えてくれる。

このベルモンドの格好よさには帽子やサングラス、咥えタバコといった小物の効果も大きいだろう。とりわけ注目したいのがシャツタイのチョイスだ。映画冒頭で着用するのはかなりアクの強い大柄ヘリンボーンのツイードJKだが、白シャツ&黒ニットタイですっきり軽快に着こなしている。無頓着に見えてじつは計算ずく。パリの伊達男の本領を感じるコーデだ。

《“映画”から学ぶ永遠》

写真:Visual Press Agency/アフロ
『勝手にしやがれ』
ジャン=ポール・ベルモンド扮する自動車泥棒の常習犯ミシェルはマルセイユで車を盗み、追ってきた警察を射殺。その後パリに舞い戻り、記者志望のアメリカ人ガールフレンドの家にしけ込むが、やがて二人の元に警察の手が及んできて……。フランソワ・トリュフォー原案、脚本・監督をジャン=リュック・ゴダールが務めた、ヌーヴェル・ヴァーグを代表する名作だ。1960年公開。

《“スタイリスト”から学ぶ最旬 》

ジャケット14万円/カルーゾ(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店) シャツ2万1800円/ギットマン ブラザーズ フォー シップス(シップス 銀座店) パンツ2万9000円/アナトミカ(アナトミカ 東京) タイ1万7000円/アット ヴァンヌッチ(レガーレ) ソックス1500円/トゥモローランド(トゥモローランド) 靴11万5000円/ジェイエムウエストン(ジェイエムウエストン 青山店)

勝手にしやがれ』のジャケットの着こなしは今の目で見てもとても参考になると四方さん。「要は引き算のコーデで、柄ジャケの攻略では鉄板です。ここでは白シャツ&黒タイに加え、パンツもオフ白とし、よりクリーンな見映えでまとめてみました。ちなみにJKの柄は英国的、白BDシャツと5ポケットパンツは米国的ですが、こういうふうにいろんな国の要素をさりげなくMIXするのはフランス人が昔から得意とするところ。ただここに茶のタイや靴を合わせるとイタリアっぽくなるので、フレンチシックを気取るなら黒で締めるのがおすすめ」(四方さん)。

Best Arranged [ STYLING ] from THE GREAT BEAUTY

Styling Point(1) 太めの黒ニットタイ

柄ジャケのインパクトを受け止めつつ、胸元をすっきり仕上げる黒ニットタイ。細身はモード味が強いため、ミドルは剣先幅8cmぐらいがベスト。

Styling Point(2) オフホワイトパンツ

映画ではスラックスだったが、サテン生地のオフ白5ポケットパンツでより軽快かつクリーンに仕上げた。茶ベースのJKとの相性もよい。

Styling Point(3) ザ・Uチップ

足元はジェイエムウエストンの名作Uチップ靴、ゴルフをチョイス。ニットタイに揃えて黒を選んだことで、よりフレンチのムードが高まった。

※表示価格は税抜きです。

撮影=黒沼 論(aosora)、鈴木泰之、竹内一将(STUH)、丸益功紀(BOIL)、椙本裕子、武蔵俊介 スタイリング=四方章敬、宮崎 司(CODE) ヘアメイク=馬場拓也(sept) 構成・文=小曽根広光、黒澤正人、井上健太郎 文=吉田 巌(十万馬力)、秦 大輔、竹内虎之介(シティライツ)、柴田 充 イラスト=TOMOYA 撮影協力=AWABEES、淡路亭、マグニフ、ゆうらく

MEN'S EX

[MEN’S EX 2020年5月号の記事を再構成]

SUITS OF THE YEAR 2020

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