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頑張らないで食品ロスを減らす ドギーバッグも有効

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日経DUAL

子どもが離乳食を全然食べてくれない、外食で子どもにせがまれ、つい料理を頼みすぎてしまった。テーブルに並ぶ子どもが食べ残した皿を見て憂鬱になったという経験は、子育て中の多くが共有しているのではないだろうか。

SDGs(持続可能な開発目標)の目標12「つくる責任、つかう責任(持続可能な消費と生産のパターンを確保する)」の達成には、消費者である私たちが大きく関わっている。特にここでは、生活に一番身近な「食」について考えてみよう。食品ロス問題に詳しく、「ドギーバッグ普及委員会」理事長も務める小林富雄さん(愛知工業大学教授)に、家庭で気軽に取り組める食品ロスの削減方法などをたずねた。

SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」にどう向き合う?

「『臭いものには蓋をする』というたとえ通り、食品ロスは消費者があまり関わりたがらない問題でした。取り組みを進めるためには、『カジュアル』に参加できることが大事だと考えています」と、小林さんは話す。

SDGsの目標12には、小売と消費の段階で発生する食品廃棄物を、2030年までに半分に減らすことが盛り込まれている。しかし毎日毎日、食べられるからと大根の葉を炒ってふりかけにしたり、満腹で苦しいのに残り物を食べ切ったりすることを思うと、ちょっとひるんでしまわないだろうか。

だが小林さんは、「つらい思いをしてまで頑張る必要はありません」と一言。

「食事は、何をどれだけ食べたいかが日々変わり、無理に食べれば体を壊してしまうので、ある程度のロスは避けられません。それに1日3回もあるので、楽しまなければ長続きしません」

負担の少ない取り組みの一つが、ドギーバッグだ。例えば米国などでは、外食で余った料理を「ドギーバッグ」と呼ばれるケースに入れて持ち帰ることが習慣化している。一方、日本ではあまり定着しておらず、食品衛生上のリスクなどから、持ち帰りお断りの店も多い。

同委員会が作った持ち帰り用ケースは、白地に黄色があしらわれたおしゃれなデザイン。汁物には不向きだが、ソースのかかった料理くらいなら液漏れもない。プラスチック製で洗って何度も利用でき、普段は平らに折りたためるので荷物にもならない。

「おしゃれにカジュアルに食品ロスに取り組めれば、と思って作りました」(小林さん)

使い勝手を良くした改良型も作成中だという。現在は同委員会の正会員(入会費1000円、年会費なし)に配布しているが、コンビニなどでの販売も目指している。

消費者が持ち帰りたいと言っても、「NO」と語る店側の本音

リクルートライフスタイルの2018年の調査では、消費者の87.6%が料理の持ち帰りに賛成だったが、食品の持ち帰りを実行した人は、料理を残した人の35.4%に留まった。持ち帰らなかった理由は「持ち帰りOKの店かどうか分からない」がもっとも多かった。

実際、持ち帰りNGの店もある。「外食産業が持ち帰りを敬遠するようになったのは、チェーンオペレーションが発達したからです」と、小林さんは話す。

大手外食チェーンには、経験の浅いアルバイト店員も多いため、持ち帰りに対応すると作業が煩雑になり、店が回らなくなる恐れがある。また、持ち帰りすること自体を規制する法律はないが、後の管理が悪く食中毒が発生した場合、責任の所在を明確にするため店には保健所の調査が入る。これによって風評被害を受けるリスクもある。

「1店舗での問題がチェーン全体のブランディングにも影響するため、『原則持ち帰りは認めない』と一律にオペレーションすることにも一定の合理性はあります。ただ、最近では一部のチェーン店でドギーバッグを解禁したり、すでに独自の包装容器を用意したりするなどの動きも見られます。持ち帰り可能であることを店内に掲示する、消費者が心理的ハードルを克服し、『持ち帰りたい』と意思を伝えられるかが課題です」

一方、廃棄物の処理費用は多くの場合定額制で、量が減っても料金は同じだという。これでは、客に持ち帰りを勧めて食品ロスを減らそう、というインセンティブは生まれづらい。

品ぞろえが豊富なスーパーの「欠品恐怖症」

スーパーやコンビニなど流通業界でも、膨大な食品ロスが発生する。店が多すぎて競争が激化し、競合店よりも品ぞろえを豊富にしようとするためだ。

小林さんは、食品商社での勤務経験があり、流通の実態を熟知している。特に特売品の場合、流通は欠品を絶対に許さない。台風で通常の供給ルートが断たれた時、利益をはるかに上回る輸送費をかけて、商品を納品したこともあるという。

「顧客のクレームなどを恐れ『欠品恐怖症』に陥っていることも、食品ロス発生に拍車を掛けています」と指摘する。

子育て世代がよく利用する食品の宅配。商品陳列の必要がないので「食品ロス」につながりにくいと思いきや、功罪両面があるという。

「商品を積み上げて売り場を演出する必要がない半面、注文量が予測しづらく、多めに商品を用意してしまいがちです。食品ロスの面では痛しかゆしと言えるでしょう」

食品ロス削減の「カギ」は、意外にもコミュニケーションにある?

