ビジネスにもGショック 「生活の道具に」石津祥介氏G-SHOCKの秘密(下)

――今や服もアイテムやデザインでは新味が出しにくくなっています。温まる服、といったような、これまでにない仕組みで勝負する局面にさしかかっているのでは。

石津「着る服そのものを変えていかなければいけない。僕がまさに危惧しているのは地球温暖化です。気温がこれだけ高まると、『昔はコートなんてものを着ていたらしいね』と話す時代が来るかもしれない。腕時計も新しい意味での進化が起きるはずです。昔は部屋の壁掛け時計は大切なインテリアでしたが、今じゃ壁掛け時計はあまり見かけません。スマホでもテレビでも代用できますから」

腕時計、発展の方向性は「自然を知る」

――ライフスタイルの劇的な変化が時計の革新を促しますよね。

「発売したばかりの最新モデルG-SQUADは心拍数を計測でき、全地球測位システム(GPS)機能を搭載しています。心拍数や走行速度から酸素の最大摂取量を算出できたり、専用アプリでスマホとつないでトレーニング管理ができたりします。本格的なワークアウトをサポートするGショックです」

心拍数の計測などワークアウトに最適なG-SQUAD
最新モデルを展示する旗艦店G-SHOCK STORE OSAKA(大阪市)

石津「天気予報はないのかな。最近、天気予報を気にする人が多いでしょう」

「Gショックの派生ブランドである『プロトレック』は山登りの人に向けた時計で、高度や方位、気圧変化などがわかります」

――サーファー向けに、潮位がわかるGショックもありますね。

石津「そこまで細かくなくていいな。明日の朝、通勤時の気温が分かるくらいでいいんだよ。時計はもっと生活に密着した、生活用具であるべきですよ。特に女性にはそのほうが受けそうだね」

――まだまだ時計の機能は進化の余地がありそうです。

石津「時計は面白い。時を計る機械なのに、アクセサリー性とか、気分をどう盛り上げるかという道具でもある。僕は、これから時計は自然を知る機械として発展していくと思う。サーファー、漁師、アルピニスト。みんな知りたいことが違うから、それに合わせてどんどん機能が広がる可能性がある。でも僕は明日の天気と気温だけで十分。余分な機能は盛り込まずシンプルにして、精度を追求してほしい。だって、いつもテレビの天気予報で服装を決めて、失敗するんだもの(笑)」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

石津祥介
服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

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