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謎の人類ホモ・ナレディ 子どもの骨格、初めて発見

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ナショナルジオグラフィック日本版

今から20万年以上前、現在の南アフリカにあたる地域で、身長90cmほどのヒト属(ホモ属)の子どもが死んだ。死因は不明。子どもの遺体は、14人以上の仲間の遺体とともに、暗い洞窟の奥深くで眠りについた。

彼らの眠りは2013年に妨げられた。南アのヨハネスブルク近郊にあるライジングスター洞窟に入った探検家が、数百個の骨の破片や歯を発見したのだ。新たに見つかったヒト属はホモ・ナレディ(Homo naledi)と名づけられた。そしてこのほど研究者たちは、未成熟なホモ・ナレディの骨格の一部を組み立てることに初めて成功した。

洞窟内の「ディナレディ」という空間で発見されたこの骨格の持ち主「DH7」(Dinaledi Hominin 7)は、8~15歳で死亡したと推定されている。20年4月1日付で学術誌「PLOS ONE」に発表された論文によると、DH7の骨格は、右下の顎骨を含む16の骨片からなる。人類の子どもの骨格がこれだけよくそろって発見されるのは、現生人類(ホモ・サピエンス)とネアンデルタール人以外では非常に珍しい。小さくて柔らかい子どもの骨は、化石化しにくいからだ。

この骨格は、ホモ・ナレディがどのように成長したのかを解明するのに役立つ可能性がある。つまり、成熟のしかたが現生人類に近かったのか、それとも初期の人類祖先に近かったのかが判明するかもしれない。

「今回の研究で非常に面白いのは、複数の骨片が1人の人物のものだと証明できた点です」と論文の共著者で、南ア、ウィットウォーターズランド大学の古人類学者のリー・バーガー氏は言う。「体の成長に対する歯の成長を調べることで、ホモ・ナレディがどのように成長したかを推定できるのです」

未成熟な個体の骨を見つけることは非常に重要だと、ドイツ、テュービンゲン大学の古人類学者カテリーナ・ハーバティ=パパテオドロウ氏は説明する。「化石人類の成長パターンは現生人類と同じとは限らないため、今回得られた情報は、ホモ・ナレディの成長のしかたが現生人類やその他の化石人類とどの程度違っているのか、あるいは似ているのかを教えてくれます」。なお氏は今回の研究には参加していない。

15人分以上の大量の化石に子どもが1人いた

初期人類の化石骨はバラバラに散らばった状態で見つかることが大半で、同一人物の骨だとすぐにわかる状態で見つかることは少ない。古代の人類のうち、複数の骨がそろった子どもの化石が見つかっているのは、アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)、アウストラロピテクス・セディバ(セディバ猿人)、ホモ・エレクトスだけである。

今回発表されたホモ・ナレディの化石についてはさらに、それが生きた時代も重要だ。100万年以上前の初期人類とは異なり、ホモ・ナレディが生きていたのは現生人類の時代に非常に近い。DH7や一緒に見つかった化石骨は22万6000~33万5000年前のもので、アフリカに現生人類が出現したのと同じ頃である。つまりホモ・ナレディは現生人類と共存していた可能性があるのだが、一方でその腰や肩などの身体的特徴は、現生人類よりも初期の人類に近かった。

バーガー氏のライジングスター洞窟遠征隊は、13年からナショナル ジオグラフィック協会の支援を受けてディナレディの発掘調査を進めており、今回の発見はその最新の成果だ。この空洞は、中に入るだけでも困難をきわめる。幅20センチもないような隙間を通り抜けないと到達できないのだ。

狭さに耐えた甲斐はあった。論文共著者のマリーナ・エリオット氏らは13年と14年にディナレディ内の発掘調査を行い、貴重な骨を大量に発見した。洞窟の地面に散らばっていたものと、手荷物サイズのスーツケース4個分ほどの掘った土の中から出てきたものを合わせると、見つかった骨と歯は約1550個に上った。これらは15人以上のホモ・ナレディに由来し、幼児から成人までさまざまだった。これまでにディナレディで見つかった化石は1800個を超える。

エリオット氏は、それぞれの骨片が見つかった場所を慎重に記録していたため、洞窟から運び出したそれぞれの骨がどの個体のものかを特定することができた。だがそれは、ピースが欠けているうえにごちゃ混ぜになった15種類のジグソーパズルを丹念に組み立てていくような、大変な作業だった。

研究者たちは、骨の成熟度と洞窟内の発見場所をもとにDH7の骨格を組み立て始めた。それが特別な化石であることはすぐにわかった。DH7の骨のいくつかは生前と同じ形でつながっていて、軟部組織に包まれたまま葬られたことを示していた。骨の保存状態は良好で、左の脛骨(膝から足首までの骨)の両端がまだ残っていた。これは非常に珍しいことだ。

