ハンモック構造にスティック型も 小銭入れ個性派3選
キャッシュレス時代のミニ財布(下)
スマホ決済の普及や、ビジネスリュックを用いる人が増えたことで、財布の昨今のトレンドは「ミニ財布」に。パンツのポケットに入れても邪魔になりにくいコンパクトな財布に注目が集まっている。そこで今回は、種類別に3回に分けて紹介する。
第3回となる今回は、カードケースと合わせて持ちたい小銭入れを取り上げる。使いやすさにこだわった技ありデザインに注目してほしい。
小銭がひと目でわかるコインキャッチャー
クランプやコムォノなどの革小物ブランドを手がける池之端銀革店。ボクレは、そんな同店がアナログクリエーター・辻井国裕氏と協業したブランドで、感度の高いレザー製品を展開している。
今回紹介するのは、2015年に発売して大ヒットしたコインキャッチャーを、19年12月に素材を変更して復刻したもの。もともとスムースレザーなどを使った重厚なデザインだったが、光を反射するリフレクターレザーとクリアなPVC(ポリ塩化ビニール)素材をコンビ使いし、トレンド感のある仕上がりになっている。
最大の特徴は、コインを種類ごとに仕分けできるキャッチャーレールの採用だ。財布を開くと、ひと目で所持しているコインを確認できて実用的。レールに入らない1円玉と5円玉は、背面のポケットにまとめて収納できる。
もちろんユニークな見た目も好印象。懐かしいコインキャッチャーだが、一周まわって今では逆に新鮮さを感じられる。会計の際に目を引くのではないだろうか。
「若い方には目新しく映るようで、若年層を中心に売れている」と話すのは、池之端銀革店の店舗スタッフ・片桐啓佑氏。復刻を待ち望んでいたユーザーが多かったことから、発売初月に生産数の約3割を消化するなど、ギフト需要も高いため売り上げは好調だという。
ハンモック構造で小銭を取り出しやすい
ハンモックのような形状のコイン収納部を備えた、カルトラーレの人気の2つ折り財布「ハンモックウォレット」。この「ハンモック構造」を採用し、20年3月に発売した最新作が、今回紹介する「ハンモックウォレット ミニ」だ。
コイン収納部は、財布を開くと浮き上がる構造になっており、大きく開くためコインの視認性が高い。コインは15枚程度を収納でき、出し入れしやすい点が最大の特徴となっている。
コインのほか、カード収納部を内側に2カ所、外側に2カ所搭載。カード収納部に札を折りたたんで入れておけば、小銭入れとしてだけでなく、オールインワンのミニ財布として活躍する。
また、財布を閉じるフラップ部分にハトメが付いているため、ストラップやキーチェーンを装着可能。財布と鍵を一緒に持ち出せるため、スマートに外出できる。
カルトラーレを展開するエイムのクリエーティブディレクター兼デザイナーのharu氏によると、「キャッシュレス化の浸透を背景に、ハンモックウォレットシリーズの売り上げは伸長している」という。本作も男女問わず、30~50代の幅広い年齢層から支持を得ているそうだ。
小銭と鍵をコンパクトに持ち歩ける
ポケットに入れやすい「薄い財布」や「小さい財布」など、数々のミニ財布を手がけるアブラサス。そんな同ブランドの小銭入れは、スティック型をしたコイン1列分の細長い設計で、まさにコンパクトな小銭入れとなっている。
スナップボタンが付いた財布を開くと、上下段にポケットがあり、下段にコインを収納する仕組み。コインは500円玉1枚+100円玉4枚+50円玉1枚+10円玉4枚+5円玉1枚+1円玉4枚の計15枚、999円分のコインを収納可能。本当に必要な枚数だけが入る、ミニマルなサイズに割り切って作ったという。
ポケット上段は紙幣ポケットで、札を八つ折りにして3枚程度入れられる。小銭が足りない、カードも使えないといった場合に役立つ。
また、財布にはキーリングが付いているので、家の鍵や車のキーを付けておけば、外出時に財布を忘れる心配もないだろう。
素材は、表面にガラス加工を施した天然牛革。日本国内で加工・仕上げをしており、上品なツヤと手になじむ質感が魅力だ。
アブラサスを展開するバリューイノベーションのデザイナー南和繁氏は、「特に車を運転される方から人気」と話す。コインパーキングはカード非対応の場合が多い。車のキーと小銭入れをあわせてコンパクトに持ち運べる点が支持を得ているという。
(ライター 津田昌宏、写真 宮前一喜=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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