もしコロナの影響で失業した場合は…
こうした社会保険料の手続きは、会社が行います。毎月の給与明細で確認しておくとよいでしょう。
最後に、あまり考えたくないことですが、新型コロナの影響で失業する人もいると思います。失業した場合も仕組みをしっかり確認しておきましょう。というのも、失業すると、自分で社会保険の手続きをする必要があるからです。細かく覚えておく必要はありませんが、ざっと把握しておくだけでも、いざというときに動きやすいでしょう。

健康保険 保険料の比較を
失業した際の健康保険は、「任意継続被保険者になる」「国民健康保険に加入」「家族の扶養に入る」という3つの選択肢があります。
任意継続被保険者は、退職した会社の健康保険に、引き続き加入できるしくみです。期間は最長で2年間です。ただ、在職中は保険料を会社と折半していましたが、退職すると全額が自己負担となります。全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、保険料は30万円以下の場合で、おおむね2倍程度になると考えてください(標準報酬月額の上限は30万円)。
任意継続をしない場合は、市町村が運営する国民健康保険に加入します。国民健康保険と任意継続保険の保険料を比較して、安い方を選びましょう。健康保険組合の場合は、付加給付も含めて検討します。
国民健康保険料は、倒産や解雇などの会社都合で失業し、雇用保険の「特定受給資格者」に認定された場合は、離職の翌日から翌年度末まで、前年度の所得を30/100として保険料を計算する軽減措置が設けられています。もちろん、コロナウイルスの影響での倒産、解雇も対象です。市役所や区役所の窓口で手続きを。
また、家族や配偶者などが健康保険に加入している場合、その扶養家族になるという方法もあります。ただし、扶養家族になるためには、収入の要件があります。失業手当も収入としてカウントされるため、失業手当を受け取る場合は難しいでしょう。
失業すると年金保険料は免除できる
続いて年金保険料です。会社に勤めている人は「第2号被保険者」にあたり、厚生年金に加入していますが、失業すると「第1号被保険者」となり、国民年金のみの加入となります。
第1号被保険者は、国民年金の保険料を自分で支払わなければなりません。厚生年金保険料は、会社と折半していましたが、国民年金保険料は全額自己負担です。
厚生年金に加入していた人が失業した場合は、「退職(失業)による特例免除」を利用することができます。特例免除とは、通常であれば審査の対象となる本人の所得を除外して審査を行い、国民年金保険料の納付が免除される制度です(ただし、家族や配偶者に一定額以上の所得があるときは免除が認められない場合がある)。 市役所や区役所の国民年金担当窓口、または年金事務所の窓口で手続きができます。
年金保険料を支払わないまま放置していると、「未納」として扱われ、将来の老齢基礎年金の受給額が少なくなり、また障害年金や遺族年金も受け取れません。必ず、保険料の免除や納付猶予の手続きは行うようにしてください。
・健康保険料・厚生年金保険料は「標準報酬月額」と「保険料率」で決まる。
・標準報酬月額とは、4~6月の給料を平均して、等級に区分したもの。給料には通勤手当や住宅手当といった手当も含まれる。原則ボーナスは含まない。
・標準報酬月額の等級は、原則1年間固定される。ただし、給料が大きく変動すれば、1年を待たずに等級の変更が行われる。給料が下がれば、社会保険料も安くなる。
・失業した場合は、社会保険料の支払いの軽減、猶予、免除などの措置がある。必ず手続きを。