ホモ・サピエンスを含め、人類の子どもの場合、手足の骨の端の膨らんだ部分(骨端)は、成長が終わるまでは骨幹と癒合しない。そのため、子どもの手足の骨の化石では、骨端がバラバラになっていたり失われていたりすることが多いのだ。

「信じられない発見です」と、論文の筆頭著者である米モデスト・ジュニア・カレッジの古人類学者デブラ・ボルター氏は言う。「私たちが扱う化石は大抵の場合、洞窟の中にはなく、雨風やアフリカの野生動物といった要素から守られてもいないからです」

年齢の推定で異なるシナリオ

DH7は何歳だったのだろう? 現時点ではわからない。ホモ・ナレディの成熟がホモ・エレクトスやアウストラロピテクス・セディバなどの初期の人類のように早ければ、DH7は8~11歳で死亡したのだろう。しかし、現生人類やネアンデルタール人のように成熟が遅ければ、死亡年齢は11~15歳だったと考えられる。

どちらのシナリオをとるべきかは、まだわからない。ホモ・ナレディでは、新旧それぞれの人類の解剖学的特徴が混ざり合っている。曲がった手の骨は、古い時代にいた成長の速い種に似ているが、足やくるぶしは、比較的最近の成長の遅い種に驚くほどよく似ている。

それだけではない。ホモ・ナレディの体の各部位は、それぞれ異なるペースで成熟していた可能性がある。17年に学術誌「サイエンス」に掲載された論文によると、ネアンデルタール人の子どもの成長パターンは、現生人類とほぼ同じだったが、脊柱だけは違っていた。この論文の筆頭著者であるスペイン国立自然史博物館の古人類学者アントニオ・ロサス・ゴンサレス氏は、「意外な発見でした」と話す。「ホモ・ナレディについてはわかりません。そこは次の研究で調べることになるのでしょう」。なお、氏は今回の研究には参加していない。

ホモ・ナレディに見られる、寄せ集めのような解剖学的特徴は、脳に関してはさらに奇妙だ。ホモ・ナレディは現生人類に似た特徴を多く持つにもかかわらず、脳の大きさは現生人類の5分の2ほどしかなく、もっと古い原始的な人類に近い。

「私ならまず、ホモ・ナレディの脳が現生人類に比べてかなり小さく、ホモ・エレクトスやアウストラロピテクス・セディバに近いこと、そして体も比較的小さいことから、現生人類に似た点があったとしても、ホモ・ナレディの成熟パターンはこれらの古い種に近いのではないかと考えたでしょう」とハーバティ=パパテオドロウ氏は言う。

しかし、ホモ・ナレディの脳の構造は初期の人類に比べて複雑で、道具の製作に関わる部位がよく発達していた。化石骨がディナレディから見つかっているという事実も、ホモ・ナレディの頭の良さを示唆している。この場所に化石骨が隠されていたことは、彼らが仲間の遺体を意図的にそこに置いたことを意味するのではないか。バーガー氏のチームは、15年にホモ・ナレディの発見について報告した際にそう主張して、激しい論争を巻き起こした。

普通は、脳が小さければ成長は速い。しかし、現生人類に似た特徴と複雑な脳をもつホモ・ナレディは例外かもしれない。「彼らはあらゆる法則に当てはまらないことが明らかになってきました」とバーガー氏は言う。

ホモ・ナレディの成長スピードを測定するには、DH7の死亡時の年齢を特定する必要がある。幸い、研究チームはDH7の年齢を特定するのにうってつけのものを持っている。歯だ。

歯が成長するときには、日ごとにエナメル質が積み重なっていくため、その構造に年輪のような薄い線が残る。DH7の臼歯にあるそうした線を数えれば、DH7が成長した日数、すなわち年齢を特定することができる。しかし、それには犠牲を伴う。DH7の歯に切れ目を入れて部分的に破壊するか、強力なX線を照射する必要があるのだ。X線の照射は、残存しているタンパク質を破壊するおそれがある。すると、ホモ・ナレディとその他の人類(私たち現生人類も含む)との関連を、タンパク質を調べることで明らかにするという手法が使えなくなる。

「あるデータを取ろうとして、他のデータを取得できなくしてしまうことがないよう、細心の注意を払って研究を進める必要があります」とボルター氏は話した。

次ページでも、今回見つかった骨の写真と、これまでに出土しているホモ・ナレディの骨の数々をご覧いただこう。

(文 MICHAEL GRESHKO、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年4月3日付の記事を再構成]

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