地方出身1年生「大学生の実感ない」 交流に知恵絞る

写真はpixta
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新型コロナウイルス流行を受け、多くの大学でキャンパスへの立ち入り禁止の状況が続いている。まだ一度も大学に足を踏み入れたことがなく、「大学生になった実感がない」と不安な新入生は多い。特に地元を離れ一人暮らしをする地方出身の新入生はどのように過ごしているのだろうか。コロナ危機下のキャンパスライフを追った。

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「物理は苦手なのに。頭がフリーズしそう」。4月末、物理関係のオンライン授業を受けながら、思わずため息を漏らしたのは、今春、東京大学理科2類に入学した大塚小麦さん。入試の選択科目は生物・化学。高校時代も物理は基礎しか学んでいない。

オンライン授業を受ける東大1年の大塚さん

「東大の先生方もオンライン授業は初めてで、手探りで授業をやっている感じ。物理なんて分かっているよねという感じでスラスラ講義されているのですが、もう基礎も忘れてしまって。対面ではないので、隣の子に聞くわけにいかない。ついていけるかちょっと心配です」と不安な心境を語る。

大塚さんの出身は青森県の下北半島にあるむつ市。県立田名部高校から30年ぶりに東大に合格した。しかし、新型コロナウイルスの影響で新入生と触れあう機会もなく、いきなりのオンライン授業の開始と試練の「東大デビュー」になった。

受験勉強は「人生で一番つらい時期だった」と振り返る。大塚さんは、むつ市が地元高校の成績優秀者を集めた教育支援プログラム「まさかり高校」に選ばれ、夏休みなど長期休暇の際に有名予備校講師の特別講義を受けていた。まさに地元の期待を背負ったわけだが、プレッシャーからか模試を受けてもなかなか合格ラインに届かず、苦戦した。それでも獣医になりたいという夢をモチベーションに猛勉強した。

そんな苦労を重ねての合格だったが、コロナの影響で、東大の駒場キャンパスにはほとんどで通えていない。3月には入学手続きや教科書販売の日に訪れただけ。「今の生活はむつと変わらない」と語る。

ちょうど引っ越しをするかしないかという時期に感染が拡大したため、地方出身の1年生は実家にいる人も多い。都内有名私立大に入学した吾妻凌さんもその1人で、福島県の実家で過ごす。しかしすでにアパートを借りており、「家賃など無駄な費用がかかっていて両親に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と嘆く。

それだけに大学生活を有意義なものにしたいと考えているが、4月下旬から始まったオンライン授業の質には正直、納得できていないという。「Zoomなどの生授業は実は少なくて、音声付きの資料を配布するだけの授業がほとんどです。いまだに連絡も課題もない先生もいます。楽しみにしていたドイツ語会話の授業はプリントだけで、ちょっと残念でした」

一方でまだ慣れないリポート課題に追われ、「高校までの勉強とは全然違う。そもそもどう勉強したらいいかわからない」という不安もつきまとう。「自分の解釈が合っているのか、勉強のやり方がこれでいいのかよくわからないまま、授業が進んでいく。課題でわからないことがあっても同じ学部の友達がまだあまりいないので聞ける人もいない」と1人で格闘する日々だ。

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