小林さんは、事業者の食品ロス削減に必要なのは、消費者との「コミュニケーション」だと強調する。

子ども世代はもう知らないのではないか。青果店や鮮魚店が流通の主役だったころは、店主が少々時間のたった素材の食べ方を客に教えたり、客の反応を見て安くまとめ売りしたりした。

「しかしスーパーやコンビニは、大規模化・効率化の過程でコミュニケーションをそぎ落とし、商品を置くだけの場所になってしまいました。欠品を恐れるのも、顧客に理由を説明し、納得してもらう努力を怠っているためです」

ただ、流通にも変化の兆しはある。関東地方でスーパーを展開するサミット(東京・杉並)には、食品の調理の仕方などを教える「案内係」の店員がいる店舗もあり、彼らを目当てに来店する客も多いという。

関東を中心としたディスカウントスーパーのオーケー(横浜市)は、商品が天候不順で欠品・高騰した時などに「長雨の影響で、レタスの品質が普段に比べ悪く、値段も高騰しています。しばらくの間、他の商品で代替されることをお薦めします」などと提案する「オネスト(正直)カード」を掲示している。

「流通業界が、量を確保して余ったら捨てるというやり方から、消費者との関わりを深める質的な競争に転換することで、食品ロス対策も進むのではないでしょうか」と、小林さんは言う。

「食品ロス」をなくすため、私たちが家庭でできること

日本では、事業者が出した食品廃棄物の8割以上がリサイクルされる一方、家庭の食品廃棄物はほとんどが再利用されず焼却処分されている。小林さんによると、お隣の韓国のリサイクル率は、家庭、事業者いずれも9割を超えているという。

つまり日本では、家庭での食品ロス対策が、SDGsの目標達成に大きく関わるのだ。小林さんに、取り組みやすい食品ロス対策を5つ挙げてもらった。

家庭で取り組みやすい食品ロス対策


1 「ドギーバッグ」で料理を持ち帰る
 ドギーバッグ普及委員会は会員に対して、自己責任で持ち帰ることを表明するための「自己責任カード」を、また飲食店を対象に「持ち帰りOK」を示すステッカーを、それぞれ配布している。飲食店に入ったらステッカーの有無をチェックするか、ドギーバッグでの持ち帰りができるかためらわずに店員に聞いてみよう。
2 買い物は「フロントファースト」で
 賞味期限内に食べきれるなら、棚の前側にある古い商品を選ぶ。奥の新しい商品から買ってしまうと、店は商品を回転させるため、古い商品を捨てざるを得なくなることもある。
3 食料品の保管は「1カ所にまとめる」
 スペースに制約はあるだろうが、常温保存の食材もなるべくまとめて保管する。分散収納すると、置き場所を忘れるなどしてロスになりがちだという。「ITが進化すれば、在庫が分散していても、スマホで一元管理できるようになるかもしれませんね」(小林さん)。
4 備蓄食料は「ローリングストック」
 災害時に備えた備蓄食料は、賞味期限が長いこともあってつい忘れてしまいがちだ。古いものからまめに消費し、その分買い足す習慣をつける。
5 家庭でも「コミュニケーション」は大事
 急な飲み会や残業で、夕食が不要になったらなるべく早く、食事を用意するパートナーに連絡を。LINEでの連絡一本で、食品ロスは減らせる。

私たち消費者のアクションは待ったなし

国内で発生する食品ロスは、年間612万トン(農林水産省・環境省17年度推計)と、全世界で実施されている食料支援の量(年間380万トン)をはるかにしのぐ。

しかし現時点では、日本の取り組みは先進国の中で後れを取っていると、小林さんは指摘する。

「欧州諸国では、食品廃棄物の埋め立てで発生するメタンガスも深刻な問題となっているため、食品ロス対策が急ピッチで進められています。一方、日本は焼却処理施設が充実していることによって、むしろ、危機感が薄くなっているようにも感じられます。このまま2030年を迎えれば、『日本は時代遅れ』と見なされかねません」

昨年5月、食品ロス削減推進法が成立した。2001年に施行された食品リサイクル法が、製造・流通・外食の事業者のみを対象としていたのに対し、食品ロス削減推進法は消費者も含めた「国民運動」として、食品ロス問題に取り組むとしている。

小林さんは、消費者のコミットが、外食産業やスーパーマーケットなどに大きな変化をもたらすのではないか、と期待する。

「例えば、飲食店ではドギーバッグOKにしてほしい、欠品の場合は代替品で対応するから無理しなくていい、産地廃棄されている規格外野菜を、適正価格で流通させてほしいなど、消費者が声を上げれば、流通業界や生産者の意識も、大きく変わっていくのかもしれません」

(取材・文 有馬知子)

[日経DUAL 2020年1月16日付の掲載記事を基に再構成]

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