社長になろうとしないが社長の近道 自分の仕事に全力セコマ 丸谷智保会長(下)

泣く父の姿でリーダーの大変さ学ぶ

――リーダーとして気をつけていることは何ですか。

「法令順守、そしてウソをつかない、ということです。意図的に隠蔽するようなことがあっては絶対にならない。これをきちんとできているリーダーは意外と少ないのではないか、と感じることがあります。真面目に正々堂々と、当たり前のことを粛々と実行していくことが大切です。リーダーはこの点を間違えてはいけません。組織を明るい方向に持って行くためには不可欠なことです」

「私は読書も好きで、時代小説や戦国史をよく読んでいます。その中でも、真田昌幸など自分の信じる道を『正しく貫いた』リーダーが好きですね。戦いが強いとかでなく、そこに住む人々の幸福を願って戦ったリーダーが好きなのです。私も常に地域のために、真摯に取り組むということを忘れずにいたいです」

自宅の庭で野菜を栽培するのが趣味だという。独立した子どもたちも呼んで、庭でバーベキューをするのも好きだが「コロナの影響もあって、当分はできないでしょう」と語る。「毎年、妻と旅行に行くのも楽しみなのですが、これも難しそうですね」

――幼少期にリーダーについて考えたことはありますか。

「子供のころは表に立つことが、あまり好きではありませんでした。父の丸谷金保は北海道池田町の町長でした。小さいころから『田舎町のトップの息子』として見られていたのが重圧だったのです。生徒会長や部活動のリーダーとかも務めましたが、期待されることが多くて、参ってしまうと感じていたのが本心です」

「父は工場を町に誘致しようと取り組んでいましたが、競争で隣町に負けて泣いていたのを見たことがあります。町長として苦労する父の姿を見ていましたから、リーダーというのは本当に大変な立場だと感じました。ただ、社会人になってからは、どんな仕事も楽しくて夢中になりました。リーダーの仕事の面白さも分かってきました。そういえば、新入社員を面接した際に『どうやったら社長になれますか』と、面白いことを聞いてきた学生がいました。私は『社長になろうとしないことだ』と答えました。地位や肩書でなく、自分に与えられた仕事を一生懸命にやるということが大切なんだ、という当たり前のことを伝えたかったのです」

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丸谷智保
1954年北海道生まれ。79年慶応義塾大法卒、北海道拓殖銀行入行。98年シティバンク、エヌ・エイ入行、顧客・人材開発本部本部長などを経て、07年セイコーマート(現セコマ)に入社。専務、副社長の後、09年に社長、20年から現職。北海道経済同友会副代表幹事、北海道経済連合会常任理事なども務める。

(聞き手は久保田皓貴)

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