昇進は男女同数 埼玉・三州製菓に学ぶ女性活躍の秘訣

女性社員のアイデアが実を結んだパスタスナックを手にする斉之平伸一社長(同社店舗で)

その象徴が女性社員が中心になり商品化した「パスタスナック」の成功。せんべいなど米を原料とする菓子メーカーだが、小麦粉が原料のパスタを材料にする発案をしたのは女性社員だ。「男性社員からは絶対に出てこない発想」(斉之平社長)。パスタをスナックに加工する機械が日本中探しても見当たらず、一から内製化する苦労もあったが、今は年商約25億円の同社で売上高の2割を占める。

女性活躍を掛け声だけに終わらせないためには「社長や役員のリーダーシップが欠かせない」(斉之平社長)。同社では女性活躍について成果指標(KPI)を設け、最終責任者の社長が毎月の経営会議で進捗を報告する。女性管理職比率の目標は政府より高い35%としているが、「あまり意識していない」と斉之平社長。社員からも「もう女性活用企業なんて言わなくてもいいのでは」という声があがっているという。

女性活躍進まぬ中小 業務「一人三役」カギに

中小企業の女性活用はあまり進んでいない。厚生労働省の2018年度「雇用均等基本調査」によると、三州製菓(約200人)と同規模の従業員100~299人の中小企業の場合、課長相当職以上の女性管理職比率は8.3%。5年前の13年度より1.8ポイントの上昇にとどまり、5000人以上の大企業(同3.1ポイント上昇の7.1%)よりも伸び率が小さい。

中小企業にとって女性は大企業以上に貴重な労働力だ。しかし、従業員数の制約もあり、女性が働きやすい環境や制度を整える余裕がないのが現状だ。

女性活躍推進法の改正により、女性登用の行動計画や情報公開を義務付けられる対象が大幅に拡大。2年後の22年4月からは従来の従業員301人以上から、101人以上の企業に広がる。

女性の就労問題に詳しい労働政策研究・研修機構の周燕飛主任研究員は、対策として三州製菓の「一人三役制度」に注目する。日本の大企業では雇用契約で職務を決めずに様々な仕事を経験させる「メンバーシップ型」の働き方が普通で人員のやりくりが自由。中小企業では勤務地も職務も限定する「ジョブ型」雇用が多く、社員が突然辞めると人材難に直面する。

一人三役制度のような仕組みがあれば、誰かが休んでも周りがサポートし、業務への影響も抑え、女性も働きやすくなる。「三州製菓はジョブ型を軸に、メンバーシップ型の良さを採り入れている。人材確保に苦しむ企業も見習ってほしい」と周氏は話す。

(木ノ内敏久)

注目記事