昇進は男女同数 埼玉・三州製菓に学ぶ女性活躍の秘訣

リーダーの飯田友梨子さんは出産後も働き続けられる会社として三州製菓を選んだ(企業提供)
リーダーの飯田友梨子さんは出産後も働き続けられる会社として三州製菓を選んだ(企業提供)

女性の活躍を推進する取り組みが遅れがちな中小企業。しかし、中堅菓子メーカー、三州製菓(埼玉県春日部市)はこの分野の先進企業だ。男性と女性を同時に昇進させるなどのルールを設け、女性管理職比率は政府目標「2020年に30%」に対し、既に31%。同規模の企業が抱える課題の解決策を探った。

「働くなかで、性別や年齢を理由に活躍の場を奪われることはないと感じている」と話すのは、企画室でリーダーを務める飯田友梨子さん。自宅に帰れば4歳と2歳の2児の母親だ。「出産後も働ける会社」に憧れ、中途入社したという。男女同一処遇が進み、人材が集まりやすくなった。

同社がダイバーシティ経営や女性登用に取り組み始めたのは1988年。創業者の父から経営のバトンを受けた斉之平伸一社長が着手した。きっかけは、同社に入る前に勤めた松下電器産業(現パナソニック)での経験だ。「当時の女性社員は補佐的な仕事しかさせられず地位が低かった。これではいけないと思った」

就任早々、「男女共同参画委員会」を設けた。女性社員を委員長に据え、各部門から優秀な人材を集め、現場からのボトムアップで女性活用を提案する仕組みを作った。

その委員会が最初に出したのが、経営会議に参加する資格を持つアシスタントマネージャー以上について、男性を1人昇進させる時に女性を1人同時に昇進させるというアイデア。男女の均等待遇を意識した施策で、男女の昇進を同時に行うことで自然に女性の比率が上がる。女性役員の数を割り当てるクオータ制の変形版ともいえる。

当初は「女性に人材がいない」「管理職になりたがらない」と否定的な声も集まった。しかし、斉之平社長は耳を貸さなかった。「押し切って進めないと何も変わらない」

以来、同委員会からの提案を一つひとつ具体化してきた。例えば、育児中の社員の残業免除。子供の小学校入学までという条件だったが、「子どもが小3になるまで」と要望が集まり、期間を延長した。

女性が長く働くにはワーク・ライフ・バランス(WLB)が不可欠。効果を発揮しているのが「一人三役制度」だ。事務部門の社員はメーンの仕事以外に2つの業務スキルを身につけることで、急な休みをとっても誰かが代役を務めることが可能になった。女性社員の4割がパート社員からの転換だ。

女性の力を引き出す仕掛けは、男女を問わないWLB向上につながった。男性社員の育児有給休暇取得率は100%と、育児休業取得率の全国平均(6%)を大きく上回る。

以前は赤字になる年もあったが、女性活躍に乗り出してからは経常黒字が31期続く。斉之平社長は業績が安定した理由を「女性が潜在力を発揮してくれたことが大きかった」とみる。

注目記事
次のページ
女性活躍進まぬ中小 業務「一人三役」カギに