2度の大戦、核実験に耐えた米戦艦 深海で70年ぶり発見

日経ナショナル ジオグラフィック社

「偉大な老戦艦」

戦艦ネバダを沈めるには、4日半を要した。全長175メートルを超えるこの船は、核実験の標的艦を務めたことがあるため明るいオレンジ色に塗装されていた。真珠湾から曳航されて、機密の爆発物の標的となり、その後、海軍による演習で数日にわたって巡洋艦の砲弾や軍用機の爆弾を受け続けた。そして48年7月31日、米国の軍用機から投下された一発の魚雷が、ドイツや日本が成しえなかったことを成し遂げたと言われている。ついにネバダが海底に沈んだのだ。

しかし、多くの人がこの沈没劇を目撃していたにもかかわらず(船が沈むとき、太平洋艦隊司令官はAP通信の記者に対して「偉大な老戦艦だった」と述べている)、居合わせた船の航海士からは沈没現場の絶対方位ではなく、自船を基準とした相対方位しか報告されなかった。そのため、Ocean Infinity社の調査船パシフィック・コンストラクター号のオペレーターは、自律型無人潜水機(AUV)を使ってネバダ沈没の目撃者が述べたすべての方位を調査しなければならなかった。

実際に調査した海底は、面積250平方キロに及ぶ。見つかった残骸の画像は、調査船に搭載されていた遠隔操作型無人潜水機(ROV)からリアルタイムでフロリダ州にあるSEARCH社のオフィスに送られた。現在は、考古学者たちがこの画像の解析を行っている。

デルガド氏は、画像の予備調査の結果から、2発目の魚雷がネバダを沈没させた証拠があると考えている。「1区画全体にわたって船体に穴が空き、装甲がむき出しになっている部分を見つけました。しかし、外殻部分がはがれて破れているだけです」。デルガド氏は、厚さ約340ミリのニッケルクロム鋼製の装甲が今もROVのライトを受けて輝いたことに驚かされたという。

ネバダの沈没場所が明らかになったと聞いたラムジー氏は、「沈めるべきではなかったと思います」と話す。何と言っても、真珠湾攻撃とノルマンディー上陸の両方に就役した唯一の戦艦なのだ。「私の意見では、戦艦ミズーリとともに保存されるべきだったのです」。戦艦ミズーリは日本の降伏調印が行われた船で、現在は記念艦となっている。ラムジー氏は、ネバダは降伏の式典に招かれることもなかったと漏らす。

「これは船に対する屈辱そのものだと思います。この船で調印が行われてもよかったのです」

戦艦ネバダの残骸の分析は現在も続いている。

(文 KRISTIN ROMEY、訳=鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年5月14日付]

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