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地方出身1年生「大学生の実感ない」 交流に知恵絞る

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NIKKEI STYLE

新型コロナウイルス流行を受け、多くの大学でキャンパスへの立ち入り禁止の状況が続いている。まだ一度も大学に足を踏み入れたことがなく、「大学生になった実感がない」と不安な新入生は多い。特に地元を離れ一人暮らしをする地方出身の新入生はどのように過ごしているのだろうか。コロナ危機下のキャンパスライフを追った。

◇  ◇  ◇

「物理は苦手なのに。頭がフリーズしそう」。4月末、物理関係のオンライン授業を受けながら、思わずため息を漏らしたのは、今春、東京大学理科2類に入学した大塚小麦さん。入試の選択科目は生物・化学。高校時代も物理は基礎しか学んでいない。

「東大の先生方もオンライン授業は初めてで、手探りで授業をやっている感じ。物理なんて分かっているよねという感じでスラスラ講義されているのですが、もう基礎も忘れてしまって。対面ではないので、隣の子に聞くわけにいかない。ついていけるかちょっと心配です」と不安な心境を語る。

大塚さんの出身は青森県の下北半島にあるむつ市。県立田名部高校から30年ぶりに東大に合格した。しかし、新型コロナウイルスの影響で新入生と触れあう機会もなく、いきなりのオンライン授業の開始と試練の「東大デビュー」になった。

受験勉強は「人生で一番つらい時期だった」と振り返る。大塚さんは、むつ市が地元高校の成績優秀者を集めた教育支援プログラム「まさかり高校」に選ばれ、夏休みなど長期休暇の際に有名予備校講師の特別講義を受けていた。まさに地元の期待を背負ったわけだが、プレッシャーからか模試を受けてもなかなか合格ラインに届かず、苦戦した。それでも獣医になりたいという夢をモチベーションに猛勉強した。

そんな苦労を重ねての合格だったが、コロナの影響で、東大の駒場キャンパスにはほとんどで通えていない。3月には入学手続きや教科書販売の日に訪れただけ。「今の生活はむつと変わらない」と語る。

ちょうど引っ越しをするかしないかという時期に感染が拡大したため、地方出身の1年生は実家にいる人も多い。都内有名私立大に入学した吾妻凌さんもその1人で、福島県の実家で過ごす。しかしすでにアパートを借りており、「家賃など無駄な費用がかかっていて両親に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と嘆く。

それだけに大学生活を有意義なものにしたいと考えているが、4月下旬から始まったオンライン授業の質には正直、納得できていないという。「Zoomなどの生授業は実は少なくて、音声付きの資料を配布するだけの授業がほとんどです。いまだに連絡も課題もない先生もいます。楽しみにしていたドイツ語会話の授業はプリントだけで、ちょっと残念でした」

一方でまだ慣れないリポート課題に追われ、「高校までの勉強とは全然違う。そもそもどう勉強したらいいかわからない」という不安もつきまとう。「自分の解釈が合っているのか、勉強のやり方がこれでいいのかよくわからないまま、授業が進んでいく。課題でわからないことがあっても同じ学部の友達がまだあまりいないので聞ける人もいない」と1人で格闘する日々だ。

友達づくりはSNSでスタート

友達を作る機会がないことは地方出身の大きな悩みだ。ただ、まったくできないわけではないようだ。取材した1年生のほとんどから、大学の友達をSNS(交流サイト)で見つけようとする動きが活発だという話を聞いた。SNSのプロフィル欄には大学名・学部名だけでなく第二外国語やクラスまで詳細に書き、「みんな必死で友達を探している」(明治大学1年)という。

吾妻さんもインスタグラムで他学部の同級生とつながり、オンラインで夜に集まっては、不安な心境を語り合う。「コロナがなかったらたぶん出会えてなかった」という偶然のつながりは吾妻さんの今の生活の救いになっている。

熊本県人吉市出身で都内の短大に入学した下田那央さんは、ツイッターの「#春から〇〇大学生」というハッシュタグで同じ大学の同級生を探した。同じように探している人は多く、授業が始まる前にすでに同級生のLINEグループもできた。

5月連休明けから始まったオンライン授業の画面を見たときには少しテンションがあがった。「あの子はこんな顔してたんだ」と、LINEでやり取りをしていた同級生の顔を初めて認識することができたからだ。「優しそうな人ばかりでよかった」と安堵する一方、「まだ誰とも対面で話せていなくて、主にLINEで文章を交換するだけなので、友達関係もまだふわっとしたものです」とも話す。高校時代は家と学校が遠く部活も忙しかった下田さんにとって、学校帰りに友達と寄り道をするのがひそかな憧れ。やはり「早くキャンパスで友達に会いたい」と笑う。

先輩たちが作る支援の輪

緊急事態宣言は解除されてきているが、都内の主要大学は「春学期はオンライン」と決めているところが多い。法政大キャリアデザイン学部の田中研之輔教授は「授業をどのように進めていくかがよく議論されているが、コミュニティとしての大学の機能も深刻な問題。1年生が他の学生とつながる機会を意識して作っていく必要がある」と指摘する。

そんななかで新入生のために先輩学生がSNSなどを活用して助けになろうとする動きが増えている。三重県出身で法政大3年の井土桃華さんもその1人。noteで「履修やサークル選びでわからないことがあったら相談にのります!」と発信。そのリンクを自身のツイッターや、所属する野球サークルのLINEグループに投稿し、1年生からの相談に乗っている。

昭和女子大学4年の中川花綾さんは4月下旬、同じ学部の友人と一緒に「Connect to SWU」(SWUは昭和女子大の略称)という1年生支援のオンラインコミュニティを4月下旬に立ち上げた。ツイッターで大学生活に役立つ情報を発信するほか、Zoomを使ったオンライン交流会を月1回ほど開催している。初回は10人強の新入生が集まり、「課題がきつい」「おすすめの授業は?」など先輩に不安や質問をぶつけた。

1年生からは好評だったが、反省点もあると中川さんは話す。「『質問どうぞ』と言っても、大学というものに慣れていなくて、何がわからないのかがわからないから、質問もぽんと出てこない。次回の交流会はまず4年生が授業や課外活動などテーマ別に話すことで、大学生活のイメージを広げられたらいいなと思っています」

誰も経験したことのない状況のなか、自ら考えて知恵を絞る先輩の姿を見ることも1年生にとって学びになると期待したい。

(代慶達也、安田亜紀代)

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