「食品ロス」をなくすため、私たちが家庭でできること

日本では、事業者が出した食品廃棄物の8割以上がリサイクルされる一方、家庭の食品廃棄物はほとんどが再利用されず焼却処分されている。小林さんによると、お隣の韓国のリサイクル率は、家庭、事業者いずれも9割を超えているという。

つまり日本では、家庭での食品ロス対策が、SDGsの目標達成に大きく関わるのだ。小林さんに、取り組みやすい食品ロス対策を5つ挙げてもらった。

■家庭で取り組みやすい食品ロス対策
1 「ドギーバッグ」で料理を持ち帰る
 ドギーバッグ普及委員会は会員に対して、自己責任で持ち帰ることを表明するための「自己責任カード」を、また飲食店を対象に「持ち帰りOK」を示すステッカーを、それぞれ配布している。飲食店に入ったらステッカーの有無をチェックするか、ドギーバッグでの持ち帰りができるかためらわずに店員に聞いてみよう。
2 買い物は「フロントファースト」で
 賞味期限内に食べきれるなら、棚の前側にある古い商品を選ぶ。奥の新しい商品から買ってしまうと、店は商品を回転させるため、古い商品を捨てざるを得なくなることもある。
3 食料品の保管は「1カ所にまとめる」
 スペースに制約はあるだろうが、常温保存の食材もなるべくまとめて保管する。分散収納すると、置き場所を忘れるなどしてロスになりがちだという。「ITが進化すれば、在庫が分散していても、スマホで一元管理できるようになるかもしれませんね」(小林さん)。
4 備蓄食料は「ローリングストック」
 災害時に備えた備蓄食料は、賞味期限が長いこともあってつい忘れてしまいがちだ。古いものからまめに消費し、その分買い足す習慣をつける。
5 家庭でも「コミュニケーション」は大事
 急な飲み会や残業で、夕食が不要になったらなるべく早く、食事を用意するパートナーに連絡を。LINEでの連絡一本で、食品ロスは減らせる。

私たち消費者のアクションは待ったなし

国内で発生する食品ロスは、年間612万トン(農林水産省・環境省17年度推計)と、全世界で実施されている食料支援の量(年間380万トン)をはるかにしのぐ。

しかし現時点では、日本の取り組みは先進国の中で後れを取っていると、小林さんは指摘する。

「欧州諸国では、食品廃棄物の埋め立てで発生するメタンガスも深刻な問題となっているため、食品ロス対策が急ピッチで進められています。一方、日本は焼却処理施設が充実していることによって、むしろ、危機感が薄くなっているようにも感じられます。このまま2030年を迎えれば、『日本は時代遅れ』と見なされかねません」

昨年5月、食品ロス削減推進法が成立した。2001年に施行された食品リサイクル法が、製造・流通・外食の事業者のみを対象としていたのに対し、食品ロス削減推進法は消費者も含めた「国民運動」として、食品ロス問題に取り組むとしている。

小林さんは、消費者のコミットが、外食産業やスーパーマーケットなどに大きな変化をもたらすのではないか、と期待する。

「例えば、飲食店ではドギーバッグOKにしてほしい、欠品の場合は代替品で対応するから無理しなくていい、産地廃棄されている規格外野菜を、適正価格で流通させてほしいなど、消費者が声を上げれば、流通業界や生産者の意識も、大きく変わっていくのかもしれません」

いまだに多くの食品が廃棄されている(写真はイメージ=PIXTA)

(取材・文 有馬知子)

[日経DUAL 2020年1月16日付の掲載記事を基に再構成]

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