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Zoom飲み会のバーチャル背景を販売 飲食店を支援

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日経クロストレンド

外出自粛のあおりを受けて急激に認知を高めた「Zoom飲み会」。これに着目し、飲食店の店内写真をバーチャル背景用としてネットで販売し、各店舗を支援する取り組みが好評を博した。そのサイト「ONLINE PARTY MARKET」の仕掛け人に話を聞いた。

「オンライン飲み会」ブームに着目

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で、一気にブームとなった「オンライン飲み会」。ビデオ会議システムなどを活用し、自宅に居ながらにしてオンライン上で集う「バーチャルな飲み会」だ。このムーブメントの裏に、臨時休業や営業時間の短縮を迫られた飲食店の苦境があることを忘れてはならない。

そうした状況を受け、「お気に入りのお店が存続するために何かしたい」という思いから、マーケティング支援などを手掛けるラナンキュラス(東京・渋谷)などが、2020年4月12日から5月6日までの期間限定で始めたサービスが「ONLINE PARTY MARKET(以下、OPM)」だ。オンライン飲み会で使用するZoomなどのビデオ会議システムでは、自分の映像の背景にお気に入りの画像を選べる機能がある。これを使えばプライベート空間を他人に見せずに済むだけでなく、画像を工夫することで別の場所にいるかのような演出ができる。この「バーチャル背景」をネットで販売し、売り上げを飲食店の支援金に充てようというのがOPMの目的だ。

OPMの特徴は、さまざまな飲食店の店内写真や店のロゴをバーチャル背景の画像に採用した点。価格は1店舗につき500円(税込み)。店舗からの依頼と画像の提供を受け、それをOPMに掲載して販売する。売り上げから1ダウンロード当たりの販売手数料73円(ネットショップ作成支援会社の決済手数料とサービス手数料)と振込手数料の実費を差し引き、残りを各店に還元する仕組みで、OPMとしてのもうけはゼロだ(振込手数料は飲食店負担)。

ユーザーはこれを購入し、オンライン飲み会でバーチャル背景に設定することで、応援したい店の店内から参加しているかのような雰囲気を醸し出せる。同時にその店舗への支援にもつながるわけだ。もし画像の店舗が自分のなじみの店だったら、コロナ禍以前の、平和だった日常の一コマを演出できるに違いない。

瞬く間に話題となったOPMには掲載依頼が殺到し、北は北海道から南は沖縄まで、登録店舗は350を突破。わずか25日間の営業だったが、延べ1884人のユーザーが画像を購入し、94万2000円を売り上げた。現在もショップは存在しているが販売は終了。「販売はしない」ことを了承してもらったうえで、希望する店舗に限り「SOLD OUT(売り切れ)」という状態で掲載を続けている。

スピード重視で開店できた理由

このサービスの立案・運営を手掛けたのは、ラナンキュラスの北本貴子氏のほか、商品企画やマーケティングを支援するmugichocolate(東京・渋谷)の界外亜由美氏、対人援助サービス会社・てにをは(東京・豊島)の岡本真梨子氏の3人。プライベートで交流のある3人が日帰りサウナ旅行を企画していたところ、新型コロナウイルスの影響でやむなくキャンセル。メッセージをやり取りしているうちにオンライン飲み会へと発展し、そこから今回の発想が生まれたという。

もともと3人の間で、新型コロナによる仕事への影響や、共通の友人である飲食店経営者たちの窮状に対し、何かできないかということが話題に上っていたそうだ。そんななか岡本氏が、サウナ関連グッズを販売する「サウナマーケット」で購入したサウナの画像をZoomのバーチャル背景に設定して、オンライン飲み会に参加。外出自粛でサウナに行けないと不満を抱いていた岡本氏は、全力でサウナ画像の応援購入をしていたという。

これに着想を得たのがOPMだ。実際にオンライン飲み会で知人の店の画像を背景に設定したところ、「その店で飲んでいる雰囲気を味わえてとても楽しめた」と北本氏。また参加メンバー全員が同じ背景画像を使うことで、背景がなかったりバラバラだったりしたときよりも「強くつながりを感じることができた」(北本氏)とのこと。

今回、OPMの立ち上げにはBASE(ベイス、東京・港)のネットショップ作成サービス「BASE」を活用した。北本氏にBASEでの出店経験があったため、企画が固まってからOPM開店までは非常にスムーズだったそうだ。困っている飲食店をすぐに応援したいという思いで始めただけに、BASEの売りである出店までのスピード感はありがたかったという。

