韓国の電子マンガ『神之塔』 日本アニメと組み世界へ
全世界累計閲覧数45億回以上の韓国の超人気ウェブコミック『神之塔-Tower of God- 』が、日本のアニメーション制作とタッグを組んで、テレビアニメ化。4月1日から日・韓・米をはじめとする世界各国で展開が始まった。
『神之塔』は2010年から韓国のウェブコミックサービス「NAVER WEBTOON」で連載開始した冒険ファンタジー作品。9カ国語に翻訳され、日本では18年から「LINEマンガ」で連載が始まった。
LINEマンガ・WEBTOONチームマネージャーのキム・ヒョミン氏は「塔に登るまでに通る、精巧に設計された多くのルール、キャラクター間の頭脳勝負、華麗なバトルアクションなど、エピソードが進むたびに新たな魅力を提供し、読者を熱狂させた。また、信念を持って塔に登る個性あふれる各キャラクターもファンをつかんでいる」と人気の理由を語る。
アニメ化は、日本と韓国、米国の3カ国の共同プロジェクトだ。全体のプロデュースを手掛けるのは、アニメ『ULTRAMAN』や『攻殻機動隊 SAC_2045』の制作で知られる日本のSOLA DIGITAL ARTS。最高経営責任者(CEO)のジョセフ・チョウ氏にとって韓国作品を手掛けるのは初めて。国内市場が小さい韓国にとってもK-POPや韓流ドラマと同様に、WEBTOONのアニメ化で世界発信するのは願ってもないチャンスだ。
「米国で『ANIME』は日本アニメを指す固有名詞のような言葉で、日本では大人向けの作品が作れる。さらに日本アニメのブランド力があれば、世界展開の強みにもなる」(チョウ氏)。制作には『ルパン三世』シリーズの日本のテレコム・アニメーションフィルムをアサインした。
日本を含めたアジアでのプロデュース展開は、ソニー・ミュージックグループに属し、アニプレックスの子会社であるリアルト・エンタテインメントに任せた。リアルトはオープニングとエンディング曲に次世代K-POPシーンをけん引するボーイズグループと期待を集めるStray Kidsを起用。
韓国がエンターテインメントで培ってきた世界への発信力と、日本のアニメの品質への信頼感。両国の強みを生かしたものづくりが始まった。アジアの「マンガ」と日本の「アニメ」の合体で、世界発信がさらに盛んになるかもしれない。
(日経エンタテインメント!5月号の記事を再構成 文/横田直子)
[日経MJ2020年5月22日付]
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