実績ある国も社会に残る反発 政治の壁に挑む女性たち

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/6/7
ナショナルジオグラフィック日本版

支持者に囲まれるボリビア、エル・アルト市初の女性市長ソレダッド・チャペトン・タンカラ(前列右から2人目)。社会の腐敗一掃を目指すチャペトンは、2015年の選挙で当選した直後から脅迫を受け、市庁舎も放火されて6人の職員が犠牲になった(PHOTOGRAPH BY ANDREA BRUCE)

新型コロナへの対応でリーダーシップを発揮したニュージーランドのアーダーン首相。同氏だけでなく、政治の世界での女性の影響力は強まりつつあるが、依然として文化に根ざした反発は強く、時に暴力へと発展することもある。ナショナル ジオグラフィック2020年6月号では、国や地方で、政治の場へと進んだ女性たちの苦闘をリポートしている。

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ボリビアやアフガニスタン、ニュージーランド、イラクでは、女性たちが政治の世界で大きな力をもってきた。だが、その影響力が拡大するとともに反発が激しくなっている。

人類の歴史を通じて、政治的な発言力を求める女性たちは国に関係なく激しい抵抗に遭ってきた。中傷されるにとどまらず、暗殺されることもあった。力を勝ち取った後も、いつもの壁が立ちはだかる。女性の政治参画を法制面で支えるため、議員の人数を性別によって割り当てる「クオータ制」を定めた国は、今では世界の約半数にのぼる。

ボリビアや、内紛が収まらないアフガニスタン、イラクなども例外ではない。だがクオータ制にも限界がある。反民主的、逆差別といった批判は常につきまとう。性別だけで女性を優遇することは能力主義に反するという声もある。ボリビアでは政治に携わる女性に対する暴力による被害が後をたたない。公職に就く女性たちは、性差別的で卑劣な攻撃を受けることは避けられないのだ。

女性にとっては政治の世界に入ることだけでも大変なことだが、さらに権力の座に就いた後も、女性にやれることとやれないことが出てくる。政党や議会に多くの女性を参加させても、彼女たちの意見が聞き入れられないのであれば、名ばかりで終わる。

さらに、権力を得た女性たちが、立場の異なるほかの女性たちの意見をどこまで代弁できるのかという問題もある。それでも世界の女性たちは、介入や暴力といった障害にも負けず、政治的な権力をつかみ、強めていく努力を重ねて足元を固めようとしている。

数合わせのためだけの存在

一方、法律で定められたクオータ制がなくても、女性の政治参画を進めてきた国がある。

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