蓋もストローも要らない エコ紙カップ「バタフライ」

日経クロストレンド

現在、販売しているバタフライカップのサイズは、250ミリリットル(左)と375ミリリットル(右)の2種類。右はIPPUKU&MATCHAオリジナルのスリーブを付けたもの。スリーブのデザインは、GRAPHの吉本雅俊氏が担当
現在、販売しているバタフライカップのサイズは、250ミリリットル(左)と375ミリリットル(右)の2種類。右はIPPUKU&MATCHAオリジナルのスリーブを付けたもの。スリーブのデザインは、GRAPHの吉本雅俊氏が担当
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蓋やストローの材料を見直すなど、多くの飲食関連企業が「脱プラスチック」を掲げるなか、「バタフライカップ」というユニークなカップが注目されている。アイルランドのButterfly Cupが開発した。

カップと蓋を一体化したデザインを採用し、加えて素材に三菱ケミカルの生分解性プラスチック「BioPBS」を使用した。BioPBSは土中の微生物の力で水と二酸化炭素に自然に分解されるため、使い捨てが可能だ。

カップの構造はシンプルで、上部にある白い部分を折り線に沿って内側に倒すだけ。2枚の蓋を重ねると、両端にできる小さな穴が飲み口となる。カップの形が楕円形で、飲み口は上を向いた状態で左右に反り上がる形状なので、持ち歩いてもこぼれにくい。耐熱性もあり温かい飲料にも使える。

バタフライカップの蓋を開けた状態。上部の白い部分が蓋となる
2枚ある蓋を折れ線に沿って内側に倒す。倒す順番があり「Close 1st」「Close 2nd」という表記がプリントされている
2枚の蓋を閉じた状態。上部の両端にある小さな穴が飲み口。どちらからでも飲める
今までにない形状ではあるが、飲みやすい。使い心地に違和感はなかった。店舗では蓋やストローを収納するスペースも不要となる
カップを2つセットできる持ち帰り用のホルダー。厚紙を丸めて使用するシンプルなデザイン

カップがコミュニケーションツールに

飲食店がバタフライカップを採用すると、環境に配慮している企業の姿勢を顧客に伝えることができ、ブランディングの一環にもなるだろう。

2019年9月のオープンからバタフライカップを採用している東京・日本橋にある抹茶専門カフェ「IPPUKU&MATCHA(イップク アンド マッチャ)」では、コミュニケーションツールにもなっているという。見慣れない新しいカップなので、来店客に飲み方を説明する必要があるからだ。「脱プラスチックのカップであることを伝えると、共感してくれる人は多い」と、IPPUKU&MATCHAの小手川由佳氏は言う。

IPPUKU&MATCHAは、宇治産のシングルオリジン抹茶を提供する世界初の抹茶専門カフェとして誕生した。宇治市内の生産者から直接仕入れる茶園も品種も単一のシングルオリジンは、市場にはほぼ出回らない希少な抹茶だという。また、抹茶を「エナジーフード」と称し、アンチエイジングや抗酸化作用、疲労回復など栄養価の高さもアピールしている。

シングルオリジンの抹茶ラテ(写真提供/IPPUKU&MATCHA)

抹茶は茶道のイメージが強いが、もっと気軽に飲んでもらえるように店舗はコーヒースタンドのようなカジュアルな雰囲気だ。一方、店内には和と洋を混合させた、4席のみの現代的な茶室も用意している。抹茶を新しい切り口で提供する新規性が高い事業で、環境に配慮した備品を使うのは当然のことだと考えていたという。

「プラスチック製の蓋付きのテイクアウト用のカップは、脱プラスチックの時代と逆行するので、どうしても使いたくなかった」(小手川氏)。

カップの出荷量は前年比3倍

包装資材商社のシモジマは、PEラミネート紙を使用したバタフライカップを19年3月から販売している。同社広報室によると「環境対応資財の需要は全体的に伸長している。バタフライカップの出荷量は、20年に入ってから前年比約3倍と好調だ」と話す。オンラインショップでの価格は、375ミリリットルのカップが40個で924円(税込み)。カップに印刷するなどの別注は、最低ロット5万個から受け付けているという。

IPPUKU&MATCHAでは、同店のロゴマーク入りのスリーブを付けて提供。角度によって色の見え方が変化するホログラム箔を使用し、オリジナリティーを高めている。

店舗は、東京・日本橋の日本橋三井タワー1階にある路面店。宇治抹茶のテリーヌや茶筅、茶碗、オリジナルの江戸切子グラスなども販売している(写真提供/IPPUKU&MATCHA)

(ライター 西山薫)

[日経クロストレンド 2020年5月19日の記事を再構成]

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