掲載店舗については、まず前述した共通の友人である飲食店数店に声をかけた。OPMを立ち上げ、賛同してくれた飲食店を情報が届いた順に掲載していったところ、SNS経由ですぐに火が付き、「開始後2~3日で全国の飲食店から掲載依頼が届くようになった」と北本氏。

ちなみに北本氏の本業は、お母さんを応援するコミュニティーサイト「mmyme(ミィミィ)」の運営だ。界外氏は「シブヤ散歩新聞」の編集長を務めるほか、コピーライティングやオウンドメディアの企画運営経験もある。岡本氏も経営や人事についてコンサルティングを務めるほどの実務知識を有している。3人それぞれが、自らの知見とスキルを生かしたことも、OPM立ち上げのスピード感に大きく寄与したと言えよう。その勢いにはBASE側も着目し、Twitterの公式アカウントで紹介した。

「支援する」という行為自体が商品

OPMのターゲットは「ずばり、『オンライン飲み会をする人』」(北本氏)。OPMで提供した画像は、すべて「オンライン飲み会をより楽しむためのグッズとして利用してもらうことを目的にしている」という。

店内の画像については、例えば飲食店の評価サイトやその店舗の公式サイトなど、インターネットで検索すればほとんどが無料で入手できることを北本氏たちも認識している。なによりOPMのサイトから画像を保存することすら可能な状態で、電子透かしも入っていない。その理由を北本氏は、「あくまで支援としての課金がコンセプト。オンライン背景画像を得るだけではなく、『支援する』というアクションまで含めての商品価値」と話す。

画像自体はいうなればパーティーグッズだ。しかしOPMで画像を購入するという行為は、飲食店へのエールでもある。そうしたコンセプトがユーザーに伝わったからこそ、OPMは短期間でここまで話題になった。もちろん飲食店からも好評で、ピーク時には1時間に10件近い掲載依頼が届いたという。

北本氏らは「購入されているユーザーの皆様の属性や利用方法までは細かく追えていない」そうだ。しかし運営していた印象として、「恐らく行きつけのお店、知人友人のお店の支援をしているのだろう」と語った。また、SNSの反響ではOPMの写真を見て「雰囲気で購入」した人も見かけたとのこと。

OPMは前述のように5月6日でその活動に区切りをつけた。売り上げはあらかじめ決められたルールにのっとり、すべて各店舗に分配されるという。

北本氏は「掲載時期が早く、SNSでの告知を頻繁に行っている店舗や、日ごろから顧客とSNSで交流を持っている店舗が売り上げを伸ばした印象がある。店舗の規模や知名度は売り上げとあまり関係がなかったようだ」という。

今後はYouTubeなどを通じて飲食店の魅力を紹介

外出自粛を受け、飲食店は臨時休業や営業時間の短縮、デリバリーやテークアウトへの業態転換など生き残りに必死だ。そうしたなか、店内画像を販売するというOPMの支援活動は異質に映る。実店舗での対面営業を重視してきた飲食店にとって、「ネットショップでZoomなどの背景画像を売ること自体が、異次元の世界のように感じられた店舗もあったかもしれない」と北本氏は振り返る。

加えて北本氏は「改めて飲食店というリアルな空間のかけがえのなさを感じたし、同時にネットでできることの限界も感じた」と打ち明ける。料理はテークアウトやデリバリーでも味わえるが、飲食店の魅力はそれだけではない。客は店舗の空間デザインやスタッフとのコミュニケーション、居心地の良さなどにも価値を見いだすからこそ、そこに通い、お金を払う。店内画像をバーチャル背景に使ったオンライン飲み会はあくまでも代替行為。各飲食店が磨きをかけてきた「空間が持つ価値」をリアルに味わうこととは、やはり隔たりがある。

北本氏はOPMの活動を「それでもオンライン上で、そのかけがえのない空間とお客様をつなぐための手助けとしては、最良の手段だったのではないか」と評価する。運営に携わった3人は、OPMを通じて飲食店やそれを支えようと行動するファンの温かさに触れ、改めて「飲食店は食事を取るだけではない特別な場」であることを実感したという。今後「同じようなショップを立ち上げることは考えていない」と言う北本氏ら3人だが、新たにYouTubeの配信を開始し、ここで飲食店などを紹介していきたいと考えている。

(文 稲垣宗彦=スタジオベントスタッフ、画像提供 ONLINE PARTY MARKET)

[日経クロストレンド 2020年5月20日の記事を再構成]

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