英国紳士の正統を押さえつつ、時代性のあるアレンジを加えるのもボンドスタイル

007のファッションは、6代目ダニエル・クレイグの時代にさらに大きな転機を迎えた。彼がボンドを務める2作目『慰めの報酬』で、アメリカ人デザイナー、トム・フォードのモダンなスーツを採用したのだ。ベーシックなグレーや紺を基調にしつつ、シルエットはぐっとスリム。これをナロータイやタブカラーシャツでミニマルに着こなす様にはストイックな男の色気が漂い、原作への原点回帰とも言えるハードでシリアスなシリーズにぴったりハマっている。

と、このように英国紳士の正統的な装いの基本を押さえつつ、そこに縛られず時代に相応しいアレンジを加えてきたのがボンドスタイル。そもそもボンドのキャラ自体も、ウォッカベースのシェイクしたマティーニを愛飲していたり、タキシードにダイバーズをつけたりと、型を知った上でそれを破る人物として造形されている。そこに男は本能的にグッとくる。“本物”や“王道”を見極め、それを自分の流儀でスマートに嗜む姿に、一歩先の自分を目指す男が痺れるのは当然なのだ。

【6代目('06―) ダニエル・クレイグ】

シリーズ初の金髪のボンド。クールなルックスに当初賛否はあったが、若く荒削りな007は原点回帰を目指すシリーズに最適だったようで『カジノ・ロワイヤル』以降の主演4作はいずれも大ヒット。引退作となる5作目『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は11月公開予定。

写真:Everett Collection/アフロ

TOM FORD(トム フォード) 007 オコナー

ダニエル・クレイグ主演007の2作目からトム・フォードが衣装を担当。写真は4作目『スペクター』用に制作したモデル。このオコナーは3作目『スカイフォール』で初めて登場し、その仕上がりをトム・フォード自身がいたく気に入り、以後着丈などを微修正して「トム フォード」ブランドで展開することになったのだ。細身ながら、構築的な肩周りや強く絞り込まれたウエストシェイプでメリハリの効いた美しいスタイルが築ける。 49万円(トム フォード ジャパン)

シャツ6万円、タイ3万円、チーフ2万2000円/以上トム フォード(トム フォード ジャパン)

いつの時代も永遠! 厳選“ボンドスタイル”実例考察

男の装いの教科書とも言える007シリーズだが、じつは歴代でファッションの傾向はかなり異なる。そこで以下に各ボンドのスタイルがよく表れたシーンを紹介。貴兄が参考にしたいボンドは誰?

(C)Alamy Stock Photo/amanaimages

【解説】意外とアメリカンでモダン! タフガイに相応しいスポーティさも

着用スーツは英国アンソニー・シンクレア製だが、シルエットは米国的でスポーティなボックス型。それがコネリーの逞しい肉体によく似合っていた。かなり細めのラペル幅もモダンな雰囲気を演出。

(C)Alamy Stock Photo/amanaimages

【解説】印象は薄めだが正統英国好きが最も参考にすべきはこの御仁!

2代目ジョージ・レーゼンビーは、歴代ボンドのなかで最も王道の英国スタイルを遵守。写真のスーツもかっちり構築的でウエストの絞りが強く、腰ポケットもスラント。これぞ正統ブリティッシュ!

Photo:Sunset Boulevard/寄稿者

【解説】エレガントでユーモラスな007に相応しい明るく華のあるスーツ姿

しなやかで淡いトーンの生地といい、フレア気味のパンツといいコンチネンタル風のスーツを纏ったムーア。トレンドを貪欲に取り入れた当時の007シリーズらしい“エマニエルポーズ”も笑える。

(C)United Artists/Courtesy Everett Collection/amanaimages

【解説】一番タキシード姿が美しいのはシェイクスピア俳優出身のこの人

タキシード姿は歴代ボンドのお約束だが、格好良さはダルトンがピカイチ。長身痩躯に加え、舞台俳優ならではの立ち姿の美しさが効いているのだろう。ちなみに抱えているのはQ開発のカメラライフル。

(C)Everett Collection/amanaimages

【解説】ネイビーの艶やかな3ピースにリッチなブラウンコートで色気倍増

1990年代らしい肩の張ったチェスターコートは、おそらくスーツと同じブリオーニ製かも。カシミアかベロア素材と思われ、格上のラグジュアリーが漂う。大人の色気がムンムン漂うコーディネートだ。

(C)Danjaq,LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.All Right Reserved.

【解説】ミニマルなスタイリングがストイックな男の色気を引き出す

トム フォードのタイトなスーツを着用。ナローなラペルに合わせて細身のタイを締め、タブカラーシャツでノットもコンパクトに。ストイックな新生ボンドに似合うミニマルなスタイリングだ。

※表示価格は税抜きです。

撮影=黒沼 論(aosora)、鈴木泰之、竹内一将(STUH)、丸益功紀(BOIL)、椙本裕子、武蔵俊介 スタイリング=四方章敬、宮崎 司(CODE) ヘアメイク=馬場拓也(sept) 構成・文=小曽根広光、黒澤正人、井上健太郎 文=吉田 巌(十万馬力)、秦 大輔、竹内虎之介(シティライツ)、柴田 充 イラスト=TOMOYA 撮影協力=AWABEES、淡路亭、マグニフ、ゆうらく

MEN'S EX

[MEN’S EX 2020年5月号の記事を再構成]